劇場公開日 1955年11月16日

「宍戸錠」続・警察日記 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0宍戸錠

2019年6月19日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 この映画で宍戸錠にお呼びがかからなかった。そのため、彼は頬にシリコンを注入するという整形手術を受け、逆に有名になってしまった。配役に関しては、前回警官だった三國連太郎がニセ金使いの犯人として捕まってた(笑)。

 それにしても群像劇ではあるが、それぞれの物語が収束しない、欲求不満になりそうな映画だ。冒頭からの近親相姦(血の繋がりはないが)ネタは何の解決も生まない。メインの話になるのは米泥棒の疑いをかけられ自殺した柴田彌六(鶴丸睦彦)の件。取り調べを担当した斎藤巡査(河野)の決めつけるような態度と、自殺してしまってからの後悔の念が対照的。そして彌六の娘である置屋に身売りしたキサ(新珠三千代)に若山巡査(三島耕)がほのかな想いを寄せるものの、会社の金を使い込んで逮捕された男の出現で状況が変わるストーリー。そこには警察婦人職員の桃子(芦川いづみ)の若山に対する想いも絡んでくる・・・が、それほど発展するわけでもない。

 豊作の年であるというのに、貧乏な者はなかなか貧困からは抜けられない現実。警察に対する批判の面も表現しながらも、人間警察という面も訴えてくる。戦前は天皇の警察として叩き込まれた警官たちも、民衆のための警察へと頭の切り替えが未だにできないでいる苦悩。当時の雰囲気がよくわかる映画でもある。

 自殺するために線路に横たわる女の映像といい、町の中を走る2両編成の蒸気機関車も登場するし、最後まで列車の映像が何度も映し出されるという珍しさもある。それほど効果的でもないのだが・・・

kossy