劇場公開日 1959年5月12日

「時代の写し絵のようにも…」お早よう KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0時代の写し絵のようにも…

2024年1月19日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

冒頭のタイトルバックの音楽から、
いつもの小津映画とは異なるのでは
と予想したが、その通りの展開に。
オナラのエピソードも含め
ここまで全編に渡りユーモア要素満載の
小津映画は初めて観たような気がする。

そんな中、前半のネガティブ要素に思われた
主婦同士の噂話エピソードが、
後段での、無駄なことや無駄な会話が
社会の潤滑油になるのだとする、
ポジティブ要素へのひっくり返し的構成には
大変驚かされた。

そして、
・市民の服装が和服から洋装に代わる
 過渡期的描写
・同じような建売住宅が並び、
 他人の家に間違って帰る挿話
・洗濯機や炊飯器が徐々に
 各家庭に入り始める中で、
 私も全く同じ経験のあるTVのあるお宅に
 相撲を見に行くご近所付き合い、等々、
高度成長期の社会変遷の要素の集積には、
この作品は他の小津映画のように
感動を覚える内容ではないが、
当時の匂いがプンプンと漂ってくるような
この時代の写し絵のようにも思えた。

KENZO一級建築士事務所