劇場公開日 1973年8月4日

「リリーさん初登場♪」男はつらいよ 寅次郎忘れな草 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0リリーさん初登場♪

2019年12月2日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 音楽が『太陽がいっぱい』を想像させてくれた。網走まで旅に出て倒産したレコード店のレコードもさっぱり売れずにいたところへ、夜汽車で見かけたリリーが話しかけてくれるのです。同じフーテンという言葉を使ったりして似たところがある寅さんとリリー。東京での再会もやっぱりリリーの方が寅さんに惚れかけていたに違いない。「私の初恋の人は寅さん・・・」というシーンに思わず頑張れ!と言いたくなったりもする。

 ピアノが欲しいからと、おもちゃのピアノを買ったりするエピソード。網走で酪農業者でのアルバイトも2日目に倒れてしまうほど体力のなかった寅さん。印刷屋の水原とめぐみのはっきりしない恋愛など、印象的なエピソードが多いのだ。“恋人”と言ったことから泣き出すめぐみなんてのは純情すぎるけど、いつも会いに来てるんだからおかしいといえばおかしい。

 最後にリリー歌手を辞めて、すし屋の旦那(毒蝮)と所帯をもつ。「本当は寅さんが好きだったのよ」などとさくらに伝えるのも、後悔先に立たず。

 労働しろよ!など、高度成長期も一段落した「一億総中流」も意識した脚本。本当に豊かになったのか?と小さな議論も巻き起こるが、やっぱり寅さんみたいないい人が本当の上流だよね~とオチがついていた。持ち上げすぎ!それならリリーと寅さん、くっつけんかい!とも言いたくなってくる。

kossy