オイディプスの刃

劇場公開日:

解説

複雑な血縁関係の家族の愛憎劇を三兄弟を通して描く。赤江瀑原作の同名小説の映画化で、脚本は「夜叉」の中村努と成島東一郎の共同執筆。監督は「青幻記 遠い日の母は美しく」の成島東一郎、撮影は「スタア」の杉村博章がそれぞれ担当。

1986年製作/118分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1986年9月13日

ストーリー

山口県下関の旧家、大迫家では、刀の収集を趣味にし名刀・次吉を所有する家長、耿平、耿平と先妻の子として生まれた明彦、耿平の現在の妻でラヴェンダーの香水づくりに思いを入れる香子、彼女の連れ子である駿介、耿平と香子の間に生まれた剛生、耿平の妹で先の結婚生活に破れた雪代が暮らすという複雑な人間関係が渦巻いていた。毎年、夏になると次吉の手入れのため研師、秋浜泰邦が大迫家にやって来た。彼は数年前から香子と秘かに関係を持っている。ある日、泰邦が次吉で斬殺された。それを知った香子も命を絶つ。その直後、二人の死の真実を覆い隠すかのように耿平も自殺した。雪代の頑強な主張により、明彦と剛生は大迫家に、駿介は香子の実家に引き取らせることになった。だが、剛生は家を飛び出し行方をくらます。月日が流れ、調香師となった明彦は新婚旅行で南フランスのグラースにいた。彼はそこで、香水王デュロンの秘蔵っ子で安村憲夫と名乗る男と出会う。顔も声も違うが剛生に違いないと確信した明彦は駿介に手紙で知らせた。駿介は京都でスナックを開き、友人ヒロシと起居を供にしていた。明彦は長い研究の末、ついに刀という名の新しい香水を完成させたが、フランスのマルセルが製法のほぼ同じ「KATANA」という同名の香水を発表し、悲嘆にくれた。駿介は警察に没収されたはずの次吉を持った明彦を刀剣愛好会場の門前でつかまえた。駿介の詰問に明彦は告白する。殺人事件の日、耿平は次吉を蔵に戻し、泰邦と香子の二人の血を付けた別の刀で自決したのだった。次吉に異常な執着を示す俊介に気押され、明彦は一晩だけ刀を貸した。ヒロシは泰邦の弟であることを告白する。彼の祖父は次吉が妖刀だと看破し、魔性を封じこめるようとした研師だった。その時、剛生から電話があり、彼は駿介にホテルまで来てほしいと告げる。安村はやはり剛生で「KATANA」の製作者だった。剛生は殺人事件の真相を駿介に語る。香水に酔い、次吉に魅せられた幼き駿介が無意識のうちに泰邦を殺害してしまったと。そして、息をひき取った。先を越された問題の香水の件で、カッとなった明彦が刺したのである。明彦が雪代と一緒に善峰寺へ向かったと知った駿介は後を追った。次吉で明彦を斬り、湯殿にいた雪代を引きずりだす。刀を突きつけられながら、雪代は告白した。泰邦と香子が愛し合っているのを嫉妬した彼女は、泰邦をだまして関係し想いを遂げたのだ。偶然その現場を駿介が目撃した。泰邦は母を裏切った、それが彼の潜在的殺意だった。悲劇のもとを作った雪代が安閑として生きている。許せないと俊介は次吉を振りおろした。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.0【赤江瀑の壮絶な情念と絢爛たる魔性の美学を表現しきれなかった作品。けれど、それは赤江初の長編「オイディプスの刃」が、彼の代表作と比較すると、やや魅力がなかったからである。】

2021年2月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

難しい

ー 赤江瀑の代表作と言えば、数々あるが(何しろ、単行本だけで30冊はある・・)
 「禽獣の門」「花夜叉殺し」「花曝れ首」「舞え舞え断崖」「殺し蜜狂い蜜」「ニジンスキーの手」
 まだまだまだあるが、クラクラする程、蠱惑的なタイトルである。ー

・今作は、掌編中心だった赤江瀑の初長編の映画化作品である。第1回角川小説賞受賞作でもあった。
旧家、大迫家の異母兄弟3人に起きた数々の死
 ー父の割腹死、母の自死・・-
 を妖刀「備前次吉」を絡ませた作品であったが、長編自体の出来と、
 -今でこそ、本と映画は別物などと、吹聴しているが・・-
 赤江瀑の世界を映像化した作品にやや、違和感を感じた作品。

<けれど、大迫剛生を演じた京本政樹サンは、”合っているなあ・・”と思った作品。>

■蛇足
 ・この映画のレビューが、私だけなんて・・。もうこの作品は、見れないのかなあ・・。

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NOBU
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