劇場公開日 2008年3月1日

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「一話完結しておけばよかったものを」ライラの冒険 黄金の羅針盤 マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0一話完結しておけばよかったものを

2010年3月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

ここ数年、ファンタジー映画が多い。CGにより今まで映像化が不可能とされていた原作が次々と映画化されるからだ。だが、TVゲームと同じで、量産化が行なわれれば駄作も多くなる。いささか食傷気味のファンタジーものに一石を投じることができるか?「ライラの冒険」が背負わされた責任と期待は大きい。この作品がコケたら、しばらくまともなファンタジー映画は出てこないだろう。そういうきびしい目で観ても、面白さという点では満足できる。
成功のカギはやはりライラ役のダコタ・ブルー・リチャーズだろう。子供が主役でありながら作品に落ち着きがある。もちろん脇を固める名優たちの力も大きい。ダイモンという精霊も楽しい。
ただ、手放しで賞賛というわけにもいかない。ライラが危機に陥るたびに、 “よい人”が現れるのは都合がよすぎる。第1作ということもあるのだろうが、悪人が前面に押し出てこない。今作最大のワルが、熊王国の王ってのもなんだか情けない。もっとファンタジーものの一翼を担う作品を期待していたからだ。
そしていちばん物足りないのは音楽だ。せっかくのラストもぜんぜんワクワクしない。あの「スター・ウォーズ」だってジョン・ウイリアムズのスコアがなかったら、あそこまで興奮できたかどうか・・・映画にとって音楽は最も重要な要素だ。

p.s. 続編の制作はもう無理だろう。ライラ役のダコタ・ブルー・リチャーズも、もう大きくなっちゃっただろうし、莫大な制作費と宣伝費をかけておきながら後味の悪いものになってしまった。

マスター@だんだん