劇場公開日 2008年3月1日

  • 予告編を見る

「つづ・・・かない!?」ライラの冒険 黄金の羅針盤 ニワトリさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5つづ・・・かない!?

2008年3月3日

寝られる

まず、スケール感が全然小さい。
北の大地の山脈の描写、氷の平原にぽつんと立つ謎の研究所、大海原を走る汽船、変わったデザインの建物が建つ街並みを抜ける飛行船・・・いずれもCGの使い方が今ひとつ。カメラワークも平凡で、なんかチープで迫力が無い。「ナルニア国物語」並、といったところ。技術的な差が出た感じだ。

さらに児童書の割にはかなり話が複雑。
色んな部族が出てくる割にはそれぞれが一見して特長があるわけでなく、「○○○族が・・・」「×××たちが・・・」などと台詞が乱舞するけど、どれが誰やら、味方か敵かも分かりづらい。本当に児童向けに作っているのか。何のためにそのキャラクターがいるのか、どの人がどういった思惑を抱いているのか全てをあの2時間で説明するのは難しいだろうが、丁寧さがないという感覚は否めなかった。
正直今でも、「つまりダストって何?」とか「ダイモンを○○○するのは何で?」とか疑問ばかりが先行している。

そのくせ、かなり強引な展開でご都合主義。
まぁ、子供向けなんだからと認めてしまえればOKなんだろうが、ピンチの時も都合よく味方が現れたり、その味方がなんで助けてくれるのか、助けてくれるならもっと早く手を貸してくれればもっと楽だったのによ!などと突っ込みいれたくなる。
ライラが黄金の羅針盤を読む描写も理屈がサッパリ分からない。真実を知ることができるなら、もっとたくさん使い道あると思いますが!?

ってことで、ニワトリは鑑賞中ずっと「?」「??」「???」と首をかしげていた。

良い部分もある。
ライラ、シロクマのイオニク・バーニソン、飛行船乗りのスコーズビー、魔女のセラフィナ・ペカーラ、ライラを追い回す悪女コールター夫人、ライラの叔父アスリエル卿と、魅力的な登場人物が多数物語を彩っている。特にシロクマのイオニクの存在感は、この映画のキモといえるだろう。かわいらしいダイモンたちの存在も見逃せない。もっと活躍の場面があれば面白かったんだろうがなぁ・・・。
ちなみに説明不足なのはこのキャラクターたち全般に及ぶので、予備知識なしに観るとツライお子様も多いことだろう。

いずれにせよ、キャストも豪華だしニューラインとしてはかなり本腰を入れて製作したのだろうが、複雑な設定に映画自体が翻弄されていて、さらに分かりやすくするために適当に“はしょっちゃった”感じがあって全体的に雑。
続編作成を見送る話もあるそうだが、作るなら監督、スタッフを大幅入れ替えして巻き返しを計らないと、ちょっと辛そうだ。

ニワトリ