劇場公開日 2008年8月9日

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アクロス・ザ・ユニバース : インタビュー

2008年8月8日更新

本作での大抜擢を経て、「ラスベガスをぶっつぶせ」、「ブーリン家の姉妹」といった作品に出演し、現在のハリウッドで最も注目される若手俳優となったジム・スタージェス。そんな彼にとっての「アクロス・ザ・ユニバース」とは?(文・構成:若林ゆり

ジム・スタージェス インタビュー
「監督のジュリーには、一生、頭が上がらないよ!」

本作でデイモア監督に見出され、一気にブレイク
本作でデイモア監督に見出され、一気にブレイク

──この映画に起用された経験は、あなたにとってどんなものでしたか?

「まったくクレイジーな、それでいて、僕にとっては奇跡のようなものだったよ。ロンドンでのオーディションに出かけたとき、僕はこの映画に興味があったわけじゃなかった。ビートルズでミュージカルだなんて、ヘンなこと考えるよなあ、こんな映画に応募したとは恥ずかしくて友達に言えないぜ、って思ってたんだ。完全に間違ってたね。そんなやつに賭けてくれた監督のジュリーには、一生、頭が上がらないよ!」

ミュージカル版「スパイダーマン」の 主演も噂されるが……
ミュージカル版「スパイダーマン」の 主演も噂されるが……

──この映画の独創的な表現には何度もビックリさせられましたが、あなた自身も現場で衝撃を受けるようなことがありましたか?

「もちろんさ! 毎日、1分1秒ごとにね。だってジュリーは毎日、まったく予想のできないようなことをしてのけるんだからね。たとえば、僕はあるシーンについて思いだす。脚本にはただ『彼らはボーリングに行く』とだけ書いてあったシーンさ。だけどジュリー・テイモアの映画では、ただそうするだけでは終わらない。そこで僕らはボーリングをして、レーンを膝で滑りながらダンスをしたんだ! それってまさに8カ月の間、僕たちの頭の中に巻き起こっていたことを象徴するような出来事だった。それくらい、僕たちはすごく奇妙で刺激的な場所に生きていたんだ」

──この映画はジュードとルーシーの恋物語が中心に語られていますが、同時にジュードとマックスのラブストーリーでもありますよね?

「僕たち自身、それをよくわかっていたよ。物語の終盤で“ヘイ、ジュード”が歌われるとき、2人の心は固く結びつくよね。あれは間違いなくラブシーンだと思う。実際、僕はマックス役のジョー・アンダーソンと、カメラの外でも友情を育んでいた。ニューヨークでのワークショップで初めて会ったにもかかわらず、あっという間にお互いに友情みたいなものを感じてね。おかげでワークショップでの僕らの演技は、つつき合ったり歌をとちったりで、ふざけているって思われてもしかたないようなものだったんだけど(笑)。ジュリーは僕らの間の陽気な化学反応を、そのまま楽しんでくれた。彼女は完璧な仕事を受け止めるのと同じくらい、失敗に対してもうまく対処ができるほど賢い人なんだ」

ロンドンで組んでいたバンドでは、 ボーカル&ギターを担当していたという
ロンドンで組んでいたバンドでは、 ボーカル&ギターを担当していたという

──ライブでビートルズを歌いながら演じることで、苦労も多かったのでは?

「いや、この映画では歌詞がせりふそのものだったから、それこそが俳優にとってもベストな方法だったんだ。そのシーンでその瞬間、どんな感情にあるかをはっきりわからないうちにスタジオでレコーディングするのはいやだった。何週間も前の腐りかけたパフォーマンスに現場で感情を乗せるなんて、とてもできるものじゃないからね。2カ月間のリハーサルを通して、ジュリーはそれぞれのシーンにどういう表現法を使うか熟考した。同時に僕らも、どういう歌い方で演じるかを考えることができたんだ。たとえば彼女は、“アイ・ウォント・ユー”にアンクル・サムのポスターを使おうと思いつく。それは見事にピタリとはまった。すべてがこんな調子。そうなると、誰も彼女を止められないよ。彼女がベストだと思うことをさせなきゃならない。そのなかで、突然、僕にビートルズの歌詞が降りてきたような瞬間もあった。僕なら無視していたかもしれない意味とか隠されていたメッセージが、ジュリーのビジュアルを通して伝わり、僕自身の感情に転化していったんだ。“ストロベリー・フィールズ・フォーエバー”はまさにそうだった。そのときの震えるような感覚は、決して忘れられないと思うな」

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