劇場公開日 2006年12月23日

「オンボロワゴンを「家庭」として捉えると、ラストのセリフで素敵なハッピーエンドになるという話」リトル・ミス・サンシャイン ウシダトモユキさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0オンボロワゴンを「家庭」として捉えると、ラストのセリフで素敵なハッピーエンドになるという話

2015年5月4日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

笑える

「家族の再生」とか大上段に構えずに、気の利いたファミリーコメディくらいの期待感で観るのが良いと思います。

ポンコツ一家がオンボロワゴンで、娘のミスコンテスト会場にはるばる旅するお話です。

ファミリーコメディなだけに、家族・家庭がテーマなわけで、当然この映画に映る「人びと」の話なんですけども、この黄色いオンボロワゴンがとっても象徴的なのです。

序盤でクラッチが壊れて、「押しがけ」しないとギアが入らないし、終盤ではクラクションが鳴りっぱなしになったり、ドアが取れちゃったりするんですけど、それでもなんだか乗ってるのが楽しげな車なんです。

このオンボロワゴンが何を象徴してるかというと、まさに家族生活・家庭生活だと解釈するのです。

ポンコツ一家の家庭生活なんて、みんなで協力して「押しがけ」しないことには前に進んでいかないんです。

タイトルにもなってる「リトル・ミス・サンシャイン」というミスコンテストのクライマックスは間違いなくこの映画のオススメポイントで、体調によって、爆笑する人もいれば号泣する人もいるでしょう。でも僕の一番のお気に入りの場面は、その後のラストシーンです。最後の「押しがけ」シーンにこそ登場人物たちの成長が描かれているし、それを経ての「ギアが入った。」という何気ないセリフによって、

「あ、この家族は“ギアが入った”から、もう大丈夫なんだ。」

と、素敵なハッピーエンドとして捉えることができるわけです。

ウシダトモユキ(無人島キネマ)