劇場公開日 2006年7月29日

「王道のリメイクというところか」ザ・フォッグ Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0王道のリメイクというところか

2022年12月17日
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1979年のオリジナル版は、不気味な演出の中に光るお洒落とも言えるビジュアルが冴える作品だったが、内容的には王道であり、悪く言えば地味だったと思う。ジョン・カーペンターだから観たという気もするが、当たり外れが大きい70~80年代のホラー作品の中で、ジョン・カーペンター監督作は地盤がしっかりしている為安心出来る作品が多い印象である。そして2005年のリメイク版である本作も、その既に地盤の固まった場所に建てられた新築物件の如く、安心設計の手堅い作品に仕上がっている。所々どこか古臭く、古典的とも取れる展開や演出の数々は見受けられるものの、それも味のひとつとして観れば悪くは無い。こうして過去の作品も最新技術で蘇ることで当時は出来なかった演出や合成も容易である為、新旧を続けて鑑賞すると時代の流れを感じるものだ。本作のゴーストらのビジュアルはやはりスタイリッシュであり、同年代の他作品のそれよりも優れていると思われるが、タイトルにもある要となる存在の町を包み込む霧の演出含め、全体的に怖さが控えめというのがホラーファンとしては残念に思う。グロくすれば良い、という考えは違うと思うが、ゴーストらの本気度を観客がすぐさま感じ取るにはその様な効果も必要だったのでは無いかと思う。その辺の緩さがテンポ良く進んでいるのにどこかまったり流している様に感じてしまう所であり、残念だった。かなり忠実なリメイクに思えるが、最後の展開はオリジナル版には無かった設定が加えられている。そのシーンでまず感じたのはゴーストらの残虐性を最後まで貫き通した良くも悪くもあの時代のオリジナル作と比べると、現代のホラーは多くの時代の流れを吸収し、現代にしか出来ない様な物を作るという映画文化の奥深さを味わえるという事だ。新旧続けて観たからなのか、感心させられてしまった様にも思える。

Mina