劇場公開日 2019年3月16日

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「公開当時は理解不能ゆえ嫌悪したが、自らの歳が進むにつれて何か分かって来たような….」ラストタンゴ・イン・パリ アンディ・ロビンソンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5公開当時は理解不能ゆえ嫌悪したが、自らの歳が進むにつれて何か分かって来たような….

2023年11月23日
PCから投稿

女に対して尊大に振る舞い、強引かつ威圧的と言える強い態度で自らの欲望のままに従わせる中年男。

それに対して、何か謎めいた見ず知らずの粗野で強引な男に魅力を抱くようになってしまった自身にあがなう事が出来ず、堕落的な性行為を続ける関係を持ってしまう若い女。

しかし、互いが相手に対して自らが求めた勝手な幻想の中にいたに過ぎなかった、実際には“ただのくたびれた中年男”と“未熟で世間知らずだが若い女”であるに過ぎない両者の妄想が解け、互いの“本当の姿”が見えて正気に返った瞬間、求める側と求められる側のの立場は逆転する時を迎える。

本当は“何も有りはしない”中年男なのに、その不敵で尊大な態度で、自らの性的欲求だけを強引に求める姿に、自分の知らない“何か”を持ち合わせた謎めいた魅力を持った年上男性と(勝手な)錯覚を抱いた女がその幻想が解けたら、目の前に居るのが「ただの(虚勢をはった)落ちぶれ中年」に過ぎなかった事が見えてきた。
その両者の主従の立ち位置の入れ替わりの顛末から起こる悲劇。

まあ、年齢も離れていて、自分の知らない世界を知っているかのように思える未知の相手に対して、自らに都合の良い幻想を抱いてしまい、その後、また自ら失望を起こして夢から覚める。
有りそうな事です。(特に、世間知らずだったりする若い女性に??)

しかし、何れにせよ“相手あっての事”、行き違い(勘違い?)は取り返しのつかない結果を招く。

公開当時は、監督の意向により主演の二人が演技では無い本当のセックスを行う事を求められ、実際にそれに応じて映像に収められているという事でセンセーショナルを巻き起こし、各国で上映禁止や規制がかかったという問題作。(後年になって、監督が”疑似であった”と釈明するハメに。)

ブランド氏はそれが発覚した事で当時の夫人から三行半を突きつけられ、リアルに取り返しのつかない代償を払うハメになりましたとさ。
シュナイダーも後日、この時の判断を「監督に乗せられてしまった」といたく後悔したとか。

一番満足したのはこのようなトンデモ作の撮影が叶った“監督さん”でした、というのがオチでしょう。

因みに、他に「本当にしちゃってる」映画にスコセッシ監督の『明日に処刑を…』が有りますけどね。

主演のキャラダイン氏とハーシーでしちゃってるのは、映画の為というより、当時二人がそのような関係にあった事で“ノリでしちゃった”みたいな?
まったくもう、とんでも無い人たちです。
キャラダイン氏はまた“倒錯プレー”みたいのがとてもお好きだったようで、自らの最後もお一人でその行為に励んでた最中の“アクシデント”によっての昇天だったそうな…..(ある意味シアワセな方です)

アンディ・ロビンソン