劇場公開日 1965年4月3日

「素晴らしい。臨床の場にあってこそ輝く人間の生。」赤ひげ TWさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0素晴らしい。臨床の場にあってこそ輝く人間の生。

2022年11月29日
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高校生の頃観て面白かったので、最近二十年ぶりにAmazon_Videoで購入し鑑賞した。

やはり、素晴らしいとしかいいようがない。

高校生の頃は、世間の辛辣さとか大人の事情とか、そういったものが絵空事であったので、心に訴えかける程度も限定的であったけれど、その後二十年越しにこの映画を観ると、描かれた人々、その人生が感興を呼び寄せて生々しく迫ってくるようで仕方がない。

登場人物が身近に感じられ、感情移入できる。

おそらく、感情や情緒の描写が巧みだからだろう。

貧困や不幸に苛まれた人々を描いているけれど、そのどれもが生命力に満ちている。

決してお涙頂戴の悲哀などではない。

それでも尚懸命に生きようという人間の姿を描いており、それが製作者の人間の尊厳に対する敬意の表れであるように思えてならない。

様々な人間が登場し、その人生がオムニバスのように映画に描かれているが、どの人物も魅力的で、感情移入せずにはいられず、とにかく三時間があっという間であった。

娯楽一辺倒に化しつつある今日の映画で、こうした人間の生き方を問い影響を与えるに足る映画を観れたのが、なによりも嬉しかった。

人生の一本。

TW