劇場公開日 1963年3月1日

「天国と地獄がまさに黒沢天皇の手の中!」天国と地獄 星のナターシャnovaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0天国と地獄がまさに黒沢天皇の手の中!

2024年1月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

知的

確か一度ノーカットで衛星放送で観てるのですが
覚えていなかったシーンがたくさんあって
やはり映画館で見ると集中力が違うよなあ〜と改めて感じました。

前半舞台劇の様な犯人のとのやりとりシーンでは
何よりも三船敏郎の圧倒的な存在感!
他人の命と我が身の成功を秤にかけて苦悩するところは
室内のシーンが続くのにまったく飽きずグイグイ引っ張って行かれる。
で、後半は仲代達矢のスマートで淡々としながらも
結構えぐい捜査手法を選ぶ警部と地道な刑事たちの捜査のシーンが
徐々に犯人に迫って行く姿もハラハラして目が離せない。

で、同じ様な警察捜査物の名作「砂の器」の犯人の動機に
ぼろ泣きした身としては、
どんな動機なのか?とドキドキしたのだけど〜〜

これは、一種の不条理映画なのかな〜〜

でも、自身の成功より命の重みを選んだ権藤さん(三船敏郎)と
自身の満足のために命を軽んじた犯人との対比は
やっぱり心にグッとくるし、
時代が変わっても普遍的なものに落ち着いたことが
やはりこの映画を名作にしてるんだろうな〜〜。

撮影過程でよく言われる、
身代金の受け渡しの鉄橋のそばの家の
二階が邪魔だからと、二階を外して撮影したとか
まあ、天皇と言われた頃の
黒沢パワーが映画全面に溢れかえってます。

とにかく面白い!!見ものです!!

あと、余談ですが冒頭の靴の話〜。
あんな簡単に手で引っ張って壊れる様な靴、
絶対売って欲しく無いわ。(by靴屋)

星のナターシャnova