テルマ&ルイーズのレビュー・感想・評価
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テルマ&ルイーズよ永遠に
大好きな作品ですが、ビデオでしか鑑賞したことがなく、今回4Kレストア版上映があったので念願叶ってスクリーンで再鑑賞することができました♡
本作を観て改めて実感したのが、男と関わっても本当にロクなことしかないということです。夫からはモラハラされ、飲み屋であった男からはレイプ未遂され、若い男にはお金を盗まれ、知らないトラック運転手からはセクハラ発言される。時代は少しはマシにはなったとはいえ、作中で描かれたハラスメントや犯罪被害を経験した女性も少なくないのではないでしょうか。
そんな環境にいたテルマとルイーズが旅をしたほんの数日間、二人は全く違う人間に生まれ変わりました。特にテルマですよね。彼女はモラハラ夫にビクビクしていた主婦から、実に勇ましい女性へと変わりました。表情が生き生きして積極的になりルイーズを引っ張ります。あの弱々しいテルマはどこにもいなくなりました。
そして、ふたりはやられた暴力は泣き寝入りせずにきちんとやり返します。男性社会から女性に対して水面下で発されるメッセージは、「おとなしく言いなりになれ」「男の性欲は本能だから受け入れろ」「全てを諦めろ」ですが、ふたりはそんなメッセージを受け取らずに行動します。
最終的に彼女達は男の管理下から抜け出し、そして全てを自分達で決めました。彼女達は自分で自分を解放し、笑顔で崖からジャンプをします。そこには一切の後悔も悲壮感もありません。なぜなら彼女達のジャンプは、《死》ではなく《自由》を象徴しているからです。このラストシーンは、作り手が全ての女性達に向けて自由を得ることや挑戦することを後押ししているようにも感じます。
誰にも邪魔されず誰にも意見されず誰にも管理されず、社会からの暴力には断固抗議して生きていきましょう。さあ、明日から何をやりますか?
自由を勝ち取る
はじめ、テルマがしっかりものでルイーズが大雑把でぶんぶん振り回して自分を解き放つ話だと思っていた。
が、意外とキャラ的にはルイーズのほうがしっかり者でテルマの方がかなり危うい。
テルマが危ない目や騙されたりした際、こっちもヒヤヒヤしながら観ていたが、その後の覚醒してからの自由を見つけ、男へのカウンターを仕掛ける様は痛快感が半端じゃない。
テルマは元々情緒不安だったのではなく、男に家庭に縛りつけられ、思考を制限されていたのだなぁと。今作を観た女性は大きく力づけられたのかなぁ。男性陣は自分の振る舞いを考え直すきっかけになってくれたのかな。
期待度○鑑賞後の満足度○ 前半は物足りないが後半で盛り返す。演出の切れは『エイリアン』『ブレードランナー』には及ばず。今の目で観ると女性像がやや古い、当時では此れが限界だったのかな。
①前半はやや冗長。“女性”としても(“人間としても?”)やや「弛(ユル)い」テルマにイライラして感情移入できない。
でも、そのテルマが強盗をした辺りから面白くなってくる。
②
裁かれない罪に立ち向かった、彼女たちが得る自由
'91年作。少女の頃に親とレンタルビデオでしか観たことがなく、今回初スクリーン鑑賞。とても感動した作品だと記憶していたが、その記憶よりずっと素晴らしかった。大人になって改めて観たことで、気づくことや感じることもたくさんあった。
彼女たちが受けてきたであろう抑圧、暴力、暴言、そして性加害すらも、裁かれたり罪名が付くことはない。その理不尽さは、女性なら多少なりとも経験があるはず。あの運転手に金品ではなく謝罪を要求する彼女らに涙が溢れた。
2024年の今なら、彼女たちは最期にあの選択をしないで済んだだろうか?どうかそうであって欲しい。
ルイーズはおそらくテキサスで(西部の方が女性に関する考え方が古いと聞く)レイプされ、その被害は認められることもなく裁かれることもなかった。だから、最初に駐車場で暴行しようとした男ハーランを許すことはできなかったのだ。ハーランは、ダンスの時から不自然にテルマを何度も回し酔わそうとしていたのも、今回気づいて、許せないと思った。
彼女らの逃避行は決して楽しいものでも明るいものでもないが、自己解放の旅でもある。それを爽やかな音楽と雄大な自然に乗せて描き、映画史に残るラストシーンに導いた傑作。最期に笑顔を向け合う彼女らの表情はきっとこれからも忘れられない。
「you're part of me,I.m part of you」と歌うエンディングにひたすら泣く。
引き返せない逃避行
乱暴者の恋人と距離を保ちながら気ままな独身生活を送るルイーズと、幼稚な夫の言いなりで自分を抑えて生きている専業主婦のテルマ。
二人は退屈な日常から抜け出すためにドライブ旅行に出かける。
が、途中で立ち寄ったバーで下心丸出しで近づいてきた男と親しげになったテルマは、泥酔したところをレイプされかけてしまう。
ルイーズはテルマが持参した護衛用の銃で男を脅すが、男は悪びれることもなく卑猥な言葉で彼女らを侮辱する。
頭の中で何かがフラッシュバックしたルイーズは、その場で男を射殺してしまう。
今まで犯罪とは無縁の生活を送ってきた二人だったが、現場から逃走したことで二度と引き返せない深みにはまって行くことになる。
状況がどんどん絶望的な方向へ転がって行くのに対して、二人の人間性が吹っ切れたように開放されていくのが面白い。
特に最初は自分では何も決められず、簡単に人に心を開いてしまうために裏切られてしまうテルマと、絶望的な状況の中でもしっかりと計画を立て、毅然と前に進んでいくルイーズの関係性が変化していく過程が興味深かった。
ルイーズは距離を置きたいと思っていた恋人の思わぬ行動に、改めて自分が彼を愛していたことを思い知らされる。
夫から大切にされず、本当の愛を知らなかったテルマは、行きずりで出会ったJ.Dという青年とのセックスで本物の性の快感を知る。
結果的にテルマは裏切られ、ルイーズの逃亡資金も持ち逃げされてしまうのだが、心の糸が切れたように項垂れ泣きじゃくるルイーズに対して、テルマは根拠のない自信を持ってルイーズを奮い立たせようとする。
そこに今までビクビク怯えていた彼女の面影はない。
さらにテルマは強盗を働き逃亡資金を調達する。
もはや立派な犯罪人になってしまった彼女らに怖いものはない。
スピード違反を取り締まろうと近づいてきた警官を銃で脅してトランクに閉じ込め、何度も卑猥な言葉を放つタンクローリーの運転手を説教した末に、タンクを銃で撃って大爆発させる。
彼女らの行動が過激になればなるほど、観ていて痛快な気分になるのは、いつしか彼女らの目線に立って物語に没入しているからだろう。
それにしても登場する男たちが下衆過ぎて胸クソが悪くなる。
何故彼らは皆自分たちが支配者であり、女性とは自分の言うことに従うものだと信じて疑わないのだろうか。
本人の口からは語られないが、ルイーズはかつてレイプされた経験があり、それがトラウマになっているらしい。
彼女たちを追い詰めたのは男たちの身勝手さであるともいえる。
唯一彼女らに手を差し伸べようと働きかけたのが刑事のハルだが、彼の想いは二人には届かない。
ラストシーンはとても切ないが、ここまで引き返せない道を選んだ彼女らに、残された選択肢はなかったのだと強く思った。
もし、引き返せる道があったとしたら、それはどこだったのだろうと考えさせられた。
ストックホルム症候群に陥る警官のミス判断
設定が悪い。あり得ない。
これでアカデミー脚本賞?
予想した通りのストーリー展開。
後、一時間で結末はどっちだけ。
警察が何一つ証拠もないのに暴力を振るったり、状況を把握していないのに同情したり、何を理由に家に電話を入れたか?
全て、結果ありきの状況設定。
後、36分相変わらず結末だけの映画。テキサスでレイ◯も分かる。
『自由を求めてメキシコへ逃亡』には見えないが。
『逆探知』は映画では時間がかかるのは本当?瞬時で探知出来ると思うけどね。後12分。多分破滅の方だ。
ネタバレ ありき
大当たり。何一つひねりも工夫もない。脚本がぶっ壊れている。
俺たちに明日はない(ボニー&クライド)、明日に向って撃て!(ブッチ&サンダース?)
と同じ様に邦題もテルマ&ルイーズから『明日への終末旅行』『私たちに明日はないわ』とかにすれば良かったと思うが。この映画をジェンダー問題と絡めるのだけは止めるべきだ。状況は崖っぷちでも、火曜サスペ◯◯劇場止まりにすれば良かった。また、どうせなら、もっともっと愚行を見せて貰いたかった。
これでは、テルマだけが『カバ女』。ルイーズだって『カバ女』といわんやをや。である。
明るい感じで面白い。
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しっかり者のルイーズと、ややそそっかしいテルマの親友コンビ。
テルマは結婚していたが、旦那に不満で、勝手にルイーズと共に旅に出る。
テルマがレイプされかけた所をルイーズが助け、勢いで男を射殺してしまう。
2人はメキシコに逃げようとするが、テルマが別の男と不倫し、
この男にうっかり大金を盗まれてしまう。
仕方が無いのでテルマは泥棒男の強盗の体験談を参考に、強盗をする。
逃げる途中スピード違反で止められ、仕方なく警察官を銃で脅して逃走。
さらには卑猥な言葉をかけて来たトラックを銃で撃ちまくり爆破。
そしてグランドキャニオンに到達する。
が、たくさんのパトカーに囲まれ、狙撃班に照準を合わされ万事休す。
手を上げて降伏しろと言われるが、あえてそうせずに車ごと滝に飛び込んだ。
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やはりこういう古い映画がおれは好きみたい。
普段はろくでもない夫と結婚し、精神的な自由を奪われていたテルマらが、
強盗したり警察から逃げたりするうちに心からの解放感を得るという話。
無茶苦茶してはいるが、彼女らには悪意や狡猾さはなく、気持ちがいい。
でも客観的に見れは凶悪犯以外の何者でもない、という矛盾。
最後はやや強引な展開であっけなく終わる。
諦めて心中を選んだってことなのか、逃げのびれる可能性があると思ってか?
女だってハードボイルド
脚本がやっぱり良い。逃避行を続けるうちに変わっていく主人公達の様子が、とても鮮やかに描き出されている。「後悔してないわ。」「私も。」という言葉が嘘ではない感じ。
景色もアメリカらしい地帯を通るので、一緒に冒険をしているような気分になれた。大画面で観るとより楽しかっただろう。
そして、ラストがサムライ的というか、キリスト教にはない終わり方で、ここも新しいと思った。
リドリー・スコット監督作品だったとは意外
リドリー・スコットが「ブラック・レイン」の2年後に撮った作品であるが、リドリー・スコットらしくない作品(悪い意味ではない)。
冒頭からいきなり殺人を起こしてしまうが、その後はどちらかと言うとコメディっぽい展開となって、ちょっとちぐはぐな感じがしたが映画的には面白く見ることができた。
ただ、テルマが強盗を起こしてからは、ハッピーエンドにはならないだろうと思った。そうなるとどういうラストになるのか。俺たちに明日はないみたいに警官に打たれてしまうのか。明日に向って撃て!みたいに警官に向かっていくのか(ストップモーションになる)。バニシング・ポイントみたいにバリケードに激突するのか。狼たちの午後みたいに、どちらかが助かりどちらが撃たれてしまうのか。
結局どれも違っていたが、アメリカン・シネマへのオマージュ的映画だ。
Let's keep it's going. 最高にクールな西部劇テイストのロードムービー
最後の場面にグッと来ました。未だに映画の雑誌を購読してたりするので最後の場面は知識としては知っていたのですが、実際に観るとグッと来ますね✨よくよく考えると悲劇なはずなのですが悲壮感はなく、むしろ清々しささえ感じます。
テルマにしてもルイーズにしても、序盤と終盤の変わりっぷりよ。最初はメイクもバッチリだったのにどんどんワイルドになっていって。でも、終盤の色んなしがらみを脱ぎ捨てた時の方が美しく見えるのは私だけじゃないはず。
ストーリーはだいたいテルマが何かをしでかして物事が大きく動くのですが、何があってもルイーズはテルマを見捨てたりしないんですよね。文句言いながらもなんだかんだで助けてくれるので母親?っというか姉っぽい。で、テルマもここぞって時の変わり方がスゴい。警官を捕まえた時にはルイーズの方がポカーンとしてましたよね。しっかし、テルマって男運無さすぎでしょ‼️
blu-ray の特典映像を見るとリドリー・スコット監督はコメディを撮るつもりで本作を作ったのだとか。確かにトレーラーが爆発するシーンでは思わず笑ってしまいました。最後のシーンのインパクトが強いのですが、クスッとするシーンが意外と入っているんですよね。ただリドリー監督が思う以上に女性讃歌として世の中に受け入れられたみたいですね。「エイリアン」や「ブレード・ランナー」と同じく映画史に残る一作でした。何作も映画史に残る作品を撮ってるリドリー監督ってやっぱりスゴいな‼️
いままで
観てなかったことに後悔。
(アメリカって広いなぁー)
(トラックが爆発するとこはニヤッとした)
最後はそーやろなぁー
て思ったけど、、泣きそうなった。
名作のはずやわ。
映画館で観たいやつ。
女同士の友情~グランドキャニオンでの自殺へと繋がるとは…
ラストのグランドキャニオンで自ら自殺するのが衝撃でした。
あとブレイク前のブラッドピットも初々しい演技ですごいと思いました!
切なくてたまらない
・初めて観たのが高校生くらいだったかでもう20年くらい前になる。色々と衝撃的で忘れられないシーンが多かったので、午前10時の映画祭で2度目だけど、細かいところ以外はほぼ記憶通りだった。
・ラストを知ってて観ると、冒頭から切なくなる。テルマの解放感から事件が次々起こるのが何より辛い。夫がDVっぽいのとかの描き方が短い中にまとまっててシーンはすごくいいけど、少ししんどかった。
・テルマがトラブルメーカーという具合に話が進んでいくけど、それは元々の性格と18歳で結婚したからなんだろうなぁとか思うと当人の問題だけではないよな、と思うと切ない。その為、後半で金を盗まれてから強盗に入ったりする吹っ切れ方が気持ちいいし、何か嬉しくなった。
・テルマとルイーズに会った男たちは悪い男に翻弄される、楽しい旅行のつもりが全く良い事がないのがまた切なくなる。最初の男はレイプしてくるし二人目のブラピは盗人だし、三人目のトラック男はただのエロじじいと改めて観てみて女性の立場の弱さがテーマなのかと気付いた。
・バー?レイプ男を射殺した後、警察がバーのウェイトレス?に事情聴取をしているシーンでそのウェイトレスがほとんど会話とかしていないのに人柄をみてあの二人は絶対にしていない!と警察に言っていたシーンがとても良かった。金をとったブラピもそう言って、担当の刑事もそういっていたのがとても良かった。(多めのチップを貰ったのもあったのかな?)
・前半ではルイーズがけん引してて、後半はテルマがけん引し始め、二人でという流れが良かった。
・テルマが常に天真爛漫でいるのが面白かった。今観ると男好きすぎて少し嫌な気分になるけど、18歳で結婚とかDVっぽい夫との生活とかを思うとしょうがないよなとも思うけど。
・ラストの刑事が手を挙げて車を止めようとするも二人の車が崖からダイブしていくシーンはやっぱり泣いてしまう。初見から何度もこのシーンを思い出しては他に方法はなかったのかなぁと考えるけどわからない。
・若干気になったのは警察の追跡が異常に早いなぁって思ってしまうが、これぐらい早いテンポでないと映画がつまらなくなるしなぁとも思った。
スリリング
テルマとルイーズの楽しいバカンスは一瞬で終わり
テルマがレイプされそうになってる時にルイーズがその男を撃ち殺したことにより、逃げる旅に。
最後に警察から捕まりたくないから崖から車で飛び降りて終わる。
ルイーズもかつてレイプされた経験があり、それを助けようとした警察が諭そうとするもダメだった。
縛られているもの、開放されていくもの。
○作品全体
互いが互いの縛られているものから開放していくような関係性が、ストーリーラインを大きく捻じ曲げなら進んでいく。そんな作品だった。
ルイーズは過去に縛られたキャラクターだ。最初のルイーズの殺人も、ルイーズの「私もレイプをされた」という深い傷のある過去や、放って置かれた彼氏の態度を見るために計画した今回の旅行(そしてその準備の様子)を見ていると突発的に物事を決める人間でなく、今までの出来事があった上で行動に移していることがわかる。レイプという出来事も、彼氏との関係性も、ルイーズはなんとか過去にしようと意識しているのだが、どこか自分の中で消化できずに残ってしまっていて、それがテルマによって消化されていく、といったような感覚を受けた。
テルマは今に縛られたキャラクターだ。いつまで続くかわからない、終わりの見えない夫との生活に嫌気が指しているが、そこから逃れることができない。しかし仮釈放中に逃げ出したJDと出会って、罪に縛られていながら自由に生きることを知る。旅行という「夫からの仮釈放」に近いテルマが、仮釈放中のJDから影響を受けて心の開放に結びつく、というのも面白いが、JDと関わったことによりさらなる窮地に立たされる。しかし、それすらも更なる開放に繋がる(コンビニ強盗、帽子盗み…今まで自分ができなかったこと、触れなかった世界)というストーリーラインがまた面白かった。
終盤にはメキシコへの方角や距離は曖昧となり、二人がその場にいることだけに焦点が当てられる。だからこそ、目的地にたどり着くかどうかという警察との攻防は一切抜きにして、本当に二人が望むことを決断するラストシーンが尚更輝いて見えた。
○カメラワークとか
・車のフロントガラスの枠を使ったフレーム内フレーム演出が大量に使われてる。車内と車外の空間を割ったり、車内にいる二人を割ったり。ワイパーでは拭けないフロントガラスの隅の汚れが二人をシンメトリーになるようなフレームとなる…というのも思い浮かんだけど、意識し過ぎだろうか。
悪人ではない普通の2人
テルマの心の中にわだかまっていたものは相当なものだったのでしょう。ルイーズも心に闇を抱えながらこれまで一生懸命生きてきた人です。二人とも普通の女性で、色々な重圧に耐えながら日々楽しむ事もなかなか出来ず生きてきたけど、旅行をきっかけにそれらを全部置いてきて、自由になったと思ったらやっぱりいく先々で現実は待っている。今まではそこで負けてきたけど、全てを置いてきた今なら何でもできる。結果犯罪者になっちゃった。でも社会の重圧を自分の力ではねのけて、今自分たちは自由で身も軽く、何より一緒にどこまでも行ける親友が隣にいる。あの世までかっ飛ばしてやるわ!
悲しいけれどスカッとしました。何より、大悪党になってしまった彼女たちは、もともと被害者でした。H.カイテル扮する警官はそれを理解してくれ、ルイーズもそれをわかっていたはずです。同じように日々重圧を感じながら生きている女性の視聴者にとって、心を揺さぶられる作品でした。
足の引っ張り合い
H・カイテル、M・マドセンにB・ピットと豪華脇役陣揃い踏み。
ラストはスカッと格好良く終わるが実際は心中と悲しい現実で H・カイテルは彼女たちを守ろうと優しい警察官。
目的があった旅が目的の無いような旅へと様変わりで犯罪を重ねていくが陰気にならずに最後まで明るく突っ走るのが良い。
極論に痺れる
「しみったれた平凡な日常に戻るくらいなら、死んだほうがマシ!」
と本気で思ったらこれを観るべき!・・・いや、むしろそんな瞬間に一番観ちゃいけない映画か!
「アメリカン・ビューティー」的な極論。
専業主婦のテルマとウェイトレスのルイーズは、同じような不満を抱えていた。話を聞いてくれない夫、結婚するでもなくいつまでもうだつの上がらない彼氏。そんな日常生活の中では目をそらしていられた「男」という存在へのぼんやりとした苛立ちの塊が、バーで知り合った酔っ払いの男に愚弄されたことで破裂してしまう。咄嗟に彼を銃殺してしまった彼女たちは、事件の真相を隠蔽し逃亡するために次々と罪を重ね、いつしか後戻りできなくなる。最初にさっさと自首していれば・・・
しかし、罪を重ねれば重ねるほど、世間から断罪されればされるほど、彼女たちの表情は明るくなって、強さを増していく。引っ込み思案で自分では何も決められなかったテルマは、ガソリン代のためにコンビニ強盗を働き、平凡なウェイトレスだったルイーズも恋人から大金を借り、自分たちを追う刑事たちを堂々と欺いてみせる。そしてその強さが仇となって、ラストは自分たちを助けようとしていた刑事の情も振り切り、幸福感の絶頂で死を選ぶ。
「なかなかそんな風になんないんじゃね?」と思う私やあなたはきっと現状に満足している証拠。爆発するほどの鬱憤が溜まっていなければ、最初の事件でビビって自首してハイ終了。プロの殺し屋でもあるまいし、隠し通せるはずはないってわかっていながら逃亡の道を選んだ時点で、既に元の日常に戻るっていう考えはなかったんじゃないかなーなんて考えました。
車かっこよかったなー。いい車だからこその逃避行だね。
破滅的な逃走劇
アメリカ大陸をひたすら車で走りながら、希望のない警察からの逃亡を繰り広げるテレサ、ルイーズの話。どう考えても絶望的なのに、なぜか彼女たちは楽しそうで生き生きしていた。たぶん2人は警察だけでなく、変わりようのない嫌気の差した日常からの逃亡をしていたんだと思う。結末は切ないけど、あまりバッドエンドな感じはせず、むしろ2人にとっては旅をグランドキャニオンで締めくくるためのハッピーエンドなのかもしれない。
逃走するテレサ、ルイーズの行く末を楽しみながら、アメリカ西部の雰囲気が存分に味わえる作品だった。
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