劇場公開日 1976年8月7日

「アラン・J・パクラ監督作品の再鑑賞が楽しみになった」大統領の陰謀 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0アラン・J・パクラ監督作品の再鑑賞が楽しみになった

2022年6月19日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

スピルバーグ監督の
「ペンタゴン・ペーパーズ」を観た時に、
トム・ハンクスの演じた編集主幹は
この作品のジェイソン・ロバーズが演じた
同一人物と知り、
そのベン・ブラッドリーに注目して
鑑賞を始めた。

ロバーズはこの作品で
アカデミー助演男優賞を受賞した位だから
名演技なのだろうが、
しかし、そんな比較の目論見も、
主人公二人のたたき込むような
緊張感溢れる場面の連続に、
そんな思いなど
すぐにどこかに飛んでいってしまった。

話の中で社主の名前が出て来た時に
メリル・ストリープの顔が浮かんだのは
ご愛嬌だったが、
しかし、「ペンタゴン…」に続いて
字幕に出てくるたくさんの名前の人物が
誰が誰やら分からないままに話は進む。
でも何とか想像を巡らせ、
それほど的外れでもないだろうとの
認識の中で、興味深く鑑賞が出来た。

今回の鑑賞で生じた最大の謎は、
冒頭のタイトルバックでの
主役の2人の扱いだった。
ディープ・スロートとの関係や
画面に登場している尺を考えると、
レッドフォードが一番目か、
せめて両名併記ではないのかと思ったが、
レッドフォードが制作に絡んでいる
と知って、
彼はホフマンを招く立場だったからだろう
と想像したが、どうだろうか。

さて、この映画では
ニクソン辞任への布石までを描くだけで、
辞任の結末までは
タイプライターだけで印象的に描いた。
それは、二人の濃密な取材行動だけに
徹した演出のためでもあり、
素晴らしい構成に思えた。

パクラ監督の「ソフィーの選択」は
私にとって絶対的に大切な作品だが、
あまり演出を意識することはなかった。
しかし、この作品を観て、
「ソフィー…」の監督力確認も含め、
改めて他のパクラ作品の再鑑賞が
楽しみになった。

KENZO一級建築士事務所