劇場公開日 2000年2月5日

アンナと王様 : 映画評論・批評

2000年1月29日更新

2000年2月5日より日劇ほか全国東宝洋画系にてロードショー

美しい自然と今日的な国際感覚で蘇る「王様と私」

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意地っ張りな姿勢に、一目置かずにいられない。「王様と私」といえば「シャル・ウィ・ダンス?」なのに、ここにはあの名曲がまったく登場しないのだ。つまりストレート・プレイでのリメイクは、基本ラインは同じでも別 ものなの。なるほど、スタジオ撮影だっ た前作とは一転、マレーシア・ロケでふんだんに取り入れた美しい自然には心が洗われるし、アクション仕立てのクライマックスも意外でエキサイティング。

が、そこはやはりオスカー女優ジョディの主演作である。前作より格段、登場人物の心の揺れ動きが豊かになっているのが最大の魅力。フェロモン不足でラブストーリーには苦しいはずのジョディも、生真面 目な家庭教師ならお似合いだし、爽やかに貫録たっぷりの国王にユンファも適材。彼らが人間として認めあううちに生まれる恋心がなかなかオトナでよろしいのだが、そのぶん、国王の恋をこんなに前面 に押しだしてタイ政府の怒りを買わないか心配になるのも事実。でも、これって、大きなお世話? あちこちに90年代的国際感覚で修正を加えても、原作が書かれたのが19世紀である以上、まだまだ欧米優位 の価値観は随所に見え隠れするのだから。それが気になるかどうかが、このロマンスに酔えるかどうかの分かれ目、ですね。

杉谷伸子

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