劇場公開日 2004年5月15日

「【ミステリアス&エロティックムービー。今作は、様々な解釈を観客側に投げかけるフランソワ・オゾン監督のストーリーテリングと、シャーロット・ランプリングの孤高の姿に魅入られる、イヤミスの秀作でもある。】」スイミング・プール NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【ミステリアス&エロティックムービー。今作は、様々な解釈を観客側に投げかけるフランソワ・オゾン監督のストーリーテリングと、シャーロット・ランプリングの孤高の姿に魅入られる、イヤミスの秀作でもある。】

2022年9月14日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

知的

■執筆に行き詰まったイギリスの推理作家・サラ・モートン(シャーロット・ランプリング)は、出版社社長のジョン(チャールズ・ダンス)が所有する南フランスの別荘を訪れて気分一新を図り、新作執筆に取り組もうとする。
 だが社長の娘・ジュリー(リュディヴィーヌ・サニエ)が現れ、静寂は破られる。
 全裸でプールを泳ぎ男を連れ込むジュリーに触発されたサラは、やがて彼女をモデルに物語を紡ぎ出す。

◆感想<Caution!  内容に触れています。>

・行き詰った、笑顔が一切ないシャーロット・ランプリングの灰色の眼が、印象的である。
ー 今作当時、50歳半ばだった彼女の存在感がこの映画を支えているのは間違いない。その後の展開で、時に笑みを浮かべるシーンがあるが、彼女の眼は一切笑っていない。ラストシーンを除いて・・。-

・サラ・モートンと対照的に描かれるのは、ジョンの娘、ジュリー(リュディヴィーヌ・サニエ)である。トップレスは当たり前で、夜な夜な男を連れ込む日々。
ー だが、彼女にも秘密があった。父譲りの秘密が・・。-

・ある日、彼女の”恋人”フランクが失踪する。プールサイドには、僅かな血痕が・・。
ー それを見たシャーロット・ランプリング演じるサラ・モートンは、”全てを知っていると思われるマルセルをベッドに誘惑する・・。”
  重ねて書くが、当時シャーロット・ランプリングは50代である。
  だが、秘密を暴くために、マルセルを誘惑する時の、淫蕩な表情・・。
  そこまでして、本を書くのかという想いもあるが、エロティック過ぎます・・、シャーロット姉さん・・。-

・ここからは推測であるが、ジュリーが恋人をプールサイドで撲殺したように、出版社社長のジョンもかつて、妻を同じ場所で撲殺したのであろうことは、容易に想像が出来る。

<そして、新作を書き上げたサラ・モートンは、出版社社長のジョンに新作を読ませる。
 困惑した表情のジョンは”君の作風と違う・・”と出版を躊躇う表情を浮かべるが、サラは”もう他の出版社で本を出したの・・”と”笑顔で”その本をジョンの前に差し出す・・。
 今作は、怖い怖い、イヤミスの秀作である。>

■今作を鑑賞した理由は、この映画レビューサイトを牽引する方に今作の存在を教えて貰ったからである。
 シャーロット・ランプリング主演で、監督がフランソワ・オゾンと知った時点で、寝不足が続く日が続くが、迷うことなく鑑賞した。
 結論から言えば、とても面白かった。
 改めて、感謝を申し上げる次第である。
 このレビューサイトの一番良い所は、知らなかった作品の存在を他のレビュアーさんから教えて戴き、その作品を鑑賞した時に得られる満足感を感じる事だと思う。
 多くのレビュアーの方々から、お勧めの作品を紹介して頂いているが、ナカナカ鑑賞出来ない作品もある。
 だが、そういった情報交流は、実に有難いと思うのである。

NOBU
kossyさんのコメント
2022年9月15日

NOBUさん、さっそく鑑賞されたみたいで、ありがとうございます。
かくいう俺がレビューを上げてなかったので、過去に書いたものをアップしましたです。
フランソワ・オゾンの魅力にはまっていくきっかけとなった作品でした。

kossy