劇場公開日 2001年7月20日

「大人になって見たら……ド名作じゃないですか!」千と千尋の神隠し kizkizさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0大人になって見たら……ド名作じゃないですか!

2020年8月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ナウシカ、トトロ、ぽんぽこと比べるとそこまで好きでもなかった作品。
なんであんなに人気なの?と思ってた。
大人になって見たら……ド名作じゃないですか!

特に帰りのトンネルで千尋が母親にしがみつく描写。
あれで映画の意味がグルっと変わる。すごい。

いつも成長した千尋を見て終わるから、見るたびに序盤の千尋で”こんなに幼かったっけか?”と驚きます。見事な書き分け方。

と同時にただの成長物語じゃないんだなぁと。
非日常を必死に生きる少女の物語。
複雑かつわかりやすく”人間のあり方”を説いているエンターテイメント。

いままでと違う環境に入って、弱音を吐く暇もなく必死になって。
経験したから芯から変わるとは限らない。
でもその時間は決して無駄にはならない。

大学生、社会人……自分の経験に当てはめても”あ、わかる”って部分がいっぱいある。
やー、すごい作品です。

ナウシカがチコの実で、もののけ姫がコダマがラストカットなのに対して、今作はトンネルから遠ざかってくだけのカットで終わる意味。

世界観と絵のパワーは神がかってますね。どのカットもそのまま名場面になって鳥肌。
特にカオナシはどう転んでも良い絵になる。色んな意味を持つ。

SNSがまったくない時代に、寂しがり屋で他人の言葉で誇示する”カオナシ”を描いてるのはすごいとしか言いようがないです。

各々のキャラがそれぞれの優しさを見せてるのも素敵。
ほんと良い映画。
本作が日本の歴代興行収入一位なのは誇らしいことです。

客(神々)の騒ぎっぷりや後半のネズミとハエドリのコメディタッチはディズニーみたいだなぁと。

一点だけ気になるとすれば千がオクサレ様の件から一気に成長しすぎてるとこかなぁ。ちょい違和感を感じました。
wikiを読んだら制作側もその点は議論されてて、その上で「○○○○の物語でもある。一本で二本分の映画」と書かれていて……ふむ、納得。

kizkiz