劇場公開日 1987年1月15日

「未知への恐怖を丁寧に表現した愛の物語」ザ・フライ SIEGさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0未知への恐怖を丁寧に表現した愛の物語

2020年5月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、VOD

泣ける

悲しい

興奮

初めて見たのは小学生ぐらいの時、WOWOWで偶然やっていたのを途中だけ見た記憶。いけないものを見てしまった負い目で記憶に留まり続けていました。
今から10年前ごろにふと気になって、記憶を辿りタイトルを突き止め、視聴。驚愕しました。

自分が人でないものになっていく恐怖と、強大な力を手に入れて気持ちが大きくなる心境。自らハエとなっていくことでハエの生態を理解して適応し、陽気にビデオに記録していく姿。抜け落ちた歯や爪をとっておく人間への未練。ヒロインが逢いにいくたびにブランドルの気持ちが上がったり下がったり変化する様は非日常なはずが、彼の行動にとても共感してしまいます。

愛を知らないブランドルが愛を知ることで前に進み、歪んで狂気へと変わっていきます。対して当初は利用する目的で近づいたヒロインが次第に惹かれていき、崩れていく彼を最後の最後まで思いやる姿が皮肉で悲しいです。文字通り崩れゆく彼を…笑

90分の構成が無駄なく見事で、彼の変化にたっぷり時間をとってもらえたのがよかったですが、ブランドルフライの暴れる姿が見たかった気もします。役者の演技はどれも素晴らしかったですが、特に元彼の絶叫が迫真です。

自分が生まれる以前の映画でVFXも使われておらず、全て特殊メイクで行なっていることも、部屋全体を装置としてあの場面を作っていることに驚愕です。
おぞましく恐ろしい話の中に、テレポの近未来SF設定や人間ドラマが丁寧に描かれており、夢中で何度も見てしまう最も好きな映画の1つです。

SIEG