劇場公開日 1987年1月15日

「【怖い、怖い、忌まわしき思い出の作品。アノ出産シーンは正視出来なかった作品でもある。】」ザ・フライ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【怖い、怖い、忌まわしき思い出の作品。アノ出産シーンは正視出来なかった作品でもある。】

2020年4月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

興奮

 天才科学者セス・ブランドルは有機物転送実験に自らを実験台とした転送を行なったが、その転送実験機には蝿が紛れ込んでいた・・。

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 学生時代、映画館の息子が友人におり、お金がないのに頻繁に映画館に足を運んでいた。(勿論、その友人から貰った無料観賞券があったからである。)

 ある日、その友人から”怖いが面白い映画があるが、どうか?”と問われ、他の友人達と共に最前列で鑑賞する羽目に・・。(かの友人のモットーは”ホラー映画は最前列で観るべし!であった・・。)

 序盤から不穏な雰囲気が異様なまでに漂い、セスの体が”爪は剥がれ、髪が抜け、・・・”と実験後に変化していく様を眼前にし、更に彼の恋人ヴェロニカから、セスの子供を妊娠している可能性がある・・と知らされた時点で嫌な手汗が・・。

 ヴェロニカの”妄想”出産シーンは怖すぎて、正視出来ず、焦点をぼやかして画面を観るという個人的技法を駆使して、”俺は観たぜ”と友人達には虚勢を張った作品。

 ラストのセスに対して行おうとしたヴェロニカの行為とセスの辛うじて残っていた人間性が実に切なかった作品でもある。

 <あれ以来、観たことはないが強烈な”トラウマ”として脳裏に刻み込まれた作品。
 こんな作品を作るデヴィッド・クローネンバーグ監督ってどんな人よ!と思った作品でもある。
 スプラッター要素は全くないし、今見たら、“なんだこんなものだったのか・・”と思うかもしれないが、当時の生理的嫌悪感は忘れ難い作品。>

NOBU