劇場公開日 1987年1月15日

「エンタメ・SFの怪作」ザ・フライ ジョイ☮ JOY86式。さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0エンタメ・SFの怪作

2020年3月4日
iPhoneアプリから投稿

ビデオドロームが面白かったので、同じクローネンバーグ作品で気になっていた本作を鑑賞。

下品なキワモノ映画かと思いきや全くそんなことはない。
これほどの名作とは驚いた。

この映画の魅力は以下の3つ
①普遍的な悲恋のドラマ
②量子テレポーテーションを扱ったSF要素
③肉体に比例して変容する精神

まず、ドラマとしてエンタメとしてよく出来ている。
登場人物達に十分感情した上で、主人公が人間でない何者かに変容していく様が描かれる。だからこそ、肉体の変容による精神の変化。そこからくるカップルの悲劇がより浮き彫りになるのだ。

第9地区やシェイプ・オブ・ウォーターにも似た切ないラブストーリーとして見ることもできよう。

SFとして導入も非常に興味深い。
量子テレポーテーションによる転送装置を80年代に扱っているのが素晴らしい。
テレポットでの転送は知的好奇心を刺激され見ていてワクワクした。

クローネンバーグ作品として"肉体と精神の変容"という題材を描きながら、SFとしてドラマとしてバランスよくまとまった怪作。

今覚えば第九地区のエビ星人は、ザ・フライが元ネタだったのか。爪や皮膚が剥がれて脱皮し変態していく様も全く同じだ。
既に古典として語りなおされていたんだな。

ジョイ☮ JOY86式。