39 刑法第三十九条

劇場公開日:

解説

都内で起きた夫婦惨殺事件。逮捕された劇団員の若者は、あっさり犯行を認めたが殺意を否定。やがて裁判が始まり、おとなしいはずの若者の人格は一変し、奇怪な言動を連発し始める。「心身喪失者の行為はこれを罰しない。心身耗弱者の行為はその刑を減刑する」と記された刑法第三十九条をモチーフにしたサイコ・サスペンス。

1999年製作/133分/日本
劇場公開日:1999年5月1日

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映画レビュー

2.0見た。

2023年12月31日
PCから投稿
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プライア

3.5堤真一と鈴木京香

2023年1月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

主演の2人は巧演で妙演でした。
公判での公開鑑定シーンは圧巻でした。
高名なおじさん脇役(江守徹、杉浦直輝、岸辺一徳)の酷さが折角のストーリーを邪魔してた感があり残念でした。

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tuna

4.0心神耗弱と少年法

2022年7月9日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

1999年。森田芳光監督作品。
最初から最後まで面白かったです。
22年前の作品ですので、最初の犯罪・・・
これは、刑法39条(心神喪失者と心神耗弱者を特例として裁く・・・無実もある)
39条より、少年法で裁かれたと思われます。
(加害者を成人にしておくと良かったと思います)

つまり、工藤啓輔の妹・温子(当時小学生)が、15歳の少年に惨殺されます。
(骸を発見した啓輔は、側に妹の切り落とされた手首を見てしまう)
これが第一の犯罪。20年位前です。

そして第二の犯罪(現在)
男とその妊娠中の妻が惨殺された。
現場に落ちていた芝居のチケットから、劇団員の柴田真樹(堤真一)が
犯人として逮捕される。
柴田は法廷で、シェークスピアの「ハムレット」を大声で暗唱したり意味不明の発言を繰り返す。
また、殺された妊娠中の妻の胎児を腹を割いて取り出した・・・と、
非常に常軌を逸した猟奇的犯行だった。

それを理由に「精神鑑定」が提案され採用される。
精神鑑定人・藤代(杉浦直樹)と、助手の小川香深(オガワ・カフカ=鈴木京香)が登場する。
藤代も小川も、一般常識で判断するなら、精神病質に分けられる二人です。
この二人の演技は舌を巻くほど上手い。
カフカは深い鬱屈を抱えた女性です。
(父の死に方・・・彼女が告白した事件の真偽?及び、過食症のどこからみても病的な母親を抱えている・・・)

その二人。
藤代は柴田を解離性同一症候群(二重人格)と診断する。
(柴田は突然、両手をブルブル震わせ、それを合図にして別人格を現す。
・・・獰猛な表情・・暴力性(カフカに飛びかかり首を絞める)・・など、

一方カフカは柴田を詐病と診断する。つまり二重人格のフリをしていると診断する。
詐病と判定したカフカは、正式な精神鑑定人として採用され、
柴田の長時間鑑定を行うこととなる。
そして別件で新事実が判明する。
《柴田が殺した男・夫の方は工藤の妹・温子を殺した仮名の男だったのだ》
いつのまにか仮名の男は、少年法でプライバシーを保護され、結婚して幸せに暮らしていた。
カフカと刑事の名越(岸部一徳)は、柴田の過去を掘り下げて行く。
柴田は黙秘を貫いてる訳ではなかったので、事件当初の捜査で、柴田の過去に空白の5年間・・・が、存在することはある程度分かっていた)
カフカと名越は、柴田の父親(國村隼・・・故人)の故郷を訪ねる。
そして判明したのは、柴田の息子・真樹(堤真一)が、5年ぶりに現れて、
父親が喜んだとの事実を掴むのだった。
同時にカフカと名越は、幼児誘拐殺人事件の被害者・工藤温子の兄・工藤啓輔の
アパートを訪ねて当時のことを聞く。

なんとなく工藤啓輔と柴田真樹の接点が浮かんで来ませんか?

私の柴田真樹への第一印象は、なんと聡明な雰囲気を持つ男性だろう!!でした。
「知的で聡明」
その男が別人格に豹変する。
カフカもまた柴田の聡明さをいち早く理解した一人です。

ラストに柴田のカフカによる「公開精神鑑定」が仕組まれています。
そこで明かされる《衝撃のドンデン返し》

柴田の告白を、事件の目的を、是非とも、ご確認ください!!

森田芳光監督の本作品は、『家族ゲーム』同様に実験的側面を持つ映画だと思います。
樹木希林の弁護士、江守徹の検察官・・・隠し玉ですね、効果的な・・・。
「銀残し」・・・急に画面が暗く遠くなり、配信が途絶えたかと思った・・・その手法。

原作(永井泰宇)脚本(大森寿美男)そして場面場面の切り返しや
差し込まれる風物に流れる実にマッチした音楽(佐藤俊彦)
そして何より鈴木京香と堤真一の演技力。

素晴らしいコラボレーションの秀作だと思います。

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琥珀糖

4.5病者にも死を、と私は考える

2022年5月16日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

病者にも死を、と私は考える
我が子、あるいは私自身が当事者であったとしても。

「心神喪失」ないし「心神耗弱状態」の者が重大犯罪を犯した場合、
犯人が“病人”として弁護され、検察は法文に従ってそれを飲み、結果無罪で放免される「39条システム」。

しかし我が子、あるいは私自身が当事者であったとしても、それでも敢えて「病者にも死を」、と私は考えるのだ。

病人ではなく“一個の完全な人格”として重んじて私を、また我が子を、死刑に処してもらいたい
・・これが常日頃から私が考えていたこと。

心疾患患者=イコール「罪を償う資格さえない半端者」と、国家が一部の国民をみなすことへの重大な人権蹂躙を、私は受け入れる事は出来ないから。

(↑ここまでが映画鑑賞まえに書いた部分)。

以下は鑑賞後のレビュー↓

・・・・・・・

堤真一は39条の欺瞞を暴いた。被害者無視の法制度の欠陥を突いて。
鈴木京香は鑑定人としての立場から詐病を見抜けない精神鑑定の限界を明らかにしようとした。
この二人の挑戦は見ものだった。
図らずして共闘だったと堤は言った。
レビューを書く前の私の意向に沿ってくれていたと思う。

しかし心は揺れる。

じっくり映画を見つめていると自死を選んだ鈴木京香の父親の影や精神を病む母親との同居は 患者と家族の日常生活を割り切れない現実として映すし、
他人になりすまして復讐を果たそうとする堤が“正常”であったかわからなくなってくる。

そしてこの映画には犯人の家族はほとんど登場しない。

・・・・・・・・・・・・

猟奇事件の犯人になってしまった患者=少年=の家族の側から(その苦悩を主題に)この作品が撮られていれば、物語の様相はまたガラリと変わっただろう。

しかしここではそこに触れずに、ぶれずに、監督の森田芳光は徹底して法論議に徹して撮りきったことなのだと思う。

・・・・・・・・・・・・・

“病者”だからガス室へ(ドイツ)。
“病者”だから患者にも政治犯にもロボトミー施術を(米ソ、各国)。
国家が“病人認定”することで人間を抹殺してきたこの恐ろしい歴史を人類は背負ってきている。

それを教訓として
疑わしきは罰せずの原則、そして
安易に法の行使を国家に許さないタガとしての役割、
これも基本的人権の遵守に依拠する「刑法39条」の存在意義だろう。

【病人ゆえに赦すか】
【病人ゆえに亡き者にするか】
これがギリギリ裏腹である危険性を思いつつも
【裁く責任】と
【裁かれる権利】について、
鈴木京香と堤真一が法廷で突いた問題提起は「そもそも人間の尊厳とは何なのか」を我々に問うていることは確かだ。

全員が聞き取れないほどの小声。
みんな病者に見える。
裁判官も裸体だ。
法の ひ弱ささが露呈されていた。

・・・・・・・・・・・・

重たい問題提起を見させられた。

そして鑑賞後に私は思うのだ ―
(冒頭述べた)自分自身が裁かれることになったあかつきに、
あるいは我が子が被告として法廷に立たされる日がもしも来てしまったあかつきに、
私は勇ましく理想を主張する自信がなくなってしまった気がする、

そして
「お願いです、病気だったのですから助けて下さい!許して下さい!」
ときっと懇願して叫んでしまうだろうなぁと思うのだ。

裁かれる権利とか
被害者のことは一切忘れて。

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きりん
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