劇場公開日 2021年7月9日

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「陰鬱だけど可笑しくて愉快な圧倒的ビジュアル世界」ベルヴィル・ランデブー 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0陰鬱だけど可笑しくて愉快な圧倒的ビジュアル世界

2021年4月30日
PCから投稿

どこまで新型コロナが影響しているのかわからないが、旧作のリバイバル上映が増えている。そんな中で『ベルヴィル・ランデブー』まで劇場に帰ってくるとは、なんとめでたいことか! 実写という制約のないアニメ―ションでは、現実にはありえないものもなんでも描けてしまうわけだが、本作の監督シルヴァン・ショメのイマジネーションの自由さは、いつ見ても素晴らしく、そして唯一無二のものだ。ジョセフィン・ベイカーからジャンゴ・ラインハルトまで実在した人物をサラリと描き込みながらも、ここで描かれるパリの街も、限りなくニューヨーク的な大都市ベルヴィルも、陰鬱としたデザインながらも唯一無二のユニークな世界観で観る者を魅了する。

アブストラクトな演奏シーンなど、音楽も素晴らしいし、言葉で説明することなく見せ切る演出の説得力もすごい。すべてが歪んでいるけれど決して暗くはなく、抜けがよくて思い切り楽しい。2021年7月のリバイバル公開、なんとしても見逃してはならないと思っています。

村山章