劇場公開日 2001年2月10日

アンブレイカブル : インタビュー

2001年2月1日更新

サミュエル・L・ジャクソン インタビュー

(聞き手:渡辺麻紀)

俺はイライジャを演じるよう定められていたんだと思うね

サミュエル・L・ジャクソン
サミュエル・L・ジャクソン

サミュエル・L・ジャクソンとブルースはすでに「ダイ・ハード3」「パルプ・フィクション」でジョイント済み。気心が知れているのだろう、このイライジャというアメコミおたく役、ブルースの強力プッシュがあって実現したと聞く。

「そうなんだ。ブルースがナイトに強力に勧めてくれたんだ。ありがたいと思っている、こんな複雑なキャラクターが演じられると思われてね」

そのブルースの言葉を信じ、サミュエルの実力を信じたナイトは、イライジャのキャラクターをサミュエルを念頭に置いて書き上げていったという。

「まあ、確かにいままでもそんな脚本はたくさんあったよ。『これは君を念頭に置いたんだぜ』みたいなヤツだ。でも、そのほとんどは、そんなことしてくれないほうがよかったのに、ってなものばかりでね(笑)。でも、今回はちがう。まさに俺のためにあるようなキャラクターだった」

「アメコミのことは私よりサミュエルに聞いてください。彼はほんと、すごいから」とシャマランに言わせるほどのアメコミおたく。本人の言葉を借りるなら「いまでもアメコミを読んでるし、俺の趣味。ただし、ヘルシーだぜ」ということになる。が、サミュエルがイライジャと自分を重ねたのは、そこだけじゃない。

「イライジャは、その特異な体質から、みんなにいじめられ、悩むだろ。おれも子供のころは吃っていて、よくみんなにからかわれていたんだ。イライジャのように家に閉じこもっていたし、反対に誰かをいじめたりすることもあった。だから、わかるんだよ。他人から受けた扱いによって、人がどうやって自分を疎外し、みんなとはちがう目で社会を見るようになるかってことが。俺はこのキャラクターを、ナイトが考えた以上に共有出来てしまったんだ。そうだな、これはもう宿命なのかもしれない。俺はイライジャを演じるよう定められていたんだと思うね」

イライジャは、その<ブレイカブル>な体質ゆえに、自分とは正反対の<アンブレイカブル>なスーパーヒーローを熱望する男。みんなのヒーローを求める気持ちを代弁しているといってもいい。

「ヒーローは必要なんだよ。俺は『ダイ・ハード3』でヒーローのブルースに守られる役を演じたとき、妙な安心感を持てた。それはジーナ・デービスが俺を助けくれた『ロング・キス・グッドナイト』のときも同じだ。つまり側にヒーローがいてくれたからなんだ。人は、善が悪を支配するのを望んでいる。その逆なんて望んじゃいない。子供は遊ぶとき、正義の味方になりたがるだろ。悪役をやりたがる子供なんていないじゃないか」

ちなみにサミュエルは「アンブレイカブル」のまえ「シャフト」でヒーローを演じている。「あれはまさに大人のヒーローを演じる絶好のチャンスだった。そりゃあ気持ちよかったさ(笑)」だって。

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