劇場公開日 2003年11月15日

ルールズ・オブ・アトラクション : インタビュー

2003年11月14日更新

タランティーノの「パルプ・フィクション」の共同脚本家、そして「キリング・ゾーイ」の監督でもあるロジャー・エイバリー、約10年振りの新作が登場! この10年間の軌跡とタランティーノとの関係を大激白!

ロジャー・エイバリー監督インタビュー

「タランティーノとおれはピーナツバターな間柄」

編集部

――デビュー作「キリング・ゾーイ」から、既に10年近く。ハリウッドでは「スクリプト・ドクター」として活動されていたそうですが、具体的にはどんな事をされるのですか?

ロジャー・エイバリー監督
ロジャー・エイバリー監督

「スタジオがある映画を製作を決めるとするね。でも大抵の場合、有名俳優の出演が一番の理由だったり、そのスターにしても、映画の内容よりも2000万ドルのギャラが目当てだったりする。そうなると必ずトラブルが起きるんだ。脚本が好きな人が誰もいないから(笑)」

――そこで「ドクター」の出番になるわけですね(笑)

「その通り。スクリプト・ドクターの役割は、脚本を良くすることではなくて、スターや監督、スタジオの意見や注文を聞いて修正を加え、みんなが納得できる形にすることなんだ。ほんと、報われない仕事だよ。関係者全員が満足する脚本なんてできっこないから、必ず後で誰かに恨まれるし」

――よく我慢しましたね(笑)

「唯一のメリットは、ギャラがいいことなんだ。これをやっていれば、快適な生活ができるし、金銭的余裕がさえあれば、自分で監督するときに好きな映画だけをやることができる」

――なるほど。

「スクリプト・ドクターという仕事は機械的で退屈だけど、その経験のおかげで、今回の映画が生まれた。パターン化したものばかり書いているうちにストレスが溜まって、ルール違反をしたくなったんだよ。それでうっぷん晴らしに、ブレッド・イーストン・エリスの『ルールズ・オブ・アトラクション』の脚色を始めたんだ。映画化権もなくて実際に映画化されるなんて考えてなかったから、今までやりたかったけど許されなかったことを、全部ぶち込んだんだ」

「ルールズ・オブ・アトラクション」
「ルールズ・オブ・アトラクション」

――原作は登場人物が多く、映像化不可能といっていいような構成ですが、あなたはあらゆる映像的テクニックを駆使して、見事に映画化してしまった。原作の文学的工夫を無視して、シンプルな物語に再構成してしまうこともできたと思うのですが?

「これまでにブレッドの小説を映画化した連中(『レス・ザン・ゼロ』『アメリカン・サイコ』)は、その手法を使ったよね。でも、おれに言わせれば、そんなのは原作に対する裏切り行為だと思うんだ。ブレッドの作品は、その工夫も含めて1つのアートとなっているんだから」

――あなたとブレッドとは共通点が多いですよね。ユーモラスでシニカルな姿勢や、新しいテクニックを駆使するというクリエイティブ面での嗜好面でも。

「その通り。文学と映画とジャンルは違うけれど、彼のことは同志だと思ってる。いま彼の『グラモラマ』の脚色をやってるんだけど、彼の物語ほど、完璧に理解できて共感できるものはないんだ。彼がこの世に存在してくれて、本当に感謝している。もし彼と彼の文学がなければ、おれは自分が考えていることをうまく表現することができなかったと思うからね」

インタビュー2 ~ロジャー・エイバリー監督インタビュー
関連DVD・ブルーレイ情報をもっと見る
「ルールズ・オブ・アトラクション」の作品トップへ