劇場公開日 2002年4月27日

「美しいホラー」アザーズ つばめさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0美しいホラー

2019年2月16日
iPhoneアプリから投稿

悲しい

怖い

知的

グロなど過激演出がないだけで大変に好印象。

死の世界への敬意すら感じる。

なにせニコールキッドマンが、形の綺麗な黒のワンピースをきて幼い子供達と共に美しい洋館にいるだけで絵的にバッチリ。そして、言葉選びや展開運びも秀逸で美麗。
特に印象に残ったのは、新しくきた使用人達に家の案内をするシーン。淡々と決まりごとを述べ無駄のない動きで扉の鍵を閉めロウソクを灯すニコールキッドマンの指先。そして、「この家で動くのは、光だけよ」という言葉。そのシーンを見るだけでも私には価値のあるものでした。
最後まで視聴者に疑念や憶測をさせ続け、「もしや、こうでは」「きっとこうだ」といくらでも湧いてくるようなアイテムをばら撒き、それを丸ごと紐で繋いで、思いもしなかった答えを目の前に広げられた時の感動。そしてその答えが出た時の物悲しさまで美しい。

エンターテイメント性はないし、ホラーも匂わせるばかりで物足りない人には物足りないのかもしれない。すぐもう一度見たいかと言われたらそうではない。

でも、美しい映画でした。

つばめ
うつつのつづきさんのコメント
2023年4月30日

死の世界への敬意。
探していた言葉でした。
どうしようもない哀しさも残る良い作品でした。

うつつのつづき