劇場公開日 2005年5月7日

ライフ・アクアティック : インタビュー

2005年5月2日更新

個性的で独創的な世界観とキャラクターでファンを魅了するウェス・アンダーソン監督の最新作「ライフ・アクアティック」が、間もなく公開される。今回はアクションシーンがあったり、大掛かりなセット撮影があったり、新しい脚本家とのコンビだったりと、これまでにない要素もいろいろ。そんな本作について、小西未来氏が監督に話を聞いた。(聞き手:小西未来

ウェス・アンダーソン監督 インタビュー
「ぼくの映画が親密でパーソナルであることに変わりないよ」

――ぼくはあなたの映画の大ファンなのですが、今回ほど大規模な作品は初めてですよね。スタジオを説得するのに、相当苦労したんじゃないですか?

ウェス・アンダーソン監督
ウェス・アンダーソン監督

「実はぼく自身、これほどの規模になるなんて想像してなかったんだ。例えば、脚本に“モンスーンで破壊されたホテル”って書いたときも、実際の撮影ではホテルの一部を見せれば大丈夫だろうから、大してお金もかからないだろうって思っていた。でも、現場に行くと、やっぱりホテルの引きのショットが必要だってことになって、6階建てのホテルを建設することになった。張りぼてのセットだけど、それでもかなりの作業になった。ボートが2つに割れるショットのためにも、わざわざ巨大なセットを建設したし。そうやってひとつひとつこなしているうちに、いつの間にかスケールが大きくなってしまったんだ」

――アクションシーンにも果敢に挑戦してますよね。

「うん、この映画にはアドベンチャーの要素がたっぷりなきゃだめだって思ってね。映画からはカットされてしまったんだけど、キャラクターみんなが水中で会話するシーンがあったんだ。潜水服を着て、海底を探検するという大がかりな場面で、巨大なタンクのなかでの撮影だから、ものすごく時間がかかった。でも、その場面でのキャラクターたちの会話って、実に他愛もないことなんだ。水中のなかでする必要もないような下らない会話で(笑)」

――(笑)

「巨大なアクションシーンでありながら、そこでの会話はいたって日常的という、その組み合わせが面白いと思ってね」

――島に上陸する場面も、おかしなアクションシーンですよね。

「その通り。あそこを見てもらえば、この映画の特徴がわかってもらえると思う。主人公たちが島に上陸し、砂浜を走り、ホテルのなかに入って、屋上まで階段を上がり、階段を下って、結局誰もいないことに気づく。やたらと凝ったアクションシーンなんだけど、何も起きないんだ。もちろん、あとでそれは勘違いであることが明かされるわけだけど、前半部分ではなんにも起きない。キャラクターたちが、ただひたすら走るだけで(笑)」

――通常のアクション映画ではあり得ない展開ですよね(笑)

「アクションという要素が加わったところで、ぼくの映画が親密でパーソナルであることに変わりはないんだよ(笑)」

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インタビュー2 ~ウェス・アンダーソン監督インタビュー(2)
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