劇場公開日 2003年3月21日

「孤独感が彼を犯罪に走らせる」キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0孤独感が彼を犯罪に走らせる

2024年1月13日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

彼は早くから小切手詐欺で大金を稼いでいた。それにも関わらず彼は身分詐称や小切手詐欺を止めず危ない橋を渡り続けている。それは、孤独感や周囲の人間から認められたいという承認欲求から来ているのだと思う。

作中では、ライバル的な立ち位置のトム・ハンクス演じるFBI捜査官、カール・ハンラティに、クリスマスの日に電話をしている。そのときカールは「お前が電話をしてきているのは話せる相手がいないからだ」と主人公フランクを嘲笑している。フランクにとって図星の発言だったようで、怒りをあらわにしながら電話を切っている。また、父親にも継続的に手紙を送っている。これらの行動から、彼の周囲には彼を認めてくれるような関係性の人が一人もおらず、孤独感から逃避するためにパイロットや医者等、皆が優秀だと認め憧れるような社会的地位の高い職業の詐称を繰り返しているのだと思う。その契機となったのが両親の離婚であり、彼の心に暗い影を落とし、犯罪に手を染めさせる原因となっているのだろう。

最終的に彼は逮捕され、FBIにおいて今まで詐欺から得た知見を提供しながら働くという、FBI捜査官カール・ハンラティが提示した条件の元に釈放されることになる。そこからは真面目に働き再犯を起こしていないのだが、これもカール・ハンラティがフランクに寄り添うことで孤独感を埋めることができたのが理由だろう。

彼の孤独感や承認欲求が理解できる部分も大いにあり、色々と考えさせられるとても良い映画だった。

根岸 圭一