劇場公開日 2024年2月10日

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「小説原作を実写化する場合の初歩的な失敗」正しいアイコラの作り方 東鳩さんの映画レビュー(感想・評価)

1.0小説原作を実写化する場合の初歩的な失敗

2024年2月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

原作の小説は未読ですが、この映画は小説原作を実写化する際の初歩的な失敗をしています
それは原作の雰囲気を踏襲する目的で小説にある地の文をそのままナレーションとして入れてしまうこと
それも可能な限り大量に小説の地の文をナレーションとして入れてます
さらに主人公が陰キャオタという設定だからでしょうが、とても早口で喋ります
これには最初の数分でウンザリして、これはダメなヤツだなと見切りました

小説は各々の読むペースで時間が進むので地の文が長くても気にはなりません
(もしくは主人公に取っては一瞬の出来事だという体にできます)
しかし、映像作品にする場合は誰にとっても一定のペースで時間が進むので、明らかに長いナレーションは聞いてるこちらを不快にさせます
基本、全部が不要な説明ですからね
分かっていることをダラダラ喋られるのは苦痛しか感じないわけです
もし必要な情報があるなら、それはセリフかモチーフか演技で表現してください

さらに長いナレーションは今度は別の問題を引き起こします
それがナレーションが言い終わるまでの時間、演じている役者は何をして間を持たせればいいの?問題です

あとでナレーションを入れる時間分、間を引き延ばすために役者が不自然な演技をさせられているシーンの多いこと多いこと
女といることに嫉妬した友人と主人公が掴み合いの体勢のまま静止したりとか、そういう不自然さを強いられている演技が異常に多いです
みんなの演技が下手に見えるだけなんでこんな演出は役者にとって可哀想過ぎます
シンプルにセリフのほとんども無駄に長いものばかり…

そして、ナレーションを言う時間を稼がないといけないから編集がメチャクチャにルーズです
結果、中身が薄くて退屈なのに上映時間は長いという…

あと、音楽がほとんど無いです
これはインディーズ映画によくある予算足りない問題かもしれませんが私はナレーションを言っている所が多すぎて音楽を入れる隙間が無かったんだと睨んでます

小説の地の文をそのままナレーションで入れようとした時点で、玉突き事故的に映画を形作るいろんな要素が殺された映画だと感じました

高石あかりさんとか売れたのに未だインディーズ映画出るのは、もしかしてこの監督に才能があるのかな?なんて深読みしてしまったんですが全然そんなことはなかったです
というか、インディーズの自主映画なんだからオリジナルを考えればいいのに
わざわざ原作を探してきて映像化するのは商業映画に任せましょう
これから羽ばたこうという気概のある監督はオリジナルの映画を考えて欲しいものです
オリジナルを考えられないなら、そもそも映画監督になる才能は無いので色々と諦めた方がいいと思いました

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東鳩