劇場公開日 2017年3月11日

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「傑作」クー嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 KUさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0傑作

2017年5月6日
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鑑賞方法:映画館

舞台は国共内戦終結後10年がたった台湾で、外省人の大量流入と大陸反攻への絶望から、社会を閉塞感が覆っていた時代、少年達は不安の中で徒党を組むようになる。本作は小四(シャオスー)と小明(シャオミン)の恋愛を中心に据えながら、彼らを取り巻くグループの内部事情やグループ間の抗争、さらには親世代の葛藤を描き、その中で当時の台湾社会の矛盾を浮き彫りにしていく。

実際に起こったことを切り取ってそれを元に一つの世界を描けば、そこには現実世界さながらに多くのテーマを見出すことができる、この映画はまさにそういう映画。何しろ上映時間が長いのだが、多くは本筋の二人の恋愛とは直接の関わりがない。だが、重要でないシーンなどそういう意味では皆無に等しく、そのカットのそれぞれが作品世界を完成させている。カメラワークや光の使い方が全体的に硬質な雰囲気をもたらしていてそれがさらなるリアリティを付加している。

そんな映画を4時間も観ているうちに、かなり深く作品世界に没入してしまって、上映終了後は立ち上がるのも大変だった。素晴らしい映画を観ることができて良かった。

く