劇場公開日 2024年1月19日 PROMOTION

僕らの世界が交わるまで : 特集

2024年1月15日更新

新年早々、今年のベストラストシーン(個人的)が決定
すれ違っていく母と息子→物語は最高のエンディングへ
映画好き&音楽好きもきっと大満足する味わい深い1本
共感性1000%の“あなた”の物語をぜひ映画館で!

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鑑賞後、胸の高鳴りが止まらなかった。ラストシーンがあまりにも素敵だったからだ。しばらく胸がドキドキして、「この映画めちゃめちゃ好きだ!」と大きな声で誰かに言いたくなった。

その作品のタイトルは、A24が製作&北米配給を手掛けた「僕らの世界が交わるまで」(1月19日公開)。

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2024年が始まったばかりだが、個人的に今年1番好きなラストシーン。まだ1月の段階でそう言い切れるほど、じわじわと沁みる素晴らしいエンディングだった。

「終わり良ければ総て良し」という言葉があるが、今作は終わり以外も良いのでご安心を。ラストシーンに至るまでの過程も個人的にめちゃめちゃ共感できて、巧みなキャストが揃っていて、さらにスタッフもすごい。この特集では、本作の魅力を著名人の感想を交えて解説していく。


【予告編】家族って時々ムズカシイ

【観て良かった1本】個人的“ベストラストシーン”が
出た! これは“あなた”に贈る、共感必至の母子の物語

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今年1番好きなラストシーンを見つけた――きっと12月にもその順位は変わっていないはずだ。ここからは、本編を鑑賞した筆者にそこまで“刺さった”理由を、感想を交えて語っていく。


●物語:とんでもなくすれ違いまくる母と息子
刺さる人には共感性1000%の展開、そして“今年イチ好きなラストシーン”へ…
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まずは物語への共感について。本作では、笑っちゃうくらいすれ違う母と息子の姿が描かれる。母・エヴリンはDV 被害に遭った人々のためのシェルターを運営し、高校生の息子・ジギーはネットのライブ配信に夢中で、自分のフォロワーのことしか頭にない。

お互いのことを分かり合えていなかった2人は、互いの身代わりのような存在と出会い、距離を縮めようとするものの、空回りし続ける。

「ちゃんと話し合って!」と口を出したくなるほど、噛み合わない2人。ジギーの行動を見ていると「わかる」からの「わかり過ぎて困る」という謎の感情が芽生えた。ちょっと恥ずかしくなってしまうような、思春期&反抗期だった頃の自分を思い出したからだ。

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それと同時に、母親に対して「あの時はごめん」と当時の態度を反省した。家族であっても、どんなに仲が良くても、所詮は違う人間なので全てを理解し合うのは難しい。生きるのに不器用なところがそっくりな親子は迷走をしていくが、次第に関係性が変化していって……。タイトルの意味がしっくりくるまでの道のりが丁寧に描かれ、余韻が続く最高のラストシーンへと繋がっていく。


●音楽が神!
“映画好きの求めるもの”が詰まっている、だからこそオススメの一作
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音楽のセンスが飛びぬけて良いことも、猛プッシュしておきたい。今作の音楽は、「ミナリ」のエミール・モッセリが手掛けている。ピコピコとした音が印象的な楽曲もあれば、優しい音色のピアノが響く楽曲も。ジギーが歌う曲は、本当にジギーが作ったようなリアルなものになっている。ジギー役のフィン・ウルフハードは実際にミュージシャンとしても活動しており、内面の不安定さを音楽で絶妙に表現している。

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そしてもう一つ伝えたいのが、質感が往年のミニシアターで上映されてきた作品に近いということ。色合い、キャラクター、美術や音楽に衣装、さらにとてつもなく大きな事件は起こらないのに心にはずっと残る作品になることも、ミニシアターに通い詰めた時代に観ていた作品たちによく似ていて、懐かしくなった。劇場の椅子に座って鑑賞すれば、映画好きにとっては大切な思い出に浸れる時間になるだろう。


【さらなる魅力は?】キャスト・スタッフが豪華!
映画ファンの“観たい”を刺激する3つの注目トピック

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まだまだ伝えたい本作の魅力がたくさん! ここからは、特に映画ファンにとってはたまらない要素をピックアップして紹介していく。


[刺さる魅力1]注目の映画会社「A24」×人気俳優ジェシー・アイゼンバーグ“監督”
カンヌ映画祭でも話題に!
ジェシー・アイゼンバーグ
ジェシー・アイゼンバーグ

監督を務めたのは、「ソーシャル・ネットワーク」や「グランド・イリュージョン」シリーズで知られる俳優のジェシー・アイゼンバーグ。数々の名作で活躍する若き名優が長編初監督に挑戦し、脚本も手掛けている……撮られる側から撮る側へという転身が、どう映画に影響をおよぼしているか気になる人は多いはず 。

さらに、映画会社「A24」(「ミッドサマー」「ムーンライト」など)の製作&北米配給作品というのも注目ポイントの一つ。芸術性と娯楽性が高い次元で両立した良質作を創出し続け、 アカデミー賞の常連となっている「A24」が携わっていると聞いて、より 興味が出た映画ファンもいるだろう。

また、サンダンス映画祭でのワールドプレミア上映や、あのカンヌ国際映画祭では批評家週間オープニング作品に選出されるなど、品質は折り紙付きだ。


[刺さる魅力2]うますぎる俳優陣
母親役はアカデミー賞女優ジュリアン・ムーア、息子役は「ストシン」のフィン・ウルフハード!
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母・エヴリンを演じたジュリアン・ムーアは、「アリスのままで」で第87回アカデミー賞主演女優賞を受賞している(ノミネート回数はなんと5回!)。息子・ジギー役は、Netflixの大ヒットドラマシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」や「ゴーストバスターズ アフターライフ」で世界的人気を博すフィン・ウルフハード。巧みな演技派と次世代のスターが遠慮なくぶつかり合い、豊かな化学反応を引き起こしている点もまた、私たち観客を唸らせる。

[刺さる魅力3]スタッフも“観たくなる”
プロデューサーは、なんとエマ・ストーン! クオリティも納得の強力な布陣
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今作は、「ラ・ラ・ランド」でアカデミー賞主演女優賞を獲得したエマ・ストーンが、夫であるデイブ・マッカリーと共に設立した映画/TV制作会社「フルート・ツリー」にとっての初製作作品でもある。ストーンとアイゼンバーグは「ゾンビランド」シリーズで共演してきた“盟友”。家族に対するアイゼンバーグのユニークな視点に圧倒され、支援を引き受けた。

ストーンはオフィシャルインタビューにて「複雑さと人間性がふんだんに描かれ、驚くほど具体的なのは、彼の文章による表現力のなせる技ね。何よりもこれまでにない物語だということに衝撃を受けた」とアイゼンバーグの手腕を評価している。

なお、ストーンによると、アイゼンバーグ自身も長年DV被害者のためのシェルターに関わっているそうで、「本作で提起している多くの問題について(アイゼンバーグが)考えていることを私は知っている。彼は人に対して深い愛情と思いやりの心をもっている。けれども一方では、人々が取る行動の理由、世界が現状のように機能する理由に強い好奇心をもつ、感情に流されることのない語り手でもある。彼がつくる登場人物は奇妙で度を越していて、そして愛すべき存在」と、盟友目線で解説している。


【プロの評論家たちの感想】絶賛&共感の声が続々!
「痛いほどよく分かる」「希望を持った優しい映画」

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最後に、本作を鑑賞した映画ライターや著名人の感想をご紹介し、特集を締めくくろう。

[人気映画ライターのレビュー]SYOはこう見た
「ジェシー・アイゼンバーグの先のキャリアが楽しみで仕方なくなる秀作」

まずはSYO(物書き・映画ライター/30代男性/@SyoCinema)のレビューを掲載する。本作の情報解禁から「夢の企画」だと期待していたというSYOが、見どころと共に映画好きならではの目線で解説。作品選びの参考にしてもらえれば幸いだ。

●推し同士が夢のコラボ→痛々しさの解像度の高さに感銘を受けた
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「僕らの世界が交わるまで」の情報解禁は、個人的にちょっとした“事件”だった。ガチファンであるA24とジェシー・アイゼンバーグという推し同士のコラボレーションであり、ジェシーは監督・脚本も手がけるという。製作にはエマ・ストーンが名を連ねており(ゾンビランド!)、ジュリアン・ムーアとフィン・ウルフハードが親子を演じる――。「なんだこの夢の企画は!観たい!」とスマホの前で独り盛り上がっていたものだ。そして日本公開が決まり、本編を観賞し――ジェシーのイズムと監督としての上手さ、痛々しさの解像度の高さに感銘を受けた。

まず、ジェシー・アイゼンバーグという俳優は「ソーシャル・ネットワーク」に代表されるように、他者との距離感がわからないナードの哀しみを具現化するのが異常に上手い。本当はナイーブで寂しがり屋で誰かとつながりたいのに、自分の感覚で突っ走るあまり一方通行になってしまう……。「イカとクジラ」「嗤う分身」「母の残像」「カフェ・ソサエティ」「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」、それぞれに配分やジャンルは違えど、どこかに「理解されたいのに空回る」哀愁が漂っている。(僕自身もそうだが)同じような欠陥を抱える人々の救いとなってきた彼の特性が、「自己愛が強すぎる」母と息子の歪な関係性、振り回される周囲の人間の物語に“拡張”されたのが、「僕らの世界が交わるまで」なのだ。

●ビターな展開、主人公補正をかけない公平性……随所で光る引き算の美学
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ある種の自己投影的な作品を選んだことで、客観視と紐づく“魅せ方”のスキル=監督としての技量が如実に出たのも興味深い。フォロワー数ばかり自慢して意識高い系女子に相手にされない息子、理想の子ども像を他者に押し付けて煙たがられる母――どちらも超絶イタい人物だが、当人の心の痛みをきっちりと掬い取りつつやや引いた距離感で見つめ、「我々はつらいんだ、わかってくれよ!」と押し付けないのが何ともエレガント。

「アフター・ヤン」「シック・オブ・マイセルフ」ほか傑作続きの撮影監督ベンジャミン・ローブの力量もあろうが、画面構成はもちろん「描きすぎず、一歩手前で止める」人物描写やベタな親子の感動物語とは一線を画すビターな展開、主人公補正をかけない公平性等、引き算の美学が随所に感じられる。これまでは狭く、深い「重なる観客」への“共感”に秀でた役者だったのが、監督・脚本を手掛けた本作ではより広い「全方位」的な“理解”へと進化している。

新作「A Real Pain(原題)」では監督・脚本に加えて出演も兼ねたジェシー・アイゼンバーグ。この先のキャリアが楽しみで仕方なくなる秀作であった。


[評論家・著名人の感想]宇垣美里、よしひろまさみち、ふくだももこらはこう観た
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著名なクリエイターたちも今作を鑑賞し、絶賛コメントを寄せている。なかには、母と息子の関係性が「痛いほどよく分かる」という共感の声もあった。


★内田恭子(フリーアナウンサー)

母親と息子。当たり前だった距離感が当たり前じゃなくなくなる時期。不安と苛立ちがそれをさらに複雑なものにしていく。痛いほどよく分かるなあ。でもそこで終わりじゃない。また以前とは違う形で母親と息子が近づくタイミングがあるんだって。親子の絆は伸び縮みしながら強くなっていくんだ。


★宇垣美里(フリーアナウンサー・俳優)

言葉は噛み合わず、すれ違ってばかりの母子。
なのに他者を妙に神格化し、独りよがりに暴走する二人の様子は、あまりにそっくりで思わず笑ってしまうほど。
透けて見える自意識って超イタい!
でもそんな愚かな彼らが妙に愛しくて。
鑑賞後、身近な誰かをぎゅっと抱きしめたくなりました。


★よしひろまさみち(映画ライター)

自己愛が強すぎて、肝心なものを見落とす青春時代。名声と影響力は必ずしも比例しないのに、根拠のない自信と勢いだけで猪突猛進しちゃう。可愛くもあり憎らしいあのころを思い出さずにいられなくなる。


★三宅唱(映画監督)

ジェシー・アイゼンバーグは『アドベンチャーランドへようこそ』などで鈍感にも繊細にもみえる人物を見事に演じてきたが、笑えるようで笑えない世界、笑えないようで笑える瞬間への鋭敏な感度は監督としても健在だ。


★ふくだももこ(映画監督・小説家)

君がジギーと同じ17才になる頃、私たちの関係はどうなってるんだろう。
ジギーとエヴリンがかつてそうだったように、私も君の相棒でいたいと思うけど、親子ってどうやら色々難しそう!笑
映画の中の2人みたいに、笑っちゃうくらい似てたりするんだろうか。
いつか、17才の君と一緒にこの映画を見たい。

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