劇場公開日 2024年2月9日

「映画の花束」一月の声に歓びを刻め タケちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0映画の花束

2024年3月6日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

幸せ

最初にカルーセル麻紀と哀川翔、それに前田敦子が主演と聞き、いったいどんな映画になるんだろう、と思っていたのですが、実際に映画が始まると、まずは洞爺湖畔の静かで美しい光景に心を奪われました。
最初はカルーセル麻紀が主演のパートで、なぜ彼が男性であることをやめたのか、という背景が、映画の進行と共に明らかになっていきます。

映画的な文法に則って、粛々とストーリーは進んでいきます。
その中でも、それぞれのパートの主演俳優たちの演技が光っていました(特にカルーセル麻紀!)。
哀川翔の娘に対する一途な愛、前田敦子の鬼気迫る演技もすばらしかったです。

三島有紀子監督の個人的な性被害の体験がベースになっているとのことですが、そのことはあまり意識せずに、ただ映像の美しさと、それぞれのストーリーの展開を追っていくだけで、静かな感動と、生きていくことに対する全肯定的な姿勢が自然と伝わってきて、映画館を出ると、清々しい気持ちになっていました。

「映画に救われた」という三島有紀子監督が、映画を愛する俳優やスタッフたちと力を合わせて作り上げた、映画ファンに贈る、ステキな映画の花束だと思います!

タケちゃん