劇場公開日 2024年2月9日

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「水の流れ、広大な海が、静かに心を鎮めていってくれる」一月の声に歓びを刻め とちさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5水の流れ、広大な海が、静かに心を鎮めていってくれる

2024年2月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

幸せ

映画は3部作形式で、3つの物語を海が繋ぎ、船の離着岸が新たな物語への展開に移る深呼吸をさせてくれ、それぞれの物語がすーっとつながって行く感覚が心地良かったです。
決して癒えることのない心の傷を負った人たちが、過去の記憶に苦しめられながらも、それを真摯に受け止めて生きていく、そんな人間の崇高さを感じました。そして、その痛みや怒りを水の流れ、広大な海が静かに飲み込んで鎮めていってくれる。なんだか、自身の心も浄化されていくような感じがしました。この浄化がタイトルの「歓び」なのかという気がしました。
特に1話目は、北海道の雪景色とそこに建つ美しい家で丁寧にお節料理を作るという映像美の中で展開されるカルーセル麻紀さんの役どころ、演技に圧倒されました。切れるように冷たい空気の中での「男の慟哭」、本当にすごいのでぜひ観て欲しいです。カルーセル麻紀さん、よくこの役を受けたなぁ、三島監督、よくオファーしたなぁ、と思わずにいられないです(笑)。

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とち