劇場公開日 2024年2月9日

「消え物は、旨そうです。」一月の声に歓びを刻め TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5消え物は、旨そうです。

2024年2月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

個人的に相性の悪い三島有紀子監督。正直、この作品についてもあまり興味を持っていなかったのですが、一月後半からの自分自身の劇場鑑賞が連続して評価が高かったこともあり、勢いに任せて三連休の真ん中に鑑賞です。
本作については、何度か別の作品の鑑賞の際に流れる予告を観るともなしに観ていただけ。で、「豪華な俳優陣で主演は敦ちゃん?」というのが私にとっての限られた事前情報。それに先行してご覧になった方の点数が高めだったこともあり、実はちょっとだけ期待していました。ちなみに私、別に前田さんのファンというわけではありません。彼女についてAKB時代のことは殆ど知らず、むしろ女優として彼女を見ていて、時折凄く光った演技をする彼女に惹かれることがあり「彼女が主演なら或いは…」と言うのが大きかったのですけど。。。
この作品、章立てに構成されていますが、それぞれの章について物語上は繋がりがありません。要するに「オムニバス」のようなもので、前田さんはその一つの章(三章)の主演であり、他にカルーセル麻紀さん(一章と四章)と哀川翔さん(二章)が主演の物語があります。実は、私「オムニバス」もあまり好きではありません。ただ、それに気づくのは二つ目の話が始まってからしばらくしてのことですから後の祭り。もうそういうものだと納得して観進めるわけですが、この監督の作品は裏切らずに(私には)つまらない。私、よくよく他の映画評でも触れることが多いですが「家族という呪縛」の話が結構すきなのですが、何というか三島監督作品のそれは中途半端で若干ファンタジーとすら感じてしまう分、優しさも意地悪さも心に来ない。敢えて言えば、一章や二章に出てくる飯(消え物)は旨そうであり、何ならもっとちゃんと映してほしいくらいの勿体なさは感じます。
そしていよいよ三章。こちらは一章と設定として重なるところはあるものの、他の二つの章とは違って家族のことは程々。なんなら、そんなことがあっても母親がこの調子というのは、むしろ母は何も知らないのか?と思えば尚、胸にグサりとくるれいこ(前田)の激白は見事で、「やはり敦ちゃんは持っている」と思わせてくれます。逆に言うと、そこだけかな。。この章もでは内容はと言えばやっぱりフワッとしていて、中途半端。
そして、またリンクする形で四章で締めくくられるわけですが、結果的には「(苦手な)オムニバス形式が逆に良かった」と思えるほど118分が長く感じるつまらなさ。終始酷評でこの監督のファンには申し訳ないですが、少々自分に酔っているような作品性が鼻につく三島監督。もういいかな、というのが私の結論です。

TWDera