縞模様のパジャマの少年のレビュー・感想・評価
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フェンス越しの禁じられた友情
フェンスで挟まれた境界は地獄との境境界。
少年達はその違いを分かるのにはあまりにも幼すぎました…。縞模様のパジャマ=囚人服ということすら理由が分からない、ナチス将校の8歳の息子ブルーノとユダヤ人シュムエルと無知で純粋からうまれた友情。
その結末はあまりにも残酷じゃないですか…。
二人の友情はシュムエルが屋敷のお手伝いになったことで、一時的に二人の間のフェンスを越える。ただ、あまりにも無垢であるから故の残酷な裏切りという仕打ち。
起こってしまった裏切りという苦しみ以上に絆はゆるぎないものでした。時間と共に二人はいつもの金網越しでの楽しい仲に戻ります。二人の間には、人種も差別も何もないのです。が、この頃から観ていると嫌なざわつきを覚えます。
無知が悪いのではない。大人たちが自分たちの都合が悪い事を子供に伝えていないことが悪いんです…。
何も知らないで着てしまった縞模様のパジャマ。何も知らないでついて行ってしまった大人たちの行進。何も知らず入ってしまった部屋…。
泣き叫ぶ母親、息子の名前を呼ぶ父親、もう遅いのです。ガス室で純粋な二人は大人たちの身勝手な争いのために苦しみ悶えて亡くなっていくのです。なぜ、なぜなんだという無念の気持ちしか残らない映画です。二人の全く間違っていない純粋な友情と行動の結末としては余りにも悲くはないでしょうか!
子供達が簡単に超えれる境界線は大人はなぜこだわり続けるのか…。
重い、、
後半穴が掘れる!ってなったところからオチが想像できて涙が止まらなかった。
オチがわかるから面白くないとかそういうレベルじゃない。
やめてやめて、、と思いながらラストを迎えた。
子供2人とも目が力強い。青くてかっこいい。
お父さん役はハリーポッターのルーピン先生か。
ベラ・ファーミガとの夫婦良かった。
両親の後悔の念ハンパないだろうな、、
最初、友達がネズミのモノマネしてからかったユダヤ人が、最後シャワー室の中でブルーノに対して同じ表情で見つめているの苦しかった。
シンドラのーリスト、ライフ・イズ・ビューティフルを思い出す。
コトラーが奥さんに煙の正体明かしたことから、自身の父が反戦しているという報告義務を怠ったということを突かれ、前衛に送られたの辛い、、
奥さんの「母親が反戦意思があっても報告義務は無いのにね」という皮肉を言うシーン痺れた
時として残酷な友情
パッケージ写真にすっかり騙された。純粋な子どもたちの交流にかすかな希望を持って見続けたが、最後はショックでしばし呆然となった。中には入ったけれど、異様な雰囲気に一度は帰ろうとするブルーノを引き留めるシュムエル、知らない故彼に罪はない。二人で手を握り合う一瞬のカットがせめてもの救いに感じた。
ブルーノを必死に探す所長の父親だが、所長の権限で収容所の作業をすべて停止するのか!?は、甘い考えだった。残酷な結末によって所長自身は変わるだろうか、いや変わらない。自分の子どもの悲劇を公表することはないだろう。所長とは言え家族の不始末は自分の立場を危うくするので部下に箝口令を強いて、何事もなかったように任務を遂行することだろう。そして本当の苦しみ悲しみは敗戦後に来るのかもしれない。
母親の方が気がかり。それでなくても心を病みかけていたのにまさか愛する息子が、、と思うととてもまともな精神ではいられないのではないかと思う。見終わった後それが一番重く引きずっている。
目を覆うような残虐なシーンはないが、救いを見出せない不条理さが突き刺さる映画だ。
オススメですが、鑑賞は気力のある時に。
希望のないラスト、救いようのないラストが、中盤~終盤にかけて予想できるシリーズ。
無邪気、無知が罪だと言われているような作品。8歳の子供に理解しろと言う方が無理な話かもしれないが、あの時代の子供(戦争の指揮を執る人間を父に持つ子供ならなおさら)たちは、戦況やその中に存在する格差を無意識レベルで感じ取っていると思う。
ブルーノからすれば、ユダヤ人少年への優しさは、心からの好意で、友達としての優しさに違いない。しかし、それが発覚した時にあまりに酷いとばっちりを受けるのは、ユダヤ人の少年である。
今を生きていることに感謝
少年が収容所に侵入してからドキドキが止まらなかった
自分(父親)の仕事で息子を殺すことになるとは
オチが読めるのにドキドキしていてどこかで彼らだけは助かってくれと映画だと分かってはいても願ってしまう
人種や国、宗教が違うからといって敵ではない
昔よりはそう思える世の中になった今を、この日本を生きていることに感謝
最後
ユダヤ人迫害時代のナチス党員の父を持つ少年と
ホロコーストの少年のお話。
子供ながらの無差別意識がどんどん侵食されていく。
姉のグレーテルがそのいい見本。
環境が変わったことと、
家庭教師のナチス思考+気になる中尉に近づきたいがゆえの乙女心が
彼女をナチス思考者へと変貌させたのだろう。
彼女の部屋のナチスポスターと地下の人形たちの残骸にはゾッとする。
最後自分の子供が死んだのを悟って大いに悲しむが、
実際に自分の身の回りで起きないと人間はわからないものだね。
ユダヤ人は有無も言わさず迫害してきたというのに。
重い。 ドイツ人の少年とユダヤ人の少年の金網越しの友情の物語。 ド...
重い。
ドイツ人の少年とユダヤ人の少年の金網越しの友情の物語。
ドイツ人少年の父親はユダヤ人収容所(毒ガス)所長というなんとも皮肉な現実。
収容所の内と外は雲泥の差。だけど、そういう大人の事情というかお国の事情というか、そういうことではなく、少年同士の友達を思う純粋な思いは、反戦を訴えるには充分すきるくらい。
所長がみた自分の息子の最期。それを思うと父親として戦争を考えて欲しいなーと思った。
鏡
全く環境が異なるふたりの少年。
片方は裕福なドイツ人。
もう片方は強制収容所に入れられたユダヤ人。
ふたりの少年を主人公にしたことにより差別というものが、大人になるうちに刷り込まれていくものであることが分かります。
ふたりは当然見た目も違うし立場も違います。
しかし、私は次第に有刺鉄線を隔てて向き合う彼らが鏡の役割を果たしていることに気がつきました。ラストで彼らはいつの間にか同じ運命を辿ることになります。
戦争であれ難民であれ、社会で起こっていることに対して塀の外にいることは、残念ながらできません。明日は我が身ということなのです。
言葉が出ない
久しぶりに心を動かされた映画。
ジャケットすらよく見ずに評価が高かったことから選んだ作品だったが、感動ものだと思っていたのでかなりのショックだった。長すぎずちょうどいい長さで無駄なく退屈することがなかった。
心が痛むシーンは要所であったが、特にブルーノが食べ物を与えたことで起きた騒動では辛くて涙が出た。甘い顔の将校が子供相手にとても強い言い方をしていることもショックで、ユダヤ人の扱い方について改めて痛ましいと思った。
ラストは父親にとって因果応報で、残虐なことをしているということが自分の息子の身を持ってしてようやく自覚することができたであろう。
気になるとすれば、ラストで母親が地面に座り込み号泣している際、姉グレーテルも一緒に泣いていたことだ。いくら部屋にヒトラーのポスターを貼ろうがユダヤ人批判の教育を受けようが、まだ弱冠12歳。おそらく度々あがっていた黒煙とその異臭にすら気づいていなかった姉が、初めて家の外に出て収容施設まで行きどうして状況が理解できようか。なぜ母が泣いているのか、なぜブルーノの服があるのか。収容施設でなにが行われているのか。おそらく疑問でいっぱいで動揺しているはずだ。しかしそのシーンでは母を抱き寄せる前一緒に座り込んで泣いていた。そこがどうしても納得がいかず引っかかってしまった。
ともあれ考えさせられる作品だったことには変わりない。間違いなく今年私が観た中で一番の作品である。
考えさせられる
第二次世界大戦のナチスの映画
イングロリアスバスターズ
ディファイアンス
ライフイズビューティフル
縞模様のパジャマの少年
どれも違った切り口で、
興味深く、今後他のナチス関連の映画を観ていきたいのですが
この作品は怖かった‥
90分ほどですが無駄がない
終わったあとタイトルを見て震えあがりました
ドイツ人も辛かったのだろう
あるところまで来てしまうと突き進むしかなかったのだろう
軍人も疑問を持っていたと思うが
自分の身を守るために陶酔するしかない
そして知らないことのこわさ
無垢なこどもが何の知識もない状態で、先生や教科書、メディアで植え付けられた意識をどうやって振り払える?
自分が集団的自衛権に対して無知なことに怖くなった
阿部さんも戻れなくなってしまっているのか?
観て良かったけど、観なきゃ良かった
前情報無く鑑賞したのが良かった。
何?何?という感じでどんどん引き込まれました。
こんなショッキングな映画を観るとは思わなかった。
知っていたら、観なかった。
辛すぎるでしょ。
主人公ブルーノの母親の存在が救いでした。
もちろんそうなんだけど、ドイツ人全員がナチスの思想だったわけじゃない。
軍人の父親だって自分の家族に対しては、ごくごく普通の父親。
しかし・・・・ナチスなんですよ。
はからずも、自分の足で息子を踏みつぶしたんですね。
戦争なんて、何一つ良いことない。
もう、あんな血の気の引くようなラスト嫌いです。
観なきゃ良かった。
でも、観て良かった。
そして、一人でも多くの人に観ていただきたいです。
さあ、手に汗握ってください
うそを言った償いでお父さんを一緒に探しに行くなんて、いい子だわ。パジャマはちゃんと着ないと、帽子はかぶらないと中に入れないよ。
観ている俺たちは、ああイカンて、ダメやて。
ホラー映画にある、ああそっちはイカン、を冒頭からきめ細かくそこだけに持てる力をすべて注ぎ込んだ映画。お涙頂戴、うつになってください、の題材だが、そこにドキドキしちゃってちょうだいと、作り手も言っているようなモン。好みとしては親が同時に探し回るのはそのピークのあとだから、やり過ぎでマイナス。
銃声やら爆撃よりも重く痛い
まず、原題の『The Boy in the Striped Pyjamas』も、邦題の『縞模様のパジャマの少年』も素晴らしいタイトルでございます。
この映画の舞台は、ナチスドイツがホロコーストを行っていた第二次世界大戦下のドイツであり、映画の主人公はブルーノというナチスドイツの将校の9歳の息子ですが、彼はあまりにも純粋で無垢すぎて、戦争のせの字も知らないような子で、強制収容所に収監されたユダヤ系の民族の纏った縞模様の囚人服をパジャマだと思うような子であります。
そんな歴史的な教養のないドイツ人の子が、英語をペラペラ喋るという矛盾点だとか、ブルーノと同い年の8歳の労働力のない子が、強制労働収容所に収監されているという些か無理のあるような設定にも目を瞑りましても、これは非常に優れた戦争ドラマであり、ヒューマンドラマです。
これまでにホロコーストを題材にした映画というのは多々観られましたけれども、この映画でのホロコーストに対してのメッセージのアプローチは、明らかに毛色が違います。
まず、主人公が大人でもなければユダヤ系でもなく、どちらかと言わなくても安全な立場にあり、戦争の実体そのものを知らない単なる冒険好きの恵まれた子供だということです。
そしてこの映画は、その純粋な心すらも翻弄し、無視してしまう戦争の虚しさ、愚かさ、無意味さを、鉄砲の弾やら爆撃よりも重く訴える作品です。
戦争のせの字も知らないと言えば、それは現在のこの国日本における多くの人に他なりません。
幾ら歴史の教科書や映画などでナチスとかユダヤとか戦争とかの色々な知識を詰め込んだところで、実体験として戦争を経験していない私達にとって、この映画の純粋な子供目線は、あまりにも優しく、そして重く痛い。
戦争を知らない者は、戦争を知る者から、上からの高圧的でプロパガンダ的な押し付けがましい価値観での教えではなく、同じ目線からの教えが必要なのかもしれません。
そして何かを得ようと思ったら、何かを失うというリスクが伴う。
有刺鉄線の囲いの向こう側にある大きな事実を知ろうと思えば、それまで抱いた夢も、今まで生きてきた中での純粋な価値観さえも、あっけなく葬りさられる可能性すらも孕んでいる。
そんなリスクを覚悟の上で、行動出来るということが如何に強いことなのかということは『シンドラーのリスト』のオスカー・シンドラーに譲るとしまして、この映画は、そんなリスキーな状況に陥る可能性があるということすらも知らない子供なのです。
しかし、子供も大人も演技が素晴らしいです。
決して台詞の多い映画でもないのですが、皆凄まじい目力で、観客に心情を訴えかけてきます。
「目は口ほどにものを言う」とは言いますが、戦時下という極限状態の中でのその目は、あまりにも痛切です。
そして、その瞳の奥にある秘めた思いは、膨張して破裂したら、断末魔の叫びとなって虚しくも重く響き渡る。
救いがない
正直観た後憂鬱になる
たくさん考えさせられる
ブルーノが無知であり純粋であることは、彼に友人をもたらし、楽しみを与えた
芋の皮を剥く老人と、縞模様のパジャマの少年はブルーノと関っている時だけは、家畜以下のユダヤ人労働者ではなく、人間であった
父親は正しい軍人であると信じたかったブルーノはあの映画で父親を信じただろう。
真実を知って悲劇を迎えるラストはわかっていてもなんともいえない(悲しさともむなしさともいえない)気持ちであふれる
父親はあの時代のあの国では正しい軍人だったのだろう。
あのラストの後、彼は少しでも変わったのだろうか。
しかしきっと何も変わらないのだろう
縞模様のパジャマの少年
イギリス映画。1時間34分。アイルランド人作家 ジョン ボインの短編小説を映画化したもの。ジョン ボインは1971年生まれの戦争を知らない 若い世代の作家だ。岩波書店から千葉茂樹訳で、本が出ている。
映画監督は、マーク ハーマン
音楽は ジェームス ホーナー
撮影はハンガリー ブタペストで行われた。
今年になって ナチズムをテーマにした映画が続いている。アカデミー賞受賞の「愛を読む人」、トム クルーズの「ワリキューレ」、それと、007ジェームスボンドのダニエル クレイグが主役を演じている「DEFIANCE」だ。どれもなかなか重いが 観る価値のある映画だ。
キャストは、
ブルーノ:エイサ バターフィールド
シュメル:ジャック スキャロン
父親 :デビッド シューリス
姉 :アンバー ビーテイー
母親 :べラ ファーミ
ストーリーは
8歳のブルーノは 軍人の父親と、優しい母親と12歳の姉の4人家族で ベルリンに住んでいる。
戦争が始まっていて、大人たちの顔色は冴えないが 学校には たくさんの友達がいるから 毎日が楽しくてたまらない。ブルーノは、軍人の父親が 職場でどんな仕事をしているのか知らないが、男の子にとっては 父親はいつもヒーローだ。
ある日 父親が ベルリンから地方に転勤になって、家族そろって引越すことになった。ちょっと、寂しい友達との別れ、、、ブルーノは 田舎の新しい家に 慣れようとする。しかし、奇妙なことにブルーノの家は 他のどの家からも離れた森のなかにあり、高い鉄条網に張り巡らされ、門には24時間軍人が警備をしている。家には とても怖い父親の秘書も一緒に住んでいて、息が詰まりそうな 緊張した空気が漂っている。
ブルーノの部屋から背伸びをして 高窓から外を覗くと 遠くにスポーツ場のようなフィールドが見える。おかしなことに そこには沢山のパジャマ姿の人々が住んでいるようだ。台所を覗いてみると こんどは ズボンだけ縞模様のパジャマを履いて 貧しい身なりの年寄りが 下働きをしている。子供の目から見ても 異常に見える縞模様のパジャマ姿の人について 父親に聞いても 母親に問いただしても 大人たちは困った顔をして 話題をはぐらかせるばかりだ。
引越しをして何が退屈か と言うと学校に行けなくなって、友達が一人も出来ないことだ。ブルーノは退屈で退屈で仕方がない。
4歳年上の姉は 父の秘書として家に居る 若いハンサムな軍人に恋をしていて、ブルーノをうるさがって、邪険にするばかりだ。彼女は自分の部屋にアドルフ ヒットラーの写真を張り、軍歌に心を躍らせて、秘書の後を追いかけてばかりいる。
ある日 家に誰もいないとき、ブルーノは 庭のブランコから落ちて、怪我をする。介抱して適切な傷の処置をしてくれたのは パジャマのズボンを履いた 台所の下働きをしている年寄りだった。傷の手当てをしてもらいながら、ブルーノは 男が 今はジャガイモの皮をむいているが 昔はドクターだったことを知る。
友達がいない、話し相手がいない、そんな中でブルーノの不満とやり場のない疑問は膨れ上がるばかりだ。
ある日、ブルーノは 物置小屋の小窓から 誰にも気付かれずに家の外に出られることを発見する。そっと 家の外に出てみると 外は美しい緑の林だった。縞模様の人々の居る方向に行ってみると 鉄条網のフェンスで仕切ってある その中に 男の子が座っていた。話しかけてみると、パジャマ姿の男の子は 自分と同じ8歳で、シュメルという子だということがわかる。シュメルはフェンスのなかで、人々が何をしているのか ブルーノには言わない。ブルーノは シュメルがユダヤ人だと 教えられるが それがどんな意味を持つのか わからない。ただ、引越し以来 初めて友達ができたことが嬉しくてたまらない。
ブルーノは次の日には チョコレートを持って、またその次の日には サンドイッチを持って シュメルに会いに来る。
ある日、ブルーノは自分の家の台所で、グラス磨きをさせられているシュメルを発見する。グラスの細かいところを磨ける小さな手が必要だったので 手伝いに呼ばれたものだった。いつものように、ブルーノはシュメルに お菓子を与える。それを 怖い軍人の秘書に 見つけられて詰問され、ブルーノは叱られるのがこわくなって シュメルにお菓子をあげたのは自分ではない シュメルが盗んだのだ、と言ってしまう。
翌日、ブルーノは卑怯だった自分を責めながら シュメルのキャンプに行く。シュメルは見るも無残に 殴られて怪我をしている。それでも、ブルーノが謝ると、許すと言ってくれたシュメルにブルーノは このたった一人の友達を もう二度と裏切らないことにしようと心に決める。そんなシュメルは、自分の父親が突然居なくなってしまったことを、とても心配している。ブルーノは、自分のために みんなと同じパジャマを持ってきてくれたら 鉄条網の下を掘って 下からキャンプに忍び込み シュメルと一緒に父親を探してあげようと 思い立つ。
一方、家庭では 母親は夫を信頼 尊敬してきたが 子供達を連れて引っ越してきたところが ユダヤ人収容所に隣接しているとは、移ってくるまで思ってもみなかった。また、無用意な秘書の言葉から キャンプの煙突から終始 煙が出て 嫌な匂いがするのは ユダヤ人を処分しているからだ ということを知ってしまう。妻は夫と対立して、そのような仕事をする夫と一緒に暮らすことはできない と主張する。そして、遂に子供達を連れて 別の土地に移り 夫とは別居することにする。ブルーノは また引越しすることを知らされて、シュメルにはもう 会えないことを知らされる。
出発の日の朝、シャベルを持って ブルーノは シュメルとの約束を果たす為に フェンスの下を掘る。子供が辛うじて通れる隙間ができると、ブルーノはシュメルが持ってきたパジャマに着替えて、二人でシュメルの父親を探しにキャンプの小屋から小屋へと、探索しながら走る。ある小屋では、沢山の男達が集められて何かを待っている。と、突然、軍人達に押し出されて、ブルーノとシュメルも 群集にもみくちゃにされながら コンクリートの部屋に追い込まれて、、、、。
というお話。
原作以上に 映画が とてもよくできている。音楽がめっぽう良い。音楽が映画の画面にぴったり寄り添って 効果的に観る物の視聴覚を興奮させ、喜ばせ 悲しませ 驚き 嘆息させて、すべてを経験させてくれる。映画の音楽がすごく良くて、映画を見ていて心地よい と心から感じたのは、最近ではクリント イーストウッドの「グラントリノ」以来だ。
最後の方の見ている人の不安感 恐怖感 そして、それが押しつぶされて 長い長い救いのない嘆きに変わるときに 音楽が心に響く。ジェームス ホーナーと言う人の音作りに、今後も注目していこう。
映画で秀逸なのは、8歳の子供の役者だ。くもりのない子供の瞳 という言葉があるが 二人の子供がまさに それだ。世界や自分のまわりで 何が起こっているのか わからないでいるブルーノの 子供の目に映る光景は、いつもおなかを空かしているシュメルであり、いつも嫌な臭いの煙を吐き出している煙突や 怖い顔の秘書であり、疑問と不安ばかりが増長していく。
ある日 家に軍人達が集まり 映写会をしている。ドイツが他国にむけてユダヤ人キャンプを様子を宣伝するためのプロパガンダというか、エクスキュースのフィルムだ。ユダヤ人はキャンプの中で、安全で楽しい生活を保障されている、家族は一緒で、良い食事を与えられ、サッカースポーツやゲームに親しみ、何不自由なくキャンプ生活をしている という映像だ。これを盗み見て、ブルーノは 嬉しくなって、思わず父親に抱きつくシーンが印象的だ。ブルーノにとって 父親はやっぱりヒーローだ。疑うことなどできない。
配役では、自分の任務に何の疑問も持たない、今までの歴史になかった特別の国 ドイツ帝国を作るという信念に凝り固まっている石頭の父親に、デビット シューリスは、適役だ。
ナチズムの正体を徐々に知ってしまい、良心の痛みから病人のように やつれていく母親役の、べラ ファーミガが とても良い。
そのとき、その場に居ると 人は外から客観的に 何が起こっているのかわからない。気をつけていないと 自分が踏みつぶしている生き物が 見えない。状況をみきわめて、何が起こっているのか 知ること。そんな中で さらに良心的に生きるということが、どんなに難しいことなのか、改めて思った。
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