新房昭之 : ウィキペディア(Wikipedia)

新房 昭之(しんぼう あきゆき、1961年9月27日 - )は、日本のアニメ監督、アニメ演出家、元アニメーター、作画監督。福島県伊達郡桑折町出身。血液型O型。別名義として「帆村壮二」「椎谷太志」「Magica Quartet」などがある。

作風

構成作家としては、原作のあるアニメを手掛ける際には「原作者の言いたい事柄は原作者にしか分からない」「原作者が考えていることをそのままアニメにするのではなくて、あくまでも原作のファンが見たいと思えるようなアニメを作る」「原作者がファンの為に直々に作った様な構成にする」という考えから原作者を脚本会議に同伴させることを心がけている洋泉社刊 「別冊オトナアニメ シャフト超全集!!」より。一迅社刊 「Febri」Vol.23より。。映像作家としては、

  • 奥行きのない平面構成を基本としたレイアウト
  • 赤や黒を基調とし極端にコントラストをつけた奇抜な色遣い
  • カットごとのアスペクト比の変形
  • あおり構図
  • 十字架やステンドグラス・石像などのシンボリックな小物
  • 文字カット・実写・色ベタの挿入
  • 人物とカメラの間に斜めの画面、光のハレーション、カメラと人物の間に机などを配置
  • 作画による細かいカメラワーク

を特徴とする。 また、『月詠 -MOON PHASE-』前後の作品からは、

  • 作画の動きより細かいカット割りを重視した編集
  • 実制作は主に自身の信頼のおけるスタッフに任せ、新房自身は絵コンテチェックや修正を中心に行う

を特徴とする。これはスケジュールの都合でレイアウトの修正に手を回すことができない作画監督への配慮であり、「他の人がもっと面白いことをやってくれるのではないか」という期待からなる方針である。意識的に上記の作風を利用し始めたのは「『月詠 -MOON PHASE-』を制作した時から」とのこと2011年11月11日発売「月刊アニメスタイル」第4号より。。

演出手法は、「随所に細かいネタを仕込む独特なもの」であるとされる福田淳「注目ワード 魔法少女まどか☆マギカ」『読売新聞』2011年3月2日付け夕刊、7面。。

シャフト作品においてはキャラクターが独特の角度で首を傾ける演出が多く見られる。この演出は、ファンから「シャフ度」と呼ばれている2013年7月5日放送の『めざましテレビ』でこの演出についての説明の際に「シャフト角度」のクレジットと共に映され、2013年9月6日放送の『めざましテレビ』で[http://www.madoka-magica.com/news/index.html#news27356 『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語』が紹介された]際にも鹿目まどか役の悠木碧がこの演出で振り向く姿が「シャフ度」のクレジットと共に映された。。始めた理由として「男性が現実で『ジョジョの奇妙な冒険』『北斗の拳』等のアクション漫画にある様なポーズをしながら振り向くとあの角度になる。女性は意外と真っ直ぐに物を見ていなくて、頭が傾いていたり相手に目線を合わせていない事が多い。それをリアルに表現したい」「キャラクターが棒立ちになるのが嫌で、普通に立っている画から外したい」と話している2014年4月30日発売アニメスタイル第005号より。。

スタッフのアイデアを入れていったものでそんなに自分の手を入れていないとしつつも、『ぱにぽにだっしゅ!』をTVシリーズにおける自分の代表作としている『新房語』p.52, p.177。

来歴

東京デザイナー学院(現東京ネットウエイブ)卒業後、制作会社を経て、アニメーターとしてスタジオとめに入社。同期に山下将仁などがいた。友人であった漫画家の高橋和希と共にスタジオワンパターンへ遊びに来て、以後参加するようになるWEBアニメスタイル_アニメの作画を語ろう「animator interview 山下将仁(1)」。一時期カナメプロダクションにも在籍していた。

1990年の『からくり剣豪伝ムサシロード』第4話「リョーマは一人風の中だス」で初の演出を手掛け、『幽☆遊☆白書』や『NINKU -忍空-』など、スタジオぴえろ(現・ぴえろ)作品で演出を担当。『幽☆遊☆白書』第58話「究極奥義!ほえろ黒龍波」と第74話「テリトリーを打ちやぶれ!!」は一部のアニメ関係者から一目置かれていたらしくWEBアニメスタイル COLUMN「アニメ様の七転八倒 小黒祐一郎 第6回 作家・新房昭之の本領発揮」、日本ビクター(現・フライングドッグ)のプロデューサー尾留川宏之が偶然にも第74話を観て彼の演出に惚れ込み、1994年の『メタルファイター♥MIKU』で監督の依頼をされる。これが彼の監督デビュー作である。その後、しばらくはテレビアニメシリーズの監督業からは遠ざかり、『新・破裏拳ポリマー』・『てなもんやボイジャーズ』などのOVA作品を中心に手掛けていた。『それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ』はOVAシリーズ・テレビアニメシリーズ共に監督として手掛けている。

2004年に『コゼットの肖像』、『魔法少女リリカルなのは』、『月詠 -MOON PHASE-』の3作品を一挙に発表。2005年以降はシャフトを制作拠点としており、同社制作作品を中心とした活動を行っている。自身の監督した作品が1クールに2作品放送されることも多い。

2011年、『魔法少女まどか☆マギカ』で『文化庁メディア芸術祭アニメーション部門』大賞を受賞し、2015年の『SUGOI JAPAN Award』でもグランプリを受賞。『ニュータイプアニメアワード2011』では監督賞を受賞し、2012年『東京アニメアワード2012』でも監督賞を受賞した。

人物像

映画監督である市川崑のファンであり『さよなら絶望放送』第32回(2008年4月8日放送)より。、『てなもんやボイジャーズ』のエンディングテーマに市川監修のTVドラマ『木枯し紋次郎』の主題歌「だれかが風の中で」のカバー曲(作詞は市川夫人の和田夏十)を使用したり、『俗・さよなら絶望先生』第11話「黒い十二人の絶望少女/今月今夜この月が僕の涙で曇りますように」では『犬神家の一族』や『黒い十人の女』といった市川作品のパロディが登場したりするなど、新房作品の随所に市川作品に対するオマージュが見られる。

『魔法少女まどか☆マギカ』での音楽はダリオ・アルジェントの『サスペリア』を意識していると発言。邦画では構図が特徴的な作品を好む傾向があるとしている洋泉社『アニメクリエイターの選んだ至高の映画』より。。

自身の根底には『デビルマン』があるとし「自分たちの世代は『デビルマン』の世界からなかなか離れられない。不動明と飛鳥了の関係に持っていきたくなるんです。」と語っている芳文社「まんがタイムきらら☆マギカ」 vol.12 2014年 03月号 新房昭之監督インタビューより。。

文字媒体以外で登場することがほぼ無い。小黒祐一郎によると、「のんびりした方で、作られる作品とは随分と印象が違う。それと、彼はちょっとシャイなところがあって、雑誌などに写真が載るのが嫌なのだそうだ。」とのことWEBアニメスタイル_COLUMN。またイベントにも出ないWEBアニメスタイル TOPICS電波女と青春男ナイト(再)イベントレポート。代わりに大沼心らが出席して「新房監督の来ない新房監督作品特集」なるイベントが行われたこともある第45回アニメスタイルイベント「新房監督の来ない新房監督作品特集」 – LOFT PROJECT SCHEDULE

主な参加作品

テレビアニメ

監督

その他

劇場アニメ

OVA

監督

その他

ゲーム

  • 麻雀ハイパーリアクション(1995年、OPアドバイザー)
  • メタルファイター・MIKU(1995年、演出監修)
  • ありす in Cyberland(1996年、アニメーション監督)
  • タツノコファイト(2000年、ムービー監督・絵コンテ・演出)
  • THE GOD OF DEATH(2005年、OP絵コンテ)
  • Fate/EXTRA CCC(2013年、OPディレクター・絵コンテ)

その他

  • 新・光神話 パルテナの鏡(2012年、監督)※ニンテンドービデオ(ニンテンドー3DS)で配信の短編アニメーション
  • 掟上今日子の備忘録×〈物語〉シリーズ コラボCM(2015年、絵コンテ)
  • 暦物語(2016年、総監督・シリーズ構成) - iOS、Android向けアプリで配信の短編アニメーション
  • 『かくしごと』 1巻 アニメPV(2016年、絵コンテ)
  • 漫画『化物語』シャフト制作特別PV (2022年、監督・絵コンテ)

参考書籍

関連項目

  • ぴえろ
  • J.C.STAFF
  • タツノコプロ
  • シャフト (アニメ制作会社)

外部リンク

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