ラナ・デル・レイ : ウィキペディア(Wikipedia)

ラナ・デル・レイLana Del Rey)の芸名で知られるエリザベス・ウールリッジ・グラントElizabeth Woolridge Grant、1985年6月21日 - )は、アメリカ合衆国ニューヨーク州出身のシンガーソングライターである。

自らを「ギャングスタ・スタイルのナンシー・シナトラ」だと名乗っており、彼女がリリースする曲には全体的に悲しみを表現しているものが多い。そのため、自身のジャンルは「サッドコア」だと公言している。2012年にリリースされたメジャー・デビュー・アルバム『ボーン・トゥ・ダイ』がアメリカやイギリスをはじめとした世界各国でアルバムチャート上位を獲得して以降、アルバムリリースごとに堅調なセールスを持続し、2019年にリリースされた6thアルバム『ノーマン・ファッキング・ロックウェル!』が米誌ローリングストーンが発表した「ローリングストーン誌が選ぶ『歴代最高のアルバム』500選」の2020年改訂版において321位にランクインする など批評的にも高い評価を得ている。

人物

1985年6月21日にニューヨーク・シティで生まれ、レークプラシッドで育つ。15歳の時、コネティカット州の寄宿学校「ケント高校」に預けられた。この時の環境を「外側は整ってるけれど、内側は滅茶苦茶だった」と語っており、かなり辛い日々を送っていたことが後に明らかとなっている。高校卒業後、ニューヨーク州立大学に合格していたが入学せずにパートタイムのウェイトレスとして1年間勤務。その後、ニューヨーク州の名門フォーダム大学に入学し、哲学を専攻した。この頃から音楽活動を本格的に行うようになり、2011年6月にストレンジャー・レコードと契約。直後に、初のオフィシャルシングル「Video Games」をリリースすることとなった。

ラナ・デル・レイの名の所以については本人は「響きが美しいから」としており、女優のラナ・ターナーとフォード・モーターの車種フォード・デル・レイから取ったとされるインターネット上の説についてはラナ本人が否定している『rockin'on』2012年3月号71ページ。

音楽的には、ニルヴァーナのカート・コバーンからの影響が最も強く、MTVのインタビューにおいて「彼は、私が見た中で最も美しい人。その時は子供だったけど、彼が持つ悲しみに共鳴した。私にとって一番のインスピレーションであり続けている」と語っている。2012年のインタビューでは偉大な人物としてカートの他にエルヴィス・プレスリージェフ・バックリィの名を挙げており、彼らが悲劇的な人生を送ったことに惹かれるのではなく、純粋に彼らの音楽が好きなのだという『 rockin'on 』2012年3月号71ページ。

来歴

2008年10月21日、初となる公式音源EP「Kill Kill」を、リリース。この時は現在のアーティスト名ではなく、リジー・グラント名義での発表となっている。

2010年1月4日、インディーズ・アルバム『Lana Del Ray A.K.A. Lizzy Grant』をリリース。

2011年、自主制作のミュージックビデオ「ヴィデオ・ゲーム」「ブルー・ジーンズ」をYouTubeに投稿。「ヴィデオ・ゲーム」はインターネット上で大きな反響を呼び、ストレンジャー・レコードからシングルとしてリリースされた。同年、セカンドアルバム『ボーン・トゥ・ダイ』のリリースのためにインタースコープ・レコーズとポリドールと契約、トリップホップの独自解釈を加えたとされる『ボーン・トゥ・ダイ』は2012年1月31日に全世界リリースされ、11の国のチャートで1位を獲得した。イギリスの音楽メディアNMEで2010年代のベストアルバム10位にランクインする など批評的にも高い評価を得た。本作収録のシングル『サマータイム・サッドネス』は全米最高6位を記録し、アメリカでの自身最高位となっている 。

2012年1月10日、EP『Lana Del Rey』をデジタル配信でリリース。全米ビルボード200にて、初登場20位を記録。

2012年3月8日に渋谷の「SHIBUYA DUO MUSIC EXCHANGE」で予定されていたプレミア・ショーケース・ライブが、急きょ中止となった。開催者側は理由として「急激な世界的ヒットにより、アーティストへの需要がかつてないほど高いものになったため」だと発表している。

2012年5月28日に渋谷の「SHIBUYA DUO MUSIC EXCHANGE」で予定されていたプレミア・ショーケース・ライブが、急きょ中止となった。https://www.creativeman.co.jp/artist/2012/05lana/

2012年11月12日に3rdEP『パラダイス』をリリース。『パラダイス』は第56回グラミー賞の「ベスト・ポップ・ヴォーカル・アルバム」にノミネートされ 、2012 MTV Europe Music Awardsで最優秀オルタナティブ賞を受賞 、ブリット・アワードでは2012年にインターナショナル・ブレイクスルー・アーティスト賞 、2013年にインターナショナル女性アーティスト賞を受賞した 。

2014年6月3日、3rdアルバム『ウルトラ・ヴァイオレンス』リリース。アメリカ、イギリスをはじめとする12の国でチャート1位を記録した。ザ・ブラック・キーズのダン・オーバックと制作された同作ではブルージーなギターロックがフィーチャーされ、前作までよりプログラミングの比重を抑えたソフト・ロック風のサウンドになっている『rockin'on 』2014年8月号148ページ。

2015年9月、サード・アルバム『ハネムーン』をリリース。リリースに先立つ2015年5月にはコートニー・ラブ、グライムスらをオープニング・アクトに迎えたツアーThe Endless Summer Tourを開催した。

2016年にはザ・ウィークエンドのアルバム『スター・ボーイ』の収録曲「パーティー・モンスター」にバッキングボーカル、「スターガール・インタールード」でメインボーカルで参加した。ザ・ウィークエンドと共同作曲した「パーティーモンスター」はシングルカットされ、全米20位のヒットとなった。

2017年7月、アルバム『ラスト・フォー・ライフ』を発表。自身2度目となる全米アルバムチャート1位を記録https://www.billboard.com/music/Lana-Del-Rey/chart-history/billboard-200/song/1036802。それまでのアルバムとは異なりザ・ウィークエンドショーン・レノン、スティーヴィー・ニックス、エイサップ・ロッキー、プレイボーイ・カーティといった多くのゲスト陣を迎え、トラップミュージックの要素も加えた実験的な作品となった。本作は第60回グラミー賞でベスト・ポップ・ボーカルアルバムにノミネートされた 。

2019年8月、アルバム『ノーマン・ファッキング・ロックウェル!』をリリース。ジャック・アントノフをプロデューサーに迎え、70年代ロックを軸に、サイケデリックポップ、トリップホップなどの要素を加えたサウンドになった『rockin'on 』2020年1月号37ページ。同作はレビュー収集サイトMetacriticで28のレビューの加重平均値で100点中87点を獲得する など高い評価を受け、第62回グラミー賞でアルバムオブザイヤーにノミネートされ、また、同作収録のタイトル曲がソングオブザイヤーにノミネートされた 。

9月には2019年の映画「チャーリーズエンジェル」のサウンドトラック収録曲として、アリアナ・グランデ、マイリー・サイラスとのコラボレーション曲『ドント・コール・ミー・エンジェル』がリリースされた。

2021年3月19日、7thアルバム『ケムトレイルズ・オーヴァー・ザ・カントリー・クラブ』リリース。前作同様ジャック・アントノフをプロデューサーに迎えた同作ではフォークやアメリカーナにインスピレーションを受けた作風になっている 。

同年10月22日、同年2枚目のアルバムリリースとなる8thアルバム『ブルー・バニスターズ』リリース。前作のアメリカーナ路線の延長線上にある作風で、大半がダウンテンポのピアノバラードの作品となった。レビュー収集サイトMetacriticで21のレビューに基づく加重平均値で100点中80点の高評価を獲得している 。

ディスコグラフィ

スタジオ・アルバム

タイトル アルバム詳細 チャート最高位 認定
US AUS AUT CAN FRA GER ITA NLD SWI UK
2010 Lana Del Ray* 発売日: 2010年1月4日* レーベル: 5 Points* フォーマット: digital download, streaming
2012 ボーン・トゥ・ダイBorn to Die* 発売日: 2012年1月27日* レーベル: Polydor, Interscope* フォーマット: CD, LP, digital download, streaming* 全米売上: 110万枚 2 1 1 3 1 1 5 2 1 1*US: プラチナ*AUS: 2× プラチナ*AUT: 2× プラチナ*CAN: 2× プラチナ*FRA: ダイヤモンド*GER: 4× プラチナurl=http://www.fimi.it/certificazioni#{%22s%22:1,%22p%22:0,%22y%22:%22%22,%22t%22:%22Lana%20Del%20Rey%22}|title=FIMI: Certificazioni: Lana Del Rey|publisher=Federazione Industria Musicale Italiana|language=Italian|accessdate=April 4, 2015}}*SWI: 2× プラチナ*UK: 4× プラチナ
2014 ウルトラヴァイオレンスUltraviolence* 発売日: 2014年6月13日* レーベル: Polydor, Interscope* フォーマット: CD, LP, digital download, streaming* 全米売上: 52.9万枚 1 1 5 1 2 3 2 5 2 1*US: ゴールド*AUS: ゴールド*AUT: ゴールド*CAN: ゴールド*FRA: プラチナ*GER: ゴールド*UK: ゴールド
2015 ハネムーンHoneymoon* 発売日: 2015年9月18日* レーベル: Polydor, Interscope* フォーマット: CD, LP, digital download, streaming* 全米売上: 11.6万枚http://www.billboard.com/articles/columns/chart-beat/6708140/billboard-200-top-10-debuts-drake-future-lana-del-rey-mac-miller 2 1 4 3 3 4 2 5 3 2*FRA: ゴールド*UK: ゴールド
2017 ラスト・フォー・ライフLust for Life* 発売日: 2017年7月21日* レーベル: Polydor, Interscope* フォーマット: CD, LP, digital download, streaming* 全米売上: 8万枚 1 1 5 1 3 8 6 6 2 1** US: ゴールド**FRA: ゴールド**UK: ゴールド
2019 ノーマン・ファッキング・ロックウェル!Norman Fucking Rockwell!* 発売日: 2019年8月30日* レーベル: Polydor, Interscope* フォーマット: CD, LP, digital download, streaming, cassettehttps://store.universalmusic.com/lanadelrey/*/Music/*全米売上:6.6万枚*全英売上: 3.1万枚 3 4 7 3 4 5 5 5 1 1* UK: ゴールド
2021 ケムトレイルズ・オーヴァー・ザ・カントリー・クラブChemtrails over the Country Club* 発売日: 2021年3月19日* レーベル: Polydor, Interscope* フォーマット: CD, LP, digital download, streaming, cassette2245337211* UK: シルバー
ブルー・バニスターズBlue Banisters*発売日: 2021年10月22日*レーベル: Polydor, Interscope* フォーマット: CD, LP, digital download, streaming, cassette838107618862
"—"は未発売またはチャート圏外を意味する。

EP

  • Kill Kill (2008年、5 Points)
  • Lana Del Rey (2012年、Polydor / Interscope)
  • Paradise (2012年、Polydor / Interscope)
  • Tropico (2013年、Polydor / Interscope)

シングル

  • "Video Games" (2011年)
  • "Born to Die" (2011年)
  • "Blue Jeans" (2012年)
  • "Summertime Sadness" (2012年)
  • "National Anthem" (2012年)
  • "Blue Velvet" (2012年)
  • "Ride" (2012年)
  • "Dark Paradise" (2013年)
  • "Burning Desire" (2013年)
  • "Young and Beautiful" (2013年)
  • "Once Upon a Dream" (2014年)
  • "West Coast" (2014年)
  • "Shades of Cool" (2014年)
  • "Ultraviolence" (2014年)
  • "Brooklyn Baby" (2014年)
  • "Black Beauty" (2014年)
  • "Big Eyes" (2015年)
  • "Honeymoon" (2015年)
  • "High By The Beach" (2015年)
  • "Terrence Loves You" (2017年)
  • "Music to Watch Boys to" (2015年)
  • "Freak" (2016年)
  • "Love" (2017年)
  • "Lust for Life" (2017年)
  • "Coachella - Woodstock in My Mind" (2017年)
  • "Summer Bummer" (2017年)
  • "Groupie Love" (2017年)
  • "White Mustang" (2017年)
  • "Mariners Apartment Complex"(2018年)
  • "Venice Bitch" (2018年)
  • "Hope Is a Dangerous Thing for a Woman Like Me to Have – but I Have It" (2019年)
  • "Doin' Time" (2019年)
  • "Season of the Witch" (2019年) ※『スケアリーストーリーズ 怖い本』サウンドトラックより
  • "Looking For America" (2019年)
  • "Fuck it I love you" (2019年)
  • "The greatest" (2019年)
  • "Don't Call Me Angel" (2019年)
  • "Let Me Love You like a Woman" (2020年)
  • "Chemtrails over the Country Club" (2021年)
  • "White Dress" (2021年)
  • "Tulsa Jesus Freak" (2021年)
  • "Blue Banisters" (2021年)
  • "Arcadia" (2021年)

フィルモグラフィ

受賞歴

外部リンク

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2023/11/01 05:29 UTC (変更履歴
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike and/or GNU Free Documentation License.

「ラナ・デル・レイ」の人物情報へ