アン・リー : ウィキペディア(Wikipedia)

アン・リー(中国語:李安、1954年10月23日 - )は、台湾の映画監督である。アカデミー監督賞とヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を二回受賞しており、2023年現在、世界で唯一ベルリン国際映画祭金熊賞を二回受賞している。

来歴

1954年に台湾南部の屏東県(へいとうけん)の外省人の家庭に生まれ、台湾の国立芸術大学を卒業した後、1979年にアメリカへ渡り、イリノイ大学とニューヨーク大学で映画制作を学ぶ。在学中にスパイク・リーと知り合い、彼の映画の製作を手伝ったこともある。

太極拳の使い手としても知られ、デビューの作品『推手』において、太極拳を重要な要素として使っている。ただし、演出上においては、武術的なものとエンターテイメントを分けて考えていると発言している。

『ウェディング・バンケット』と『いつか晴れた日に』でベルリン映画祭金熊賞を、『グリーン・デスティニー』でアカデミー外国語映画賞を受賞。『いつか晴れた日に』で本格的にハリウッド進出して以来、異なるジャンルで優れた作品を多数発表している。

『ブロークバック・マウンテン』では第78回アカデミー監督賞を受賞。2006年、中華民国政府より、二等景星勲章を授与される。

第64回ヴェネツィア国際映画祭に出品した『ラスト、コーション』では、『ブロークバック・マウンテン』に引き続き、2度目の金獅子賞を獲得した。

『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』では第85回アカデミー監督賞を受賞。

2012年11月、フランス芸術文化勲章のシュヴァリエ章を授与される。2013年、中華民国政府より、一等景星勲章を授与される。

アメリカに住み、アメリカの市民権を有しているのでアメリカ国民でもある。次男は俳優のメイソン・リー(李淳)。弟は台湾の映画プロデューサー・監督のガン・リー(李崗)。

監督作品

  • 『推手』 (推手) Pushing Hands (1991)
  • 『ウェディング・バンケット』 (喜宴) The Wedding Banquet (1993)
  • 『恋人たちの食卓』 (飲食男女) Eat Drink Man Woman (1994)
  • 『いつか晴れた日に』 Sense and Sensibility (1995)
  • 『アイス・ストーム』 The Ice Storm (1997)
  • 『シビル・ガン 楽園をください』 Ride with the Devil (1999)
  • 『グリーン・デスティニー』 (臥虎藏龍) Crouching Tiger, Hidden Dragon (2000)
  • 『ハルク』 Hulk (2003)
  • 『ブロークバック・マウンテン』 Brokeback Mountain (2005)
  • 『ラスト、コーション』 (色、戒) Lust, Caution (2007)
  • 『ウッドストックがやってくる!』 Taking Woodstock (2009)
  • 『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』 Life of Pi (2012)
  • 『ビリー・リンの永遠の一日』 Billy Lynn's Long Halftime Walk (2016)
  • 『ジェミニマン』 Gemini Man (2019)

監督以外の作品

  • 『男生女相』 (1996) 出演
  • 『恋のトルティーヤ・スープ』 (2001) オリジナル脚本
  • 『アート・オブ・アクション マーシャル・アーツ・フィルムの変遷』 (2002) 出演
  • 『ワン・ラスト・ライド』 (2003) 製作総指揮

受賞

※本来はプロデューサーが受取人である作品賞の受賞・ノミネートも含む。

部門作品結果
金馬奨1991年作品賞『推手』
監督賞
オリジナル脚本賞
1993年作品賞『ウェディング・バンケット』
監督賞
オリジナル脚本賞
編集賞
1994年作品賞『恋人たちの食卓』
オリジナル脚本賞
1995年脚色賞『少女小漁』
2000年作品賞『グリーン・デスティニー』
監督賞
2007年作品賞『ラスト、コーション』
監督賞
ベルリン国際映画祭1993年金熊賞『ウェディング・バンケット』
1996年金熊賞『いつか晴れた日に』
アカデミー賞1993年外国語映画賞『ウェディング・バンケット』
1994年外国語映画賞『恋人たちの食卓』
1995年作品賞『いつか晴れた日に』
2000年作品賞『グリーン・デスティニー』
監督賞
外国語映画賞
2005年作品賞『ブロークバック・マウンテン』
監督賞
2012年作品賞『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』
監督賞
ゴールデングローブ賞1993年外国語映画賞『ウェディング・バンケット』
1994年外国語映画賞『恋人たちの食卓』
1995年作品賞 (ドラマ部門)『いつか晴れた日に』
監督賞
2000年監督賞『グリーン・デスティニー』
外国語映画賞
2005年作品賞 (ドラマ部門)『ブロークバック・マウンテン』
監督賞
2007年外国語映画賞『ラスト、コーション』
2012年作品賞 (ドラマ部門)『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』
監督賞
インディペンデント・スピリット賞1993年作品賞『ウェディング・バンケット』
監督賞
脚本賞
1994年作品賞『恋人たちの食卓』
監督賞
脚本賞
2000年作品賞『グリーン・デスティニー』
監督賞
2005年作品賞『ブロークバック・マウンテン』
監督賞
英国アカデミー賞1994年非英語作品賞『恋人たちの食卓』
1995年作品賞『いつか晴れた日に』
監督賞
2000年作品賞『グリーン・デスティニー』
監督賞
外国語作品賞
2005年作品賞『ブロークバック・マウンテン』
監督賞
2007年外国語作品賞『ラスト、コーション』
2012年作品賞『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』
監督賞
ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞1994年外国語映画賞『恋人たちの食卓』
1995年作品賞『いつか晴れた日に』
監督賞
2000年外国語映画賞『グリーン・デスティニー』
2005年監督賞『ブロークバック・マウンテン』
カンザスシティ映画批評家協会賞1994年外国語映画賞『恋人たちの食卓』
2012年監督賞『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』
全米監督協会賞1995年長編映画監督賞『いつか晴れた日に』
2000年長編映画監督賞『グリーン・デスティニー』
2005年長編映画監督賞『ブロークバック・マウンテン』
2012年長編映画監督賞『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』
ニューヨーク映画批評家協会賞1995年作品賞『いつか晴れた日に』
監督賞
2000年作品賞『グリーン・デスティニー』
監督賞
外国語映画賞
2005年作品賞『ブロークバック・マウンテン』
監督賞
ロサンゼルス映画批評家協会賞1995年監督賞『いつか晴れた日に』
2000年作品賞『グリーン・デスティニー』
監督賞
2005年作品賞『ブロークバック・マウンテン』
監督賞
クリティクス・チョイス・アワード1995年作品賞『いつか晴れた日に』
2000年外国語映画賞『グリーン・デスティニー』
2005年作品賞『ブロークバック・マウンテン』
監督賞
2007年外国語映画賞『ラスト、コーション』
2012年作品賞『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』
監督賞
ボストン映画批評家協会賞1995年作品賞『いつか晴れた日に』
監督賞
2000年外国語映画賞『グリーン・デスティニー』
2005年作品賞『ブロークバック・マウンテン』
監督賞
シカゴ映画批評家協会賞1997年監督賞『アイス・ストーム』
2000年作品賞『グリーン・デスティニー』
監督賞
外国語映画賞
2005年作品賞『ブロークバック・マウンテン』
監督賞
AACTA賞1998年外国語映画賞『アイス・ストーム』
2001年外国語映画賞『グリーン・デスティニー』
ボディル賞1999年『アイス・ストーム』
2001年非アメリカ映画賞『グリーン・デスティニー』
ヨーロッパ映画賞2000年非ヨーロッパ映画賞『グリーン・デスティニー』
2005年非ヨーロッパ映画賞『ブロークバック・マウンテン』
全米映画批評家協会賞2000年監督賞『グリーン・デスティニー』
フロリダ映画批評家協会賞2000年外国語映画賞『グリーン・デスティニー』
2005年作品賞『ブロークバック・マウンテン』
監督賞
ダラス・フォートワース映画批評家協会賞2000年外国語映画賞『グリーン・デスティニー』
2005年作品賞『ブロークバック・マウンテン』
監督賞
2012年作品賞『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』
監督賞
ロンドン映画批評家協会賞2000年外国語映画賞『グリーン・デスティニー』
2005年作品賞『ブロークバック・マウンテン』
監督賞
2012年監督賞『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』
香港電影金像奨2000年作品賞『グリーン・デスティニー』
監督賞
ヴェネツィア国際映画祭2005年金獅子賞『ブロークバック・マウンテン』
2007年金獅子賞『ラスト、コーション』
サンフランシスコ映画批評家協会賞2005年作品賞『ブロークバック・マウンテン』
監督賞
セントルイス映画批評家協会賞2005年作品賞『ブロークバック・マウンテン』
監督賞
2012年作品賞『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』
監督賞
セザール賞2007年外国映画賞『ブロークバック・マウンテン』
ゴールデン・ビートル賞2008年外国語映画賞『ラスト、コーション』

関連項目

  • 馮光遠

外部リンク

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