【「SHOGUN 将軍」ネタバレありインタビュー】西岡徳馬×穂志もえか、“神回”の舞台裏を語る

2024年5月2日 13:00


熱演が話題を呼んだ西岡徳馬×穂志もえか シビれるエピソードを語り合う
熱演が話題を呼んだ西岡徳馬×穂志もえか シビれるエピソードを語り合う

真田広之が主演・プロデュースを務め、ハリウッドの制作陣が戦国時代の日本を描くドラマシリーズ「SHOGUN 将軍」がついに最終話を迎え、現在全10話がディズニープラス「スター」で独占配信中だ。本作から、主人公・吉井虎永(真田)に長年仕える忠実な腹心である戸田広松役の西岡徳馬、広松の孫娘である宇佐美藤を演じた穂志もえかが取材に応じ、“神回”として大反響を巻き起こした第4話「八重垣」、第8話「奈落の底」の舞台裏を語った。(取材・文/内田涼、撮影/間庭裕基

※以下、ネタバレを含むため、未見の方は、ご注意ください。


●戸田広松(西岡徳馬) ※「徳」は旧字体が正式表記

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役どころ:虎永に長年仕える忠実な腹心。虎永の“良心”、そして良き理解者として仕える百戦錬磨の武士。虎永の唯一無二の友。

●宇佐美藤(穂志もえか

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役どころ:夫と子に先立たれた、按針(コズモ・ジャービス)の正室。誇りと高潔さを備える名家の娘。恐ろしい悲劇を経験してもなお気丈に生き抜く強さを持つ。


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――おふたりがこうして並んでいらっしゃる姿に、「SHOGUN 将軍」ファンとして感激しております。

西岡:そうだね、かわいい孫娘だから。長い人だと、現場(カナダのバンクーバー)に10カ月はいたでしょ。もう“ファミリー”ができあがっていますよ。

――西岡さんは、時代劇を中心に真田さんとのご共演も数多くありますね。

西岡:ハリウッドで作った日本の時代劇を見て、ダメだなと思った経験がたくさんあるから、真田とも「それだけはやめよう」という話をじっくりして。現場に真田と西岡がいるのに、変なことできないでしょ。俺はヒロ(真田)と一緒に武士道を見せたくて、この仕事を引き受けたわけだし、真田も「それは重々承知しております。最後までやり抜きましょう」と言ってくれたしね。

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――早速、シビれるエピソードですね。虎永と広松の関係性には、圧倒的な信頼感があるのを感じました。

西岡:目を見れば何を考えているのか、なぜそんな言葉を切り出すのか、それがどんな意味なのかが理解し合える関係性かな。誰がスパイなのかもわからないから、本音も言えないけど、本音は目でわかるというか。オーディションのタイミングで、プロデューサーから、ブッチとサンダンスをやってくれと言われて。

――「明日に向って撃て!」(1969)ですね。

西岡:そう、ポール・ニューマンロバート・レッドフォード。あー、なるほどねって。このサジェスチョン(提案)で、(ハリウッドが求める)温度感をつかむことができましたね。

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――それでは第8話「奈落の底」、広松が壮絶な最期を遂げるシーンについて教えてください。

西岡:僕はもうね、あのシーンを撮影するために、8カ月間、バンクーバーにいたようなものだから! 当日の朝、真田が僕のところに来てくれて「徳馬さん、とうとうこの日が来ましたね」と。俺も覚悟を決めて「そうだな」と言葉を返して、撮影に臨みました。

――ライバルの石堂(平岳大)に降伏宣言する虎永に対し、広松は反発し、「殿が気持ちを変えないならば、いまここで腹を切る」という選択をしました。

西岡:でもね、最初の台本だと、あの場にいる全員が切腹すると書かれていたの。でも、そんなことしたら、そこら中が血の海になっちゃうし、切腹という儀式がもつ意味合いが違ってきちゃうから、「ここは、俺ひとりに切腹させてくれ」とハッキリ言ったの。

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――実際にそういう台本になりましたね。

西岡:まず、俺の考えを真田に言って、真田からジャスティン(原案を手がけたジャスティン・マークス)に言って。そこに宮川さん(プロデューサーのひとりである宮川恵理子氏)も合わせて、4人で会議をしたんですよ。俺は伝えたいことを辞書で調べて、それをメモした紙を見ながら、つたない英語で、ジャスティンに伝えたの。そうしたら、俺の顔をじーっと見つめながら「オッケー、わかった」って。やっぱり、広松ひとりが死ぬ方が、石堂に「これでいよいよ虎永はおしまいだ」と知らせることができるからね。

――広松の「今生のお別れにございまする」というセリフ、それを発する西岡さんの表情が忘れられません。

西岡:あのセリフは、俺が作ったの! ジャスティンに「ひとつだけセリフを作っていいか?」と聞いて。この世を先に去りますが、待っていますよという意味なんだけど、演じている最中から、ヒロのなかに涙が見えましたね。ふたりして感動しながら、演じました。

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――いまのお話を思い出しながら、改めて第8話を見ると、さらに感動が押し寄せてきそうです。そして、もうひとつの“神回”である第4話「八重垣」について、穂志さんにうかがいます。藤が「お引き取りくださりませ」と内に秘めた強さを見せるシーンが、すばらしかったです。

穂志:皆さん、よく見せ場だと言ってくださるのですが、演じる私自身は特にそういう意識はなくて。数あるシーンのうちのひとつであって、テイクもそこまで重ねていません。私の記憶では、2テイクくらいですね。シリーズ全体を通して、けっこう自由に演じさせてもらえたと思っています。

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――穂志さんにとって、「SHOGUN 将軍」への出演は、どんな経験になりましたか?

穂志:ひたすら、環境と人に恵まれた現場でした。徳馬さんからもたくさんのことを学ばせていただきました。私がリハーサルの見学に行ったときには徳馬さんが全体をまとめる姿もこっそり見ていましたし、一緒のシーンの撮影後には「俺、ああすればよかったな。」と反省されていて驚きました。徳馬さんは自分のためではなく、相手が芝居しやすいようにということを常に考えていらっしゃって、私がこの領域に達するのはいつになることやら…と思ったのを覚えています。決して満足せずに、常により良いお芝居、シーンを目指す。私も心がけていることですが、改めて肝に銘じたいです。そして完成した作品を見て、改めて皆さん本当にカッコいいなって。現場でもわかっていたつもりだったんですが。私にとっては全て、かけがえのない経験となりました。

西岡:もえかはね、全然力んでいないの。だから、俺からすると、それがすごく勉強になるんだよ。時代劇は、どうしても形から入りがちで、様式にこだわってしまうんだけど、ちゃんと気持ちから演技に入ってくれたから、こちらもすごくお芝居がやりやすかった。

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穂志:ただ、時代劇の経験はほとんどなかったので、所作や姿勢に不安もあり、気負っていたんです。

西岡:確かに現場で「どうしよう、どうしよう」と言っていたけど、好きに演じればいいし、もし余計なものが出っ張れば、そぎ落とせばいいんだから。

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――すでに全米では、テレビ界のアカデミー賞といわれるエミー賞に、穂志さんがノミネートされるのではないかと大きな話題になっています。

西岡:すてきなことだよね!

穂志:もうびっくりしています。私に留まらず、作品に関わった多くの皆さんが評価されていますし、私ひとりじゃ何もできなかった。私を藤たらしめたのは、スタッフの皆さん、共演者の方々であり、先ほども言いましたが、環境と人に恵まれました。感謝の気持ちでいっぱいです。

SHOGUN 将軍」はディズニープラス「スター」で全話独占配信中。

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