大阪2児放置死事件を基にした映画「子宮に沈める」 児童虐待防止推進月間にあわせてリバイバル上映

2023年11月1日 07:00


11月4日~10日に新宿K's cinemaでリバイバル上映
11月4日~10日に新宿K's cinemaでリバイバル上映

“大阪2児放置死事件”を基にした社会派フィクション映画「子宮に沈める」(緒方貴臣監督)が、11月4日~10日の1週間限定で、新宿K's cinemaにてリバイバル上映されることがわかった。

児童虐待のない社会を目指す「オレンジリボン運動」推薦映画の本作は、2013年に劇場公開され、全国30カ所で上映された。公開から10年経った今も、児童虐待は後を立たず、また、人々の意識が高まり通報も増えていることもあり、2022年度中には、全国232カ所の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は「21万9170件(速報値)」で過去最多となっている。本作は、3カ月で約7万人が視聴するなど、配信サービスでも関心を集め続けている。このほど「オレンジリボン運動」の企画の一環として、「児童虐待防止推進月間」である11月での上映が決定した。

新ポスター
新ポスター

帰らない夫に一方的な別れを告げられ、子ども2人とアパートでの新生活がはじまる。必死に“良き母”であろうとする主人公・由希子。毎日の長時間労働、資格試験、家事、子育て。やがて直面する学歴、職歴のないシングルマザーの経済的困窮、社会からの孤立、すぐ隣に見える誘惑。都会で暮らす若いシングルマザーが、孤独に追いつめられ、逃避に陥ることではじまる、子どもたちの悲劇。いかにして若い母親が、殺人者となったのか? 小さな命を闇に閉じ込めたのは、誰なのか? 育児放棄という見えにくい現実を、あえて“部屋”という閉ざされた空間のみを使い、衝撃的で静かな映像美で描いている。

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上映後には、舞台挨拶とトークイベントを予定。「11月4日:伊澤恵美子(主演)、緒方貴臣(監督)」「11月5日:高橋まきこ(中央区議会議員)、たぞえ麻友(目黒区議会議員)、緒方貴臣(監督)」「11月6日:河西景翔(育児アドバイザー)、伊澤恵美子(主演)、緒方貴臣(監督)」「11月7日:橋本ゆき(渋谷区議会議員)、緒方貴臣(監督)」「11月8日:緒方貴臣(監督)」「11月9日:中山美里(ノンフィクション作家、siente代表)、緒方貴臣(監督)」「11月10日:水石亜飛夢(俳優)、緒方貴臣(監督)」を企画している。

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なお、今回の上映決定に伴い、キャストの伊澤恵美子辰巳蒼生田中稔彦緒方貴臣監督、また、「こうのとりのゆりかご」も運営する慈恵病院の蓮田健院長とオレンジリボンの吉田恒雄理事長からコメントが到着している。詳細は、以下の通り。

伊澤恵美子(由希子役)】

人生をも変えてしまうような映画に出会い、演じさせてもらえた経験に感謝しています。公開から10年経ち、今もたくさんの方からこの映画を見たという感想が届くというのはすごいことだなと思います。感想も、公開前、タイトルだけで否定的な意見が出ていたような公開当初に比べ、応援が増えてきたのも印象的です。

映画も社会も次のフェーズに進むタイミングなのかもしれません。ぜひこの機会に映画館でこの作品と向き合っていただければ幸いです。

辰巳蒼生(俊也役)】

当時、完成した作品を観させていただいた時に、私の心の中に得体の知れないモノが、深く沈んでいったのを覚えています。

「私の得体の知れないモノはなんだったのか、、、」

この忙しい国の狭間で生きる一人の人間として、情報化社会だけでは答えが出ないことはわかったような気がします。

今もなお、私の心にある得体の知れないモノは、大きくなったり、小さくなったりしています…

田中稔彦(要役)】

子宮に沈める』リバイバル上映おめでとうございます。

劇場で観て、自宅で観て。最後に観た日からかなりの月日が経っていると思います。この作品が全国を周り、DVDレンタルの時代を経て、今なおネット配信でも視聴上位ランキングに入るという広がり方と、時を経て生き続ける『映画』という媒体の力に驚きと喜びがあります。

初めて脚本を読ませて頂いたとき、あまりの衝撃に「うわっ」と呟いてしまった事を覚えています。どうする?とマネージャーから聞かれた時、即答で「やりたいです」と応えました。その後緒方監督がうちの事務所に足を運んで作品の事を説明して下さいました。その日の事や撮影の日々は今でも忘れられません。

僕も29歳から39歳になりました。いつの間にか僕も映画を撮るようになりました。緒方監督には今もお付き合いを続けて頂いており、様々なアドバイスも頂きました。僕の尊敬する監督の一人です。

子宮に沈める』既にご覧になられた方にも、そしてまだ観ていない方にも、劇場という特別な空間で観て頂ければと願っております。

緒方貴臣(監督)】

この映画の基となった大阪の事件から13年、映画の公開から10年が経ちました。

その間、国の施策として様々な虐待防止対策、子育て支援が行われ、この4月には子ども家庭庁も発足しました。

子どもや育児を取り巻く環境はまだ十分とは言えませんが、児童虐待が家族間だけの問題ではなく、社会の問題という認識はかなり広がってきたように感じています。

しかし今もなお1週間に1人のペースで、虐待によって子どもが命を落としています。

コロナ禍では虐待が増えたとも言われています。

それは危機下では社会的立場の弱い者へ皺寄せがいくためです。

私たちのすぐ近くに映画の「親子」がいるかもしれない。

またその「親子」に自分たちがなる(なった)かもしれない。

この映画には、解決策は描かれていません。

そもそもこれらの問題に模範解答のような解決策はありませんが、どうしたら「親子」が、助けられたのか

映画を通じて、考えて頂けたら嬉しいです。

【蓮田健(慈恵病院 院長)】
子どもは慈しまれて育つのが当たり前と思っている人には残酷な映画です。

私の胸にはグサリと突き刺さりましたが、同時に子どものために何をなすべきかを考えさせてくれました。

見放され虐げられている子どもはたくさんいます。

見えていないだけです。

この映画を通じて子ども、そして親を助ける人が一人でも増えることを願っています。

【吉田恒雄(認定NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク オレンジリボン運動 理事長)】

私たち一人ひとりができることをして、子ども虐待のない社会を目指しましょう。

親の貧困やパートナー、近隣・親族からの孤立、メンタル問題などさまざまな原因が重なったとき、子ども虐待につながるといわれています。こうした家族のなかには、不安や遠慮などにより支援から遠ざかってしまう家族もあります。現在の虐待問題に対しては、課題を抱えた家族が安心してSOSを出せるような社会になることが必要です。ちょっとした声掛けや小さなお手伝いなど、私たち一人ひとりが、子どもと子育てを優しく見守り、ちょっとした声掛けや小さなお手伝いなどをして、親が安心して楽しく子育てできる社会=子ども虐待のない社会をめざしましょう。

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