黒澤明賞受賞のグー・シャオガン、モーリー・スリヤ両監督が会見、共に「大変光栄な賞」と感激
2023年10月31日 17:00
東京国際映画祭が選出する黒澤明賞を受賞した中国のグー・シャオガン、インドネシアのモーリー・スリヤ両監督が10月31日、東京ミッドタウン日比谷のBASE Qで会見した。
昨年まではスティーブン・スピルバーグ監督ら世界の映画界に貢献した映画人が受賞していたが、今年から映画界の未来を託したい映画人へと選考基準が変更。記念すべき“第1回”の受賞者となったグー監督は「大変光栄」、スリヤ監督も「アジアの偉大な監督の名を冠した、こんな光栄な賞は初めて」と感激の面持ちで語った。
グー監督が、黒澤監督を初めて見たのは90年にアカデミー賞名誉賞を受賞したニュース。「黒澤監督はその時に『私はまだ、映画がよく分かっていない。突き詰めていけるよう、しっかり頑張っていきたい』というお話をされていた。今回の受賞は、黒澤監督からの『真の映画とは何なのか探求しなさい。それは映画を作り続けることだ』という激励だと思っている。これから映画とは何かをつかむ旅に入ると思う」と気持ちを新たにした。
これまで黒澤監督の全作品を見て、最も印象に残ったのは最初に見た「夢」だという。「見た瞬間に衝撃を受けた。いろいろな映画を見たが、ただストーリーを語ったり情感を表現するものばかりだったが、『夢』は思想、哲学的考えをしっかり描くことができている。そして、黒澤監督の作品には商業と芸術の境がないと察し、将来こういう映画を作りたいと思った」と意欲を語った。
一方のスリヤ監督は、オーストラリアの映画学校時代に図書館にあった黒澤監督の全集で観賞し、「『七人の侍』や『羅生門』の激しさ、濃密さが印象に残っている。全ての巨匠に影響を与えていると思う」と最敬礼。東京フィルメックスの最優秀作品賞を受賞するなど世界的に評価された17年「マルリナの明日」にも両作に影響を受けていることを明かした。そして、「私の受賞が東南アジア、インドネシアの若い女性監督の背中を押すものになればいい。もっと夢を持って、独自の視点で映画を撮り、その人が来年の黒澤明賞を受賞すればいいですね」と期待していた。
第36回東京国際映画祭は、11月1日まで開催される。