樋口真嗣監督「ウルトラセブン」は「間違った大人になる第一歩」

2022年10月29日 21:00


コアな話題を展開した(左から)樋口真嗣監督、樋口尚文氏、氷川竜介氏
コアな話題を展開した(左から)樋口真嗣監督、樋口尚文氏、氷川竜介氏

第35回東京国際映画祭のジャパニーズ・アニメーション部門で「ウルトラセブン」55周年記念上映のシンポジウムが10月29日、丸ビルMARUCUBEで行われ、樋口真嗣監督、映画評論家の樋口尚文氏、アニメ・特撮研究家の氷川竜介氏が出席した。

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1967年の放送当時、樋口真監督は2歳。再放送での記憶として、「人間ではないモロボシ・ダンを、地球に来る宇宙人を拒む組織に入れていいのか、ウルトラ警備隊の基地にガキは入れなくて厳しいという思いが子ども心にあった」という。それでも、「ポインター号が登場する時に英語の歌が流れるのが格好良かったし、SF的な隠し味もあればスパイアクションのようなものもあって、間違った大人になる第一歩になった」と多大な影響を受けていることを明かした。

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リアルタイムで見ていた樋口尚氏は、「圧倒的に覚えていて、当時、僕の家は白黒テレビだったけれど脳内でカラーに再現していた」と述懐。「ウルトラマン」と比較し、隊員服が洗練されるなどデザインに欧米圏以外のものを取り入れていることを挙げ「一生いい意味でトラウマになる。色あせない宝物として刻まれている」と強調した。

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デザインやウルトラホーク1号などの呼称に関しては、氷川氏が「ウルトラマン」との間に放送されていた「サンダーバード」の影響があると指摘。「地球が狙われている設定が始めからガッチリと固められ世界観がしっかりあった。敵が宇宙人で知能があり、文明の対立なども描かれ、テレビ漫画文化のレベルが上がった」と、その後の特撮、ヒーローものの礎となったと解説した。

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その後も円谷プロダクションの成り立ちや、実相寺昭雄監督と満田かずほ監督の作風の違いなどコアな話題を連発。樋口尚氏は仏のヌーべルバーグ的発想が入っているとし、「ゴダールの『アルファヴィル』は当時のパリを撮っているのに未来だと言い張っている。その画力、ストーリーの構成力、音の使い方などはウルトラシリーズから学んだ」、樋口真監督も「アングルやライティングも極端で画(え)がどんどん暗くなっていく。4Kの前にあの状態を再現してほしいくらい」と声を弾ませた。

現在、セブンの55周年でさまざまなプロジェクトが進行中で、新たな映画化にも期待が高まる。樋口真監督は、「セブンが持っているものをこれからどうするか。昔みたいに首をスパスパ切れないから、アイスラッガーをどう使うか今の人に考えてほしい」と訴えた。

第35回東京国際映画祭は、11月2日まで開催。

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