巡回上映「現代アートハウス入門 ドキュメンタリーの誘惑」予告完成 10月22日からスタート

2022年10月14日 18:00


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“アートハウス”に新たな観客を呼び込むため、コロナ禍真っ只中の2021年1月からはじまった企画「現代アートハウス入門」。第3弾となる巡回上映「現代アートハウス入門 ドキュメンタリーの誘惑」が、10月22日から、東京・ユーロスペースを皮切りに開催される。このほど、予告編(https://youtu.be/YXhUG9upNok)、会期中の劇場トークイベントの内容が明らかにされた。

1970年代から今日まで続く日本の“アートハウス”は、ミニシアターという呼称で親しまれてきた。世界中の映画と刺激を求める観客とが出会う場所――多様な映画体験によって、未来の映画作家だけでなく、さまざまなアーティストを育む文化的ビオトープとしての役割を担ってきた。

第3弾では“ドキュメンタリーと呼ばれる方法で作られた映画”にフォーカス。18人の映画作家に「映画の魅力を伝えるために5本の“ドキュメンタリー映画”を観せるとしたら?」というアンケートを実施し、そこであがった作品群から選りすぐりの7作品でプログラムを組んだ。上映されるのは「ルイジアナ物語」「1000年刻みの日時計 牧野村物語」「セザンヌ」「書かれた顔」(4Kレストア版日本初上映)、「SELF AND OTHERS」「物語る私たち」。7本目の作品は、決まり次第、公式HP、SNSで発表される。

会期中は、作品選定に関わった映画監督たちが登壇するトークイベントも。ユーロスペースの初日10月22日は、「書かれた顔」の上映後、映画監督であり「Bialystocks」として音楽活動も行う甫木元空と、映画批評家の須藤健太郎が対談。同月26日は「SELF AND OTHERS」の上映後、「王国(あるいはその家について)」の草野なつか監督、「空に聞く」の小森はるか監督のトークを予定している。また、名古屋シネマテークでの11月12日「SELF AND OTHERS」の上映後、および京都シネマでの11月13日「SELF AND OTHERS」上映後は、映画作家・想田和弘によるレクチャーも予定している。

「現代アートハウス入門 ドキュメンタリーの誘惑」は、東京・ユーロスペースで10月22日より、愛知・名古屋シネマテークで11月12日から、大阪シネ・ヌーヴォで11月3日から、京都シネマで11月11日~、鳥取・ジグシアターで12月3日から開催。上映作品の概要、アンケートに協力した映画作家の一覧は、以下の通り。

【上映作品】

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●「ルイジアナ物語
監督:ロバート・フラハティ/1948年/アメリカ/78分

ルイジアナの広大な湿地帯で両親と暮らす少年アレクサンダー。自然と野生動物に囲まれた生活は、父親が油田掘削の許可書にサインしたことで大きく変わっていく…。「極北のナヌーク」「モアナ」などで知られるロバート・フラハティ監督による物語映画として世界映画史にその名を刻む本作だが、もとは石油会社のPR映画だった。野生のワニやアライグマなど“ドキュメンタリーバリュー”もたっぷり。

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●「1000年刻みの日時計 牧野村物語
監督:小川紳介/1986年/日本/222分

三里塚から山形・牧野へ移住し、田畑を耕しながら映画制作を続けた小川プロの13年の集大成。稲の生殖の営みや水田のなかの考古物の発掘など科学的アプローチに加え、村に何世代にもわたって語り継がれる口承の物語を、土方巽宮下順子田村高廣ら職業俳優とともに、牧野村の人びとが“ドラマ”として演じてみせる。1000年という歴史と牧野の風土が編みこまれた、映画史上類を見ない傑作。

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●「セザンヌ」
監督:ジャン=マリー・ストローブダニエル・ユイレ/1989年/フランス/50分

詩人ジョアシャン・ガスケによる評伝「セザンヌ」に記された空想的な対話の朗読に重ねて、セザンヌゆかりの土地やセザンヌの絵画が映し出される。実物の絵画を直接撮影している点では記録映画であり、ガスケによって虚構化されたセザンヌという人物の言葉を劇的に再虚構化している点では劇映画にも近い。ポール・セザンヌの過激な絵画観に、過激な映画作家ストローブ=ユイレが肉迫する。

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●「書かれた顔」(4Kレストア版日本初上映)
監督:ダニエル・シュミット/1995年/スイス/日本/89分

歌舞伎界で当代一の人気を誇る女形、坂東玉三郎。「鷺娘」「積恋雪関扉」といった舞台や、芸者に扮した彼を2人の男が奪い合う劇「黄昏芸者情話」が挿入され、玉三郎の秘密へと観る者を誘う。俳優の杉村春子や日本舞踊の武原はんの談話、現代舞踏家の大野一雄の舞いなども。現実と虚構さえもすり抜けていくシュミットのスイス・日本合作となった本作では、青山真治監督が助監督を務めた。

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●「SELF AND OTHERS
監督:佐藤真/2000年/日本/53分

1983年に36歳で夭逝した写真家、牛腸茂雄。郷里の新潟、ときに死の不安に苛まれながら写真家生活を営んだ東京のアパートなどゆかりの地を巡り、彼が遺した痕跡を辿る。被写体の眼差しを焼き付けたようなポートレート、姉に宛てた手紙、そして、見つけ出されたカセットテープ。しだいに彼の不在そのものがかたどられていく。撮影に田村正毅、録音に菊池信之が参加。手紙の朗読を西島秀俊が務めた。

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●「物語る私たち
監督:サラ・ポーリー/2012年/カナダ/108分

太陽みたいに明るく無邪気だった母ダイアン。彼女が亡くなったとき、末っ子のサラはまだ11歳だった。「サラだけがパパに似てない」、ポーリー家おきまりのジョークにサラは少し不安になる。母の人生の真実を探り出そうとカメラを向けると、みんなの口からあふれ出したのは彼女の知られざる恋について――。俳優で映画監督のサラ・ポーリーが、自身の出生の秘密をウィットとユーモアをこめて描く。

※7本目の作品は決まり次第、公式HP、SNSで発表される。

【アンケートに協力した映画作家】
入江悠小川紗良小田香草野なつか小森はるか島田隆一白石晃士瀬田なつき想田和弘富田克也広瀬奈々子深田晃司藤元明緒甫木元空松林要樹三宅唱山中瑶子横浜聡子

※アンケート結果は公式サイト(https://arthouse-guide.jp/)にて掲載中。

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