谷口ジロー氏、生前の貴重なインタビュー公開 「神々の山嶺」アニメ化を熱望し、会議にも参加

2022年7月4日 19:00


2014年6月、パリにて
2014年6月、パリにて

第47回セザール賞アニメーション映画賞を受賞し、フランスで大ヒットを記録したアニメーション映画「神々の山嶺(いただき)」から、2017年にこの世を去った原作者である漫画家・谷口ジロー氏のインタビュー映像が披露された。14年の製作開始時に、本作への期待を語っている。

本作は、夢枕獏氏の小説を谷口氏が漫画化した山岳コミックの傑作「神々の山嶺」をアニメーション映画化。「登山家マロリーはエベレスト初登頂に成功したのか?」という登山史上最大の謎に迫りながら、孤高のクライマー・羽生と、彼を追うカメラマン・深町が不可能とされる冬季エベレスト南西壁無酸素単独登頂に挑む姿を描く。

谷口氏は「アニメ映画の完成を非常に楽しみにしていて、これまでに何度かスタッフのプロデューサーの方、監督にお会いしてこのアニメに対してのすごい熱意というか意気込みを感じていて、本当に実現してほしいという気持ちでいっぱいです」と穏やかな口調で語る。「かなり力を入れて描いた作品なので、映像となるのがすごく楽しみ。私にできることがあれば本当に参加したいという気持ちです」と意気込んでいる。

漫画「神々の山嶺」に魅了され、アニメ化を人生最大の企画として実現させたフランス人プロデューサー、ジャン=シャルル・オストレロは、谷口氏に映画化への思いを綴った手紙でアプローチをかけ、快諾を得たという。実際に谷口氏はフランスへと2度赴き、アートビジュアルの方向性を決める会議に参加。パトリック・インバート監督にも積極的にアドバイスを与え、固まっていくビジュアルに満足な反応を見せていたという。

谷口氏をリスペクトする著名人からのコメントも披露され、谷口氏の漫画「ふらり。」を担当した編集者の佐渡島庸平氏(株式会社コルク代表)は「夢枕獏作品、谷口ジロー作品が持っていた男たちの山へと賭ける生き様、ドラマの緊張感が、フランスアニメ映画でも、しっかりと再現されていた。谷口さんが生きていたら、きっと観て、感動しただろう」と感想を寄せた。

神々の山嶺(いただき)」は、7月8日から公開。

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