【インタビュー】濱田岳×イッセー尾形 劇場アニメ「DEEMO」の声優を経験して実感したこと

2022年2月23日 14:00


(左から)イッセー尾形、濱田岳
(左から)イッセー尾形、濱田岳

人気音楽リズムゲーム「DEEMO」を劇場アニメ化した「劇場版 DEEMO サクラノオト あなたの奏でた音が、今も響く」が、2月25日から公開される。主人公・アリスがたどる成長の道筋を描く中で儚く切ない愛の物語が展開し、極上の音楽も心を揺さぶる感動作だ。アリスを支えるキャラクターの声優を務めた濱田岳イッセー尾形に本作の話を聞いた。

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不思議な城の中に暮らし、ピアノを弾く謎の生き物“Deemo”の前に、記憶を失くした少女アリスが舞い降りてくる。Deemoはピアノの音色によって伸びる木を成長させ、少女を元いた世界に戻そうとするが……。総監督は「BLOOD+」の藤咲淳一、監督は「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」(助監督)の松下周平、主題歌とイメージソングは梶浦由記が担当。制作はSIGNAL.MDとProduction I.Gが手がけている。

アリスの声を人気声優の竹達彩奈が務め、濱田はアリスを取り巻く人形たちのリーダーで、常に元気なお調子者の猫のぬいぐるみ「ミライ」、尾形はジョークで周囲をよくしらけさせるマイペースな「くるみ割り人形」を担当。渡辺直美が担当する「匂い袋」も含め、このトリオがアリスに寄り添い、成長を見守っていく。

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――完成作を見てどんな感想を持ちましたか?

濱田:アニメ声優の経験はありますが、ラフな状態の画にアフレコをする経験はあまりなかったので、松下監督とすり合わせしながらアフレコを進めたのですが、完成作を見たときは、いち観客としてとても引き込まれました。音と映像に奥行があって、スクリーンで見たらこの世界により引き込まれるんだなと思います。

尾形:アフレコのときはブースに入って一人でアフレコをしましたが、みんなと一緒にやりたかったなと思いました(笑)。一人芝居に慣れていますが、アフレコは誰もいないところでやるので本当に寂しいです。やっぱり一人芝居とは違いますね。でも、完成作を見たらうまいことキャラクターたちが絡み合っていて、すごいなと思いました。あと濱田さんは本当にお上手でした。もうドンピシャ。僕はその陰に隠れてやらせてもらいました。

濱田:ありがとうございます。そう言っていただいて本当に嬉しいのですが、僕はイッセーさんのくるみ割り人形、渡辺さんの匂い袋の声が入っている贅沢な環境で録っているので、お二人の声に助けていただきました。くるみ割り人形は癒しキャラなので、緊迫するシーンでもイッセーさんの声で観客の皆さんがホッとできると思います。

尾形:僕もそう言ってもらえて嬉しいなぁ。でも、試写で完成作を見た後に、もっとほかにやりようがなかったのかなと思って、車を運転しながら「なんとかでごじゃる」とかくるみ割り人形の笑い声を試してみました。それでも完成作と同じくるみ割り人形になったので、やっぱりあれが精いっぱいだ、俺は一生懸命やっていたんだなって自分を慰めていました。

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――イッセーさんはアフレコのときに全身で動いて表現したと聞きました。

尾形:役者は全身を見てもらえることは当たり前ですが、今回は声だけを聞いてもらうので、なんとか声に気持ちを乗せようと思って、とにかく動いて汗だくになりました。くるみ割り人形と同じ動きではなく、僕がイメージした変な動きです。OKは出るけれど、後からこれでよかったのかなといつも首をひねるんです。今回も首をひねって、どれが正解かわからなかったです。濱田さんも動きましたか?

濱田:布がずれる音も入っちゃいけないのかと思っていたので、動いていなかったです。でも、イッセーさんがおっしゃっていることは本当にわかります。僕は台本に書かれている活字以外の部分に苦労しました。アリスが泣いてしまって、僕らが弱っているときのセリフ以外の声などは、映像では普段意識しない部分なんです。これが映像だと眉毛や指の動きで弱っている姿を映してもらえますが、「うーん」という悩む音のようなニュアンスを出すことが難しかったです。

普段いかにいろんなことを駆使してカメラ前に立っているんだなって実感しましたし、改めて勉強になりました。動きを封じられた状態で画にセリフと音を口を使ってのせる作業は新鮮で、プロの声優さんたちを改めて尊敬しました。

尾形:僕もそう思いました。海外ドラマで声優さんの演技を聞いていたときに、やっぱりプロの方はすごいなと思いました。聞いているとあざといなと思うこともありましたが、こういう経験をくぐった後に映像で見ると全然あざとくないんです。指先を見るような動きを音にしてニュアンスを出していて、本当に勉強になりました。

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――最後に、これからご覧になる方へのメッセージをお願いします。

濱田:いち観客として、アリスがあがいて頑張る姿は無条件に涙が出てきました。つらくても前を向くアリスの姿は、コロナ禍の今の状況に似ていると思います。幸せだった頃に蓋をして、今がつらいと思っている。でも、アリスみたいに幸せだった頃を紡いでいくと、今の状況も変わるんじゃないかと思います。アリスの姿に僕は勇気をもらいました。感染対策をして、映像と音楽の魅力がより伝わる映画館で見てもらえたら嬉しいです。

尾形:よく「自分の殻に閉じこもっちゃいけない」というような言葉がありますが、この作品でアリスは自分の殻に閉じこもっています。でも、殻の中には部屋やピアノやおもちゃがあって、自分の殻の中をよく見ればいろんなものがあって豊かである。だから、殻の中から出ていくことも自由だとこの作品が教えてくれました。これは映画ならではの説得力だと思います。

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