オスカー最有力「ノマドランド」の35歳音響技師が自死 クロエ・ジャオ監督らが追悼

2021年3月9日 11:00


フランシス・マクド―マンドも追悼
フランシス・マクド―マンドも追悼

本年度の第78回ゴールデングローブ賞でドラマ部門の作品賞と監督賞をダブル受賞し、米アカデミー賞受賞も有力視されている話題作「ノマドランド」でサウンドミキサー(録音・音響)を務めたマイケル・ウルフ・スナイダーさんが、自ら命を絶った。享年35。米バラエティが報じている。

父親で精神科医のデビッド・スナイダーさんが3月1日(現地時間)、しばらく連絡がつかない息子を心配した米ニューヨーク・クイーンズのアパートを訪ねたところ、遺体となって発見されたという。死後数日が経っていた模様で、正確な死亡日は現時点で明らかになっていない。

デビッドさんは4日、Facebookに長文メッセージを投稿。「マイケルは先週、自らの手で命を絶ちました。長年うつ病を患っていた彼にとって、昨年の大半を新型コロナウイルスの脅威に怯えながら、小さなアパートにこもってひとりきりで過ごすことは、とてもつらかったはずです。それでも私たち家族は、彼が元気にやっていると信じていましたし、特にここ数カ月間は、映画の現場に戻れたことで、やる気と明るさを取り戻したようにみえました。なかでも『ノマドランド』に携われたことは、彼にとって本当に刺激的で楽しい体験だったようで、毎日のように撮影現場でのエピソードや、素晴らしい仕事仲間たちの話を聞かせてくれました。ゴールデングローブ賞の受賞結果を見ることなくこの世を去ってしまったのが、残念でなりません」と、自殺に至るまでの背景と近況を綴った。

前作「ザ・ライダー」に続きスナイダーさんと仕事を共にした「ノマドランド」のクロエ・ジャオ監督は、突然の訃報を受け、「『ザ・ライダー』でも『ノマドランド』でも、現場ではテイクごとに、まずウルフの顔をうかがうのが習慣になっていました。私は現場でヘッドホンをつけない主義なので、ウルフは私にとって大切な耳代わりです。カットがかかって彼を見ると、満足げに満面の笑みを浮かべていたり、涙ぐんでいたり、時にはさりげなく『もう1度』と合図を送ってくれたり……」と撮影現場での思い出を述懐。さらに、「『ザ・ライダー』の撮影時にウルフが提案してくれた、静けさを効果的に生かすために、ルームトーン(現場の環境雑音)を長めに録音しておく、というアイデアは、『ノマドランド』でも採用しています。各現場での撮影が終わったあと、彼とふたりその場に座り、私たちを取り囲む世界とお互いへの敬意を込めて自然の“音”に聞き耳をたてるんです。そんなひとときも含めて、彼を恋しく思うでしょう。彼はこの先もずっと、現場の静けさのなか、私のそばに居て見守ってくれているはず。愛する友よ、いつの日かまた会いましょう」と追悼した。

ノマドランド」で主演を務めたオスカー女優のフランシス・マクドーマンドは、「私たちみんなの呼吸と心臓の鼓動を余さず捉えたウルフ。私にとって彼こそが『ノマドランド』」と、スナイダーさんの貢献を称えている。

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