セウォル号沈没事故題材の「君の誕生日」監督、「大変な今を生きる方々の癒しと慰めとなること願う」

2020年11月26日 17:00


思いを語ったイ・ジョンオン監督(左)
思いを語ったイ・ジョンオン監督(左)

2014年に韓国で起こったセウォル号沈没事故を初めて正面から題材に取り上げた「君の誕生日」のメガホンをとったイ・ジョンオン監督の、日本の観客に向けたメッセージ映像が公開された。

セウォル号沈没事故では、大型旅客フェリーの沈没で、修学旅行中だった高校生を含む299人が亡くなり、5人が行方不明者となった。今作は、セウォル号沈没事故で息子を失った夫婦の喪失感や愛情を描いたフィクションだ。先にこの世を去ってしまった息子スホへの思いを抱きながら生きる父ジョンイルと母スンナム。スンナムは、事故後に初めて迎えるスホの誕生日が、息子がいない現実を認めるようで恐ろしくてたまらない。一方のジョンイルは、息子が亡くなった日に父親としての役目を果たせなかったことに罪悪感を抱いていた。

ジョンイルとスンナムを演じるのは、「オアシス」「ペパーミント・キャンディー」のソル・ギョングと、「シークレット・サンシャイン」で韓国人として初めてカンヌ国際映画祭の主演女優賞を受賞したチョン・ドヨン。韓国映画界を代表する演技派のふたりが、「私にも妻がいたらいいのに」(2001)以来18年ぶりに共演し、夫婦役を演じた。

イ監督は15年、大勢の生徒が事故の犠牲となった高校で亡くなった子どもたちの「誕生日会」を開くボランティアに参加。そこで遺族や犠牲者の友人たちの話を聞き、今作を企画したという。「日常の断面をそっくりそのまま見せれば、より多くの人たちが痛みや悲しみに共感できると思った。消し難い傷を持つすべての人たちと心を分かち合うことのできる映画になってほしい」と、込めた思いを明かしている。

このほど公開されたメッセージ映像では、「事故当時の状況や原因に焦点を当てるのではなく、事故の後に残された人々が懸命に日々を生きる姿を描いています。大変な今を生きる方々への癒しと慰めとなることを願います」と語っている。

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