男子禁制の共同体で、14歳の少女クシナが学者を魅了する… 予告&新場面写真12点公開

2020年6月19日 15:00


秘密の共同体の崩壊と母娘愛を描く映画「クシナ」
秘密の共同体の崩壊と母娘愛を描く映画「クシナ」

[映画.com ニュース]女だけが暮らす男子禁制の集落を舞台に、秘密の共同体の崩壊と母娘愛を描く映画「クシナ」の予告編と新場面写真12点を、映画.comが先行入手した。映像には、共同体に足を踏み入れた人類学者の存在により、母娘たちのバランスが変化していくさまが、豊かな自然の中で繊細にとらえられている。

「第13回大阪アジアン映画祭」でJAPAN CUTS Awardを受賞し、北米最大の日本映画祭であり、米ニューヨークで開催される「JAPAN CUTS 2018」でも高い評価を獲得した本作。「四月の永い夢」で主人公の部屋のデザインと装飾を手掛けた速水萌巴監督が長編デビューを果たし、美術や衣装も担当。自身の過去の体験をもとに、美しい映像世界を構築した。速水監督は、物語が自身と母の実話に近すぎるという理由で1度は上映のオファーを断ったが、2年越しに快諾し、“幻の映画”がベールを脱ぐことになった。

深い山奥に人知れず存在する、女だけで構成された村。村長・鬼熊(オニクマ)のみが山を下り、収穫した大麻を売ることで、必要な品々を買ってくることが日常だった。オニクマは28歳の娘・鹿宮(カグウ)と14歳の孫・奇稲(クシナ)たちを守っていた。ある日、何度も山を探索してきた人類学者・風野蒼子と後輩・原田恵太が村を探し当てる。蒼子には、閉鎖的なコミュニティには信仰が根付いており、その下で暮らす人々を記録することで、人間の美しさを証明したいという思いを抱いていた。オニクマが期間限定でふたりの滞在を許したことで、女たちそれぞれが決断を迫られていく。

蒼子を魅了するみずみずしいヒロイン・クシナを演じたのは、撮影数日前に1枚の写真が奇跡的に速水監督の目に留まり、映画デビューを飾った郁美カデール。映画本編の撮影も担った村松良が、7月で14歳になる彼女(撮影当時は9歳だった)を森の中で、映画そのままの世界観で撮り下ろした。美しいスチール写真を投稿するInstagramのアカウント(@kushina_after_4years)も運用を開始している。

オニクマを体現した小野みゆきは、「初めて会ったクシナは、全く飾り気のない、生まれたままのような幼い女の子でした。人里離れた山奥で、本当に毎日走り回っているかのような自然児に見えました。何の気負いもなく、感じたまま、素直にセリフを話すのも驚きました。
無垢なクシナそのものだったからです」とカデールの印象を明かす。「一見か弱く見えるけれども、そんな繊細さの中に一本のキリッとした強さが見える、そんなところが監督の姿とも重なりました」と思いを馳せた。

蒼子を演じた稲本弥生は、「秘境の地に足を踏み入れる部外者、そこで出会ったまだあどけない少女に心を奪われ自身が抱いた事もない感情に戸惑いを隠せないという役柄で、先ず研究者としての部分は監督とも相談しリアリティの部分を埋めました。そして部外者としてどう村の女性達と関わるのかイメージを膨らませました。自分自身も現在3児の母として育児奮闘中であり、我が子ほどの少女に惹かれる部分はなかなかの葛藤がありました」と役づくりを語った。

そのほか、廣田朋菜が14歳の若さでクシナを生んだカグウ役、小沼傑が集落に立ち入る唯一の男性・原田役で共演した。「クシナ」は、7月24日からアップリンク渋谷ほかで公開。

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