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◆2019/1/11更新
「蜘蛛の巣を払う女」クレア・フォイが明かす、リスベットの"トラウマと孤独"
並々ならぬこだわりを持って役作りを行った
  21世紀の文学のなかで最も個性的で強烈なヒロインと言われる、「ミレニアム」シリーズの天才ハッカー、リスベット・サランデル。これまでスティーグ・ラーソンの原作を映画化したスウェーデン版シリーズと、デビッド・フィンチャーによるアメリカ版リメイク「ドラゴン・タトゥーの女」が作られてきたが、ラーソンの世界を引き継いだダビド・ラーゲルクランツの著書を映画化したのが、新作「蜘蛛の巣を払う女」(公開中)だ。今回リスベットに扮するのは、テレビシリーズ「ザ・クラウン」で多数の賞を受賞し、新作「ファースト・マン」(2月8日公開)でもゴールデングローブ賞にノミネートされ、いま最も油の乗っているクレア・フォイ。過去の重いトラウマを引きずりながら、ハードなアクションもこなす「闘う女戦士」の面が強調されたリスベットを、強烈な個性で演じきっている。そんな彼女がリスベットに対する思い入れと、その役作りについて語った。(取材・文/佐藤久理子)

  「原作を初めて読んだのは12年ぐらい前かしら。ただただ、このユニークなヒロインに魅了され、啓発された。それ以来、このシリーズが大好きになったの。スティーグ・ラーソンはとても興味深いキャラクターと、彼女を取り巻く独特な世界を構築した。『蜘蛛の巣を払う女』はリスベットの過去を明かしたものであり、彼女がそのトラウマから自由になるために戦う物語だけど、私にとってこれまでの原作すべてがバイブルになった」。

  新作では、原作でラーソンが過去に1度だけその存在に触れていたリスベットの妹カミラが重要な役割を担う。リスベットは、人工知能研究の世界的権威である博士からアメリカ国家安全保障局に渡したデータを取り返すことを頼まれ、難なく手に入れるが、その矢先、何者かに自宅を襲撃されデータを盗まれる。その背後には意外なことに、幼いときに生き別れたカミラ(シルビア・フークス)の存在があった。ストーリーは、ここから一挙に姉妹の因縁をめぐる、まるで蜘蛛の巣のように複雑に入り組んだ展開を見せる。

  脚本も共同執筆したフェデ・アルバレス監督(「ドント・ブリーズ」)は、今回のリスベットについてこう明かす。「本作はアクション映画と強烈な人間ドラマと北欧のノワール・サスペンスが合わさった独創的なものであると同時に、リスベットがこれまで以上に中心的な存在になっている。彼女の行動は今の時代と強い関わりを感じさせる。つまり被害者であることを拒否する、闘う女性の象徴なんだ」。

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  その点を踏まえたフォイは、ルックスやしゃべり方も含めて、役作りに並々ならぬこだわりがあったようだ。

  「リスベットの場合、そのルックスが彼女自身を雄弁に物語っている。リスベットは子どものときに、彼女が信頼し愛する人から裏切られ、決して愛を示されることがなかった。そういう困難な経験をくぐり抜けてきたことが、彼女の人との付き合い方や行動を決めている。だからルックスもそれを反映して、人から不気味で脅威に思われるような雰囲気にしたかった。髪型や服装に関して、スタッフと何度も話し合ったわ。結果的にこれまでよりは少し成熟してシンプルな、戦士の雰囲気になった。しゃべり方については、監督から特に要望はなかったけれど、私は独特のアクセントにしたかった。観客に『ザ・クラウン』の私を思い出してほしくなかったし、北欧生まれのフィルム・ノワールということで、異質な感じを出したかったの。それで独特のアクセントを持ったぶっきらぼうなしゃべり方になった」。

  さらに「リスベットにはファイターとしてのセンスがある」と監督が指摘するように、何度も窮地に陥りながら切り抜けるため、フォイ自身もこれまで経験したことがなかった肉体的な役作りをしたという。

  「私自身はまったくスポーティブな人間じゃなかったから(笑)、この役のためにトレーニングを積んだの。主に筋肉をつけること、そして長距離のランニングなどをして体を鍛えた。今まで私はこれほど肉体的な役柄を演じたことはなかったけれど、ハードなトレーニングをするのはとても気持ちがよかった。リスベットのおかげで、スポーティなことに目覚めたわ(笑)」。

  確かにこれまでのシリーズに比べ本作は、息つく間もなくアクションが続く。だが、そんな"動"のシーンから浮かび上がってくるのはやはり、リスベットの孤独な内面の葛藤だ。

  「私にとって彼女は、相反する要素を持ったとてもリアルな存在。すごくタフである一方で、どこか途方にくれ、目的を失っている。それは彼女が過去にトラウマを抱え、そこから逃げていたから。そして本作ではその過去が彼女をとらえる。それは同時に、彼女がついにそこから自由になることでもあるわ。リスベットのことを知れば知るほど、驚かされると同時に、私のなかで彼女を愛おしいと思う気持ちが強くなっていったの」。

  果たして、どんなリスベットを見る者に提示するのか。その新たなる勇姿から目が離せない。

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