「蜘蛛女のキス」ヘクトール・バベンコ監督70歳で死去
2016年7月15日 17:00
[映画.com ニュース] 「蜘蛛女のキス」(1985)でアカデミー賞監督賞にノミネートされた、ブラジルの名匠ヘクトール・バベンコ監督が7月13日(現地時間)、心臓発作のためブラジル・サンパウロの病院で死去した。享年70歳だった。
米ハリウッド・レポーター誌によれば、バベンコ監督の製作会社HBフィルムズが認めたという。アルゼンチン・ブエノスアイレス出身のバベンコ監督は、数年間ヨーロッパに滞在した後、69年からサンパウロで活動。「傷だらけの生涯」(77)や、脚本を兼ねた出世作「ピショット」(81)などで、ブラジルの社会問題を深く掘り下げてきた。
南米の刑務所を舞台に同房の政治犯と同性愛者の交流を描いた「蜘蛛女のキス」ではアカデミー賞で作品賞・監督賞を含む4部門にノミネートされ、主演のウィリアム・ハートに主演男優賞をもたらした。「黄昏に燃えて」(87)では、主演のジャック・ニコルソン&メリル・ストリープが、それぞれオスカー候補となった。
カンヌ国際映画祭とも縁が深く、「蜘蛛女のキス」をはじめ、「Corazon iluminado (英題:Foolish Heart)」(98)、「カランジル」(03)がコンペティション部門に出品。ウィレム・デフォー主演で、死期の迫った映画監督の物語を描いた「My Hindu Friend(原題)」(15)が遺作となった。