ブラジルアニメ「父を探して」メイキング映像公開 ナナ・バスコンセロスの姿も
2016年3月12日 06:00
[映画.com ニュース] 2014年のアヌシーアニメーション映画祭で最高賞と観客賞をダブル受賞、今年のアカデミー賞長編アニメーション部門にもノミネートされたブラジルの長編アニメーション「父を探して」のメイキング映像が公開された。
インディペンデントアニメーション界の新鋭アレ・アブレウ監督が、出稼ぎに出た父親を探す少年が広大な世界を旅する物語を、セリフなしで繊細かつ温かみのあるドローイングを用いて描き出す。未知の世界へ旅立った少年の目を通し、虐げられた農民や農村、孤独が巣くう都会の姿など、ワールドカップやオリンピックの開催を控えるブラジルの現実を鮮やかに切り取っている。
メイキング映像では、アブレウ監督が描きためてきたスケッチの数々を紹介しながら、映画の台本は用意せず、次第にキャラクターや物語がつむがれていったと説明。「デジタル要素のない作品をどうしても作りたかった。手作り感、コラージュ、色鉛筆、マーカー、ボールペン、アクリル絵具、マーカー、そういうものがたくさん使われる映画だ。これらのタッチを映画でも重視することによって、絵の豊かさや重みを表現したかった」と映像へのこだわりを語る。また、機械を動物に変化させたり、実際の火を使って燃えるシーンを作り上げたりと、製作過程でのクリエイティブな試行錯誤の様子も映し出される。
なお、本作は3月9日に71歳で死去したジャズ演奏家のナナ・バスコンセロスが音楽を担当しており、ブラジルを代表する音楽家で世界的なパーカッショニストとして知られるバスコンセロスの生前の姿も映像に収められている。
「父を探して」は、3月19日からシアター・イメージフォーラムで公開。18日から開催の東京アニメアワードでのオープニング作品としても上映される。